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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

牛肉

牛肉

まずカンポバッソの牛肉事情を述べる。これはあくまで南イタリアの田舎で、しかも内陸部だけの話だ。
それは、新鮮な牛肉を売っているという事実である。
といってもぴんとこないかもしれない。私も知らなかったのだが日本では(そしてアメリカや多くのヨーロッパの国では)かならず、牛肉というのは解体されてから大きい塊のまま低温の冷蔵庫で2週間から1ヶ月ほど寝かされてから小分けして売っているのだ。
そうすることで身が程よく「熟して」やわらかくなってうまみも増すのだそうな。

ところがイタリアの山の中の田舎では「肉は新鮮が一番」という迷信?がまかり通ってて、肉屋さんも熟したほうがおいしいことをわかっていながら、客の偏見に答えるために解体されたてのイキのいい肉を売っているのだ。

これはカンポバッソ周辺の村々の個人商店の肉屋では必ずなされている。
数回行って顔を覚えられた肉屋があって、ある日そこで買い物をして帰ろうとすると、ニコニコしながら、言うのだ。
「明日は絞めたてのぴちぴちの新鮮な牛肉が入りますよ」
夫は内心あきれながら「あーそう、ラッキー。それじゃ、明日も寄っちゃおうかな~」とひきつった笑顔で返事したそうな。

ちなみにカンポバッソでもスーパーマーケットではだいたいは熟した肉を売っている。町なかの肉屋は方針によって違っていて、熟させて売るところと、新鮮なのを売るところと両方ある。熟させた場合でも期間が十分に長くないものもある。

さて、イタリアだけでなく外国全体の話になるが、牛肉にサシ(霜降り肉の中の白い脂)が全く入っていない。なのでステーキ用などはすべて赤身。物足りないのだが、慣れるしかない。

日本では脂肪の多い牛肉を、野菜やご飯とともにちょっとずつ食べる。西洋では脂肪の少ない牛肉を、それのみ黙々と食べる。それが習慣なのだ。もし霜降り肉の塊をそれのみ黙々と食べたら、重すぎてそんなに食べられないし、そんなことを続ければ早々に成人病になってしまうだろう。

私自身は霜降りは大好きなのだが、年のせいか脂っこく感じてそんなに食べれないようになってきたし、やはり成人病が気になるので日本で食べる機会があってもそこそこにしている。
また日本の牛は霜降りにするため本来の牛の主食ではない穀物を食べさせられて、虐待のように暗いところに閉じ込められて運動もさせてもらえない。それに対して、イタリアの牛は広々とした牧場で太陽の下牧草を主にを食べている。食べるほうにとってもどっちが健康的か。

また、赤身のほうが肉本来のうまみ―――脂肪があるとうまみが多いのが当然で、それを抜きにして味わう牛肉の本当の味―――を味わえるのでいいという話もある。
(と、自分に言い聞かせて霜降りが食べられない不満をごまかしている。)

ところで最近アルゼンチン牛というのがスーパーで手に入るようになってきた。がちがちパサパサのイタリア牛肉と比べてちょっとだけサシも入っていて日本の牛肉に近い。柔らかいし香りもよい。しかしアルゼンチンて狂牛病対策、大丈夫なのかな?

最後に外国の牛肉は日本のものより硬い。シチュー肉を煮込むというのは3時間はかかる。日本のシチューのように、1時間くらい煮てルーを入れて・・・では中途半端で硬いのだ。

そこで私の場合、一度に大量のシチュー肉を水と塩のみで3時間煮込んで、煮込んだ汁とともに小分けして冷凍保存する。そして使うときに解凍してカレーやシチューやすじ肉風に味噌煮込み、肉じゃがなどに活用するわけである。


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