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イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

イタリア料理

イタリア料理

イタリア料理とはなんだろうか。世界中で愛されるイタリア料理だが、日本を含む海外のイタリアンレストランの料理は、実はイタリア各地の郷土料理の寄せ集めである。「イタリア人はあんなにバラエティに富んだイタリア料理を毎日日替わりで食べているのだ」などと思ったら大間違い。各地方で食べられているそれぞれの料理は一週間でのローテーションにも足りないほど単調きわまるのだ。

イタリア料理の基本、全土で共通の調理ベースは、有名だがオリーブ油とトマトソースである。北と中央イタリアはこれにバターとクリームが加わる料理もあるが、ラツィオ、アブルッツォ以南の南イタリアは菓子以外の料理にバターとクリームをほとんど使わない。*注

それなので郷土料理とは言っても南イタリア同士は共通のものが多い(どこにいっても代わりばえがしない)
ここで代表的な南イタリア共通の肉ベースの料理をコースの順で簡単に紹介する。(詳細と、魚介ベースの料理は別の機会に)

*最近ではさらに脂肪は体に悪いという理屈も追い風のように加えられる。南イタリアの人々は、日本で人気のクリーム系ソースのパスタなど、多くの人は「クリーム!?だめだめ体に悪い!」などと顔をしかめてまるで毒かなんかのように拒絶する。彼らだってクリームと成分は同じであるチーズは食べるんだから、要は偏見である。ただしクリーム系パスタをおいているレストランも多いし、まったく食べない人ばかりでもないようで、とくに若い人や大都市に住む人は外食のときに選ぶ人も多いようだ。


前菜
スライスされた生ハム各種、チーズ各種、地元産のサラミ類、オリーブの実などの盛り合わせが一般的。
レストランの前菜盛り合わせではそれにいろいろな温菜も加わることもある。

プリモ・ピアット
(前菜とメインの間のパスタや米、とうもろこしなどを使った料理か、スープ)

パスタ自体はスパゲッティ、ペンネなどの乾燥パスタ、タリアテッレ、リコッタ入りラビオリ、ニョッキ、カヴァテッリなどの手打ちパスタなど、種類が多い。

しかしソースはおなじみトマトソース、ラグー(メインで説明する)、トマトなし(ニンニクとオリーブ油と塩)がほとんど全て。また、レストランだとトリュフのパスタもたいていある。
トマトなしのパスタには野菜をあわせたものが多い。使われる野菜は旬のものが多く、なす、ズッキーニ、ポルチーニ茸、マッシュルーム、アーティチョーク、菜の花、ブロッコリ、アスパラガス、ソラマメ、えんどう豆など。南の人はパスタはアルデンテ、野菜はくたくたになるまで火を通す。


豆のスープ、ミネストローネスープもプリモに入る。これらもトマト味かトマトなし。
リゾットは北やローマと比べると南の田舎ではあまり人気がない。
ラザニアもある。南のラザニアはラグーソースとパルミジャーノチーズだけが使われ、ボロネーゼとベシャメラソースは使われない。

これらの料理にはトッピングとしてパルミジャーノチーズがかけられる。シンプルなトマトソースのパスタにはかけるべきでないという人もいるが、自由。

メイン料理(セコンド・ピアット)
肉ベースのメインは牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥、ホロホロ鳥、子羊、羊、ウサギ、馬肉などが使われる。山岳地帯ではいのししや鹿肉も。また、豚の生ソーセージもメインとして多く使われる。ローマ以外の南イタリアでは牛の内臓はあまり食べられていない。タンも一般的ではない。
このほかこの辺の郷土料理として子羊の腸をぐるぐる巻きにしたものがある。

*鶏は家庭ではよく食べられるがレストランではまれである。南イタリアでは外食というのはまだ特別扱い、ハレの日扱いしたい傾向にあるので、鶏肉や卵のような安い食べ物は外食向きではないと考えられている。セルフサービスレストランではよくある。しかしイタリアにKFCはない。

これらの肉は以下の料理法のうち(たいていは)いずれかの方法で料理される。

トマトシチュー(ラグー)
肉をトマトピューレで長時間煮込んだ濃いシチュー。ラグーと言うと、中央・北イタリアではひき肉を使ったもの、いわゆるボロネーゼソース(=ミートソース)である。ここ南ではひき肉は嫌われて代わりに塊肉を使う。これでできたソースはパスタのソースに使われ、肉はメイン料理となる。ただし長く煮込んだものは味と栄養分が全てソースに出て行くので、肉はパサパサして味がない。
なぜひき肉を嫌うのか?誰もが信用できなかった昔の南では、どんなものが混ぜ込まれているか知れたものじゃなかったから。

オーブン焼き
ガスオーブンが一般的だがレンガオーブンのあるレストランでは炭火焼や、薪焼き?が食べられる。焼くときの味付けとしてはローズマリー、タイム、オレガノなどのハーブと塩、オリーブオイル。しかし多くの場合は塩とオリーブオイルのみ。

ステーキ
肉をフライパンや底面がぎざぎざの鉄板で焼く。
オーブン焼きやステーキは何も言わないとしっかり焼かれたウエルダンにされてしまう。南の人はしっかり火が通った肉を好むため、それが基準だからだ。

コトレッタ
肉にパン粉をつけて揚げた、あるいはフライパンで焼いたもの。

オーブン焼き、ステーキ、コトレッタは日本やアメリカやフランス料理のようにステーキソースをかけるわけでなく、ごくごく控えめのハーブと薄い塩味で出てくる。これに各自好みで追加の塩、胡椒やオリーブオイルやレモンをかける。ナポリの人は胡椒好きだがこの辺の人はあまり好まない。
また、肉と一緒についてくる野菜などというものはないので、副菜を別に注文しなければならない。

このほかチーズを揚げたり焼いたものもメイン料理となる。


副菜
ジャガイモのオーブン焼き
家庭ではジャガイモを肉と一緒にオーブンに入れて肉の味を移すケースが多い。味付けはローズマリーとオリーブ油と塩。

野菜
ホウレンソウ、チコリー、ビエトラ、菜の花、ブロッコリ等を塩茹でし、フライパンに移してオリーブ油で炒めたもの。あるいはそのままオリーブ油をかけたもの。多くはくたくたになるまで火が通っている。

サラダ
固くて青臭いイタリアのレタスの他、エンダイブやラディッキョなど苦~い生野菜が入っている。ドレッシングは酢(ワイン酢)とオリーブ油

なすとピーマンのグリル
レストランでは店によって違っていて、グリルしてオイルをかけたものが出てくる場合と、酢とオイルに漬け込まれたものが出てくる場合と両方のパターンがある。


  デザートは省略。別の機会に。

これを見てお分かりのように、素材万歳!シンプルイズザベストというのが南イタリア料理である。イタリアの太陽の元で育った家畜や野菜など、質のいい食材でこそなせる業である。素材は種類が豊富だが、凝ったソースや洗練された料理法などの工夫は無用なのだ。

・・・別の角度から言うと、要は素材の種類は多いが、味付けはオリーブ油とトマトしかないということ。
和食で言うとオリーブ油は醤油、トマトが味噌にあたるだろう。料理もトマトが入れば入るほど家庭的、トマトソースを使わず、切ったプチトマトが入っていると上品で外食っぽい感じになる。
家庭や、食堂っぽいところではだいたい上記のようなもので、いわゆるレストランぽい所ではもう少しメニューが増え(ローマ料理が加わってくる)、さらにレストランでも格が上になるとやっといろいろ趣向を凝らしたものがでてくる。

ただしローマ料理はもうちょっとバラエティが豊富だ。たとえばパスタ料理にはアマトリチャーナやカルボナーラが加わり、メインはスカロッピーネといいとろみをつけた白ワインソースとともに焼いた豚肉ステーキ、牛の胃袋をトマトで煮込んだトリッパをはじめ、内臓を使った料理も多い。


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