670616 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

イタリアいなかまち暮らし

イタリアいなかまち暮らし

田舎のいいところ

田舎町のいいところ

 のんびりしてるとかお決まりのそういうことは言わない。休暇にきたわけじゃないし。それに何度も言うようだがここはのんびりしているというより眠っている。
 私は日本の田舎に住んだことがない。それでどうしてもイタリアや日本の都会との比較か、日本で旅行の際にちらりと見た田舎の印象との比較になってしまうのであしからず。

便利さ

 確かにローマからは便が悪く、中華街への買出し、空港の利用、田舎じゃ手に入らない買い物(イケアとかアウトレット)は不便だ。
 しかし便利な点は、狭い部屋に住むとどこにでも座りながら手が届くのと同じで、県庁所在地なだけに県内で必要なものが何でもそろっているということ。市役所や保健所の手続きが必要なとき、移動が楽である。なんせたらいまわしの国だ。ローマだと、各役所間を移動するのが大変なため(なんせ大都市のクセに地下鉄が2線しかない。街中に広がる地下遺跡のせい)ここへ行けあそこへ行けと言われるうちに日が暮れてしまう。(もっともイタリアの役所は日が暮れるずいぶん前から閉まるのだが。)

 しかも田舎だと窓口に並ぶ行列が少ない。私の滞在許可書の申請をする警察署の外国人用窓口(ひとつの町に一箇所しかない)なのだが、これがローマ、ミラノなどの都市ではすごいのだ。

 なんと夜中の2時から並ばなければ窓口に到達しないのだそうだ。

 手続きに来る人の数が一日にこなせる数を上回るにもかかわらず、なぜか係を増員しないためだ。それでもその日の営業時間内に窓口に到達しなければアウトだ。
 カンポバッソの外国人窓口は前の道に車も泊めれるし、行列も夏休み明けの一番混む時期だったが3時間ほどですんだ。

 うちから徒歩で10分で町の中心にぶらぶら散歩やショッピングに行けるし、ピザも食べに行ける、パブに飲みに行ける。買い物は週に一回車で安いスーパーに行って買いだめ。牛乳やパンなどデイリーなものは近所で買える。

 私の実家は大阪郊外のニュータウンである。大阪の中心まで行くには、家からバス停まで徒歩3分+バスで駅まで10分・220円+電車で準急で30分・480円。さらに地下鉄に乗り換えて梅田までとなると+15分・220円で乗り換え時間含め全部で1時間・交通費は片道1000円弱。一緒に日本に帰ったときは相方の目玉が飛び出ていた。(しかし最寄り駅から関空まで直通バスだから飛行機利用のときだけは便利)
 小さなスーパーは歩ける距離にあるものの、あとはなんでも車が無きゃいけない。
 中心まで行くのに一苦労なのはローマも同じことだと思う。こっちは交通費はかなり安いが。

生活の質

 しかもイタリアは都会で暮らそうとすると大変だ。カンポバッソと比べローマは家賃が2倍近く、ボローニャやミラノとなると3倍近く、しかも需要が高くてなかなか見つからない。物価も全般に高くなる。そのくせ賃金は全国統一されているが、それでも都会に出稼ぎに行く人が多いのは雇用の機会が少ないためだ。しかし彼らは都会で苦労する。なんせ平均月給は約1000ユーロ、それに対して夫婦で住めるようなマンションの家賃は家具なしでも最低600ユーロ以上だ。半分を超えるのだ。共働きしなければぎりぎりの生活になってしまう。独身だと、ハウスシェアでなければ生活できない。シェア友達同士のいさかいも絶えないので大変だ。

 なのでイタリアは田舎のほうが生活が楽である。生活の質が断然良い。出稼ぎも多いが、定職が得られないにもかかわらず実家でなんとなく過ごしている人が多いのもこのためだ。家業の農業だとか商いをチョコチョコと手伝ってこづかいをもらい、好きなものも買える
というもの。

 こういう風に贅沢に暮らしているのだろうが、南イタリアでは若者の失業率が40%という。ニートもびっくりである。また親戚同士の助け合いの意識も強くて、両親が子供を支えきれない場合は周りの誰かが助けてあげるし、アルバイトの話を持ってきたりする。雇用が無いので自分で商店や飲食店を始める若者もいる。その場合も親族が援助するし、政府からも援助が出る。政府だってこの状態を何とか改善したいから、無料で職業訓練も行う。深く考えずに無茶な商売を始めて経営破たんする若者もいるが、もちろんかわいい息子や孫なのでみんながフォローしてくれる。

 とにかく雇用の機会はないが商売で稼げる人には天国なのだ。それで私たち飲食店経営にも田舎のほうが良い。レストランは競争がなくてみんな高いし、どの店も家庭料理の同じものばっかり食べさせるしサービスが悪いので、私たちがちょっとひねった洗練されたものを安く、かつ日本式サービス(といっても地元の小さな食堂程度のサービスで十分、それ以上だと過剰なので頭おかしいと思われそう)で提供したら余裕で競争に勝つと思う。

経済

 相方は日本に来たときに、田舎の商店街の閉店ぶりを見て驚愕していた。確かにあれはみるだけでも悲しいものがある。私も最初に見たときは驚いた。今のところイタリアにはああいう商店街の姿はない。理由はいろいろあると思う。
まず、まだまだ地元密着型近所づきあい社会で、義理人情でなじみの店に通う人が多い。量り売りワイン屋、パン屋、サラミ屋、生パスタ屋など、専門店で買ったほうがスーパーより質が高く値段も安い食料品が多い。店が収入がそんなになくても食べていければいいので惰性で続けている。若者の地元離れが日本より少ない。などなど。経済は詳しくないし、調査したわけではないので、イメージです。これも大型スーパーがそんなにがんばってないので、彼らが日本のスーパーのように食料品の質を改善するとかしてがんばりだすと、もっと違ってくるかも。
 あとイタリアは全般的に土地の値段が安定的に上がっているそう。日本ではバブルのつけがすべて地方の商店街に回ってる?まあ一番目に見える形が、あれなんだろう。

治安

 ここは治安も良い、先に述べたようにモリーセにはマフィアがいない。イタリアの中では治安のよさナンバーワンではなかろうか。ロマ人(ジプシー)もよくいて特にテルモリでは車や歩行者に金を請うのだが、それ以上のことはされたことがない。私の住んでいる地域はロマ人居住区の近くで、引っ越してきたときは近所の人に「ヤツラは勝手に人の家に入るから、家にいるときもいないときも鍵開けっ放しにしちゃだめだよ」と注意されたが、そんな怪しい人物がうろついてるのも見かけたことがない。

 ただし彼らには以前要注意で、夫が以前他の町でやっていたレストランで7,8人の近所のロマ人グループに食い逃げというか、料金未払いをされたことがあるそうだ。その苦い経験の後、こんどはご一族総出で30人くらいやってきたので夫も恐れをなして、食材が人数分ないと嘘を言って帰ってもらったそう。さすがに30人分踏み倒されたらかなり痛いダメージだし、訴えても回収できるかどうか怪しいし、それで一族に恨みを買ったら何をされるかわからないので、それが角を立てずに問題を回避する唯一の方法だったと。今の店はロマ人居住区に近いだけにちょっと不安。最初から嘘ついて拒否するような真似はしたくないし。

 町の中心も夜でもカップルや家族づれがたくさん散歩していて、危ないと感じるようなことはまったくない。(夜が遅いのは南の文化で、夏は特に11時ごろまで夕涼みに子供を連れ歩く家族を良く見かける)

 日本の話、すべてシャッターが閉まった商店街を私が初めて見た日本の田舎町、夜も凄かった。町の中心地、すべてがヤンキー王国だったのだ。普通の人は歩いていない。町に繰り出そうとしていたはずが、すごすごとホテルの部屋に戻るはめに・・・。
 それに比べるとここは平和。日本の田舎名物、暴走族もいない。

 あとイタリア全般の話だが、酔っ払いが少ない。日本みたいにサラリーマンが正体なくなってる姿はまるで見ない。これも文化の違いだ。イタリアを始め、ラテンの国ではアルコールは食事の(重要な、だが)脇役に過ぎない。パブもあって若者でにぎわうが、へべれけな人は少ないし、路上のゲロもいまだかって見たことがない。そんな国だがもちろんアル中の人もいて、朝から飲む人もいる。

 また、日本のニュースを見ていたら、子供を対象にした凶悪犯罪、八つ当たり的な犯罪がたまにあって背筋が寒くなる。こういう被害にあう人は統計上は限りなくゼロに近いのだろうが、日本ではおちおち道も歩いていられないな、と怖く思う。また、子供を狙った犯罪も多いので親も安心して外に遊びに行かせられないだろう。イタリアではこういうタイプの犯罪は今のところ聞いたことがない。

 ただし小さな盗みはなんだかんだある。イタリア全般で言うと夫はボローニャで何回か車からカーラジカセを盗まれた。
 ここに住んでからは、現在車にカーラジはつけていないから盗まれようがないが、一度夜の間にワイパーを勝手に交換(!?)されていたことがあった。この車のワイパーだって決して新しくはなかったんだが、それが朝見たら完全に古すぎて使えないようなものに成り代わっていたのである。同時に方向指示ランプ、といっても脇についてる小さいほうの奴・・・もなくなっていた。酔っ払った(ラリッた?)ワルガキの仕業であることは想像は付くが・・・。

 これをもうすぐアップしようというときに、夫がスクーターを盗まれた。夜、いつもと同じようにレストランの前の歩道に置いて家に帰ったのだが、朝来たら姿をけしていた。もともとが5千円でも売れないようなボロスクーターだったので、夫はこんなもの誰が盗むかとばかりにチェーンもせず毎晩歩道においていたのだ。
すぐ警察に連絡した。夫が近所でしゃべって回ったところ、近所の住人の中にスクーターを盗んでは解体して売っているヤツラがいてそいつの仕業ではないかと言うことだった。盗んでから全部解体するまで高架道路の下とかに隠すらしいので、それらしいところを探して回ったが、見つかるのは他のバイクの残骸だけ。そうしていると夕方、近所の人が来て見つかったと知らせてくれた。急いで見に行くとそれはごく近所の目立たない場所に置いてあった。しかしシートはこじ開けられてヘルメットがぬすまれてるわ、部品を取ろうとしてあちこちこじ開けられるわ、ナンバープレートなんか何にするのか?これも剥ぎ取られてるわで無残な姿だった。
夫が話した人のなかには「ジプシーの仕業」と決め付ける人もいたが、やはりその近所の悪い人のほうが怪しそうだった。CENTRO STORICOというのは日本で言う下町みたいなもので、チンピラっぽい人とかコカイン中毒とか、いろいろいるのだ。


© Rakuten Group, Inc.