和輝

和輝

中学の時、俺は男子校やった。
たまたま家の近くの中学が男子校やっただけ。
そん時俺は神奈川に住んどったんやけど。

周りは男、男、男、男だらけ。

じゃぁ、周りの男とかに恋してばっかだったんじゃない?

とか、聞かれそうやけど、違った。

そん時俺は、自分が同性愛者やと思ってなかった。

思ってもみなかった。

小学校の頃から、誰にも恋することなんて無かった。
ましてや、そん時は異性の恋愛が普通やと思ってた俺は、
男子校での恋愛なんてありえないと思ってたから。
だから気づかなかったのかもしれへん。

中学の時、すっげぇ仲のええ友達がおった。
“和輝”って名前の。
中2、中3のクラスが同じで、遊びに行くときはいつも一緒やった。
毎日のように、携帯でメールのやり取りをしとった。

そん時は、ただの仲のええ友達としか思ってなかった。


中3の受験間近の時。

俺は急に関西に引っ越すことになった。
神奈川で高校を決めて、もう目の前に入試が来とる頃やった。

すっげぇ悲しかった。
和輝との別れが、一番悲しかった。

引越し当日、和輝は俺の家まで来てくれた。

笑顔で、

「またメール送るからな!!!!!」

って、見送ってくれた。

ボロボロ涙が止まらなかった。
和輝はずっと、手を振っててくれた。
「もう会えないかも知れへん。」
って気持ちが余計に涙を流させる。

そん時、初めて俺は気づいた。

「あぁ、俺、和輝が好きだ。」

って。友情やなく、愛情やったって。

それから俺は関西で、いろいろ手続きを受けて、
関西の高校を受験した。

今は別に和輝に愛情は無いけど、
今までで一番最高の友達やと思っとる。



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