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カテゴリ:民俗学
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第365話 「霊的観光資源」
日本の場合、怪奇スポットの多くが人里離れた場所というか交通不便地にあるようで、夜間照明などが完備されている方が稀だったりします。 もっとも、定番の肝試しポイントともなれば、押すな押すなの大盛況となっている事も珍しくなく、”お煎餅にキャラメル”と売り歩く人や屋台がなぜ出ていないのか不思議なくらい混んでいることもあったりします。 特に、肝試しが盛んな夏場の深夜ともなれば、怪奇スポットの人出はかなり多いようで、マニアックな連中としては人出の少ない ・・・ シーズンオフというのも妙な表現ですが ・・・ 春秋の深夜に怪奇スポットに出かける事が多くなっているようです。 ただ、最近ではもっと季節感が無くなってきているようで、冬の深夜や早朝に発生した死傷者が出るような自動車事故で、事故を起こした車に複数の若い男女が乗っている場合、”肝試しに行く途中だった”とか”肝試しに行った帰りだった”とかいった報道がされる事がここのところ増えていたりします。 基本的には、それが何でアレ、他人に迷惑を掛けず自己責任で死なない程度に人生を楽しむのは悪い事ではないとも私は考えていますが、道楽の怪奇スポット巡りや肝試しというのは命を賭けてまでやるような事では無いと考えている事は明記しておきます。 というのも、海外では、積極的に幽霊屋敷に泊まって怪奇現象を体験するツアーというか、宿泊可能なものを含めて怪奇現象を売りにしている施設が幾つかあって観光地として繁盛しているためです。 ウインチェスター館に関しては以前に2-840”霊的増改築”で書いたのですが、宿泊可能な幽霊屋敷として有名なのは、”リジー・ボーデンB&B(the Lizzie Borden Bed & Breakfast/Museum)”という亜米利加の博物館というか宿泊施設で、マサチューセッツ州フォール・リバー、セカンドストリート92番に実在しています(少なくとも、これを書いている時点では営業中)。 ここは、かっては個人の住宅だったのですが、1892年に主人のアンドリュー・ボーデン(Andrew J. Borden :当時70)、妻のアビー・ボーデン(Abby Dufree Borden :当時69)が斧で惨殺された事件で知られているそうです。 亜米利加らしいといえば亜米利加らしい感性で、斧で惨殺されたアンドリューが息絶えていたベットとか、アビーが倒れ込んでいたドレッサーとか、・・・、容疑者のリジー(Lizzie)が返り血を浴びた衣装を燃やしたストーブとかいったものが可能な限り当時のままで残されているそうで、私には、亜米利加人の感性というものが、たぶん永久に理解できない気がします。 ちなみに、リジーというのはアビーの連れ子(といっても当時26歳)で、メイドのブリジットと共謀してアンドリューとアビーを殺害したと疑われた重要な容疑者だったりします ・・・ で、Lizzie Borden Axe Mudder House と呼ばれることもあるわけです。 事件当時にリジー達が、かなり怪しい行動をしていて状況証拠などはかなり揃っていたようなのですが、動機が良くわからず決め手にも欠けていたようで、リジーとブリジッドは”証拠不十分”で不起訴になっています。 ただ、若い義理の娘が、義父と実母を斧で惨殺した可能性が高く、限りなく黒に近い容疑者でありながら不起訴となったというドラマチックな経緯を世間がほっておくわけもなく、事件発生後に、ドラマや劇、本などのネタとして採用されているそうです。 日本で鉈を使って親を殺した事件が発生したときには、某深夜アニメが放送中止に追い込まれて話題になりましたが、そもそもで言えば、こちらの事件の方が古く類似性も高いわけです ・・・ どのくらいの数の日本人がこの事件を知っていたかは知りませんが。 リジー・ボーデンB&Bの宿泊可能な部屋数は6部屋で、一泊150ドルから250ドルくらいで変動しているようですが、泊まってみようという物好きな人は直接下記のホームページで確認して下さい)。 怪奇現象を売りにしているだけに、実際に怪奇現象に遭遇する宿泊客の割合はかなり高いという触れ込みですが、まあ、気のせいといえば気のせいのような怪奇体験談や、事件とは直接関係の無いような怪奇体験の方が多いような気がしないでもありません(笑)。 現地では、不定期イベントとして事件を再現した劇を上演したり、訪れた人が当時の警察官と同じ条件で謎解きに挑んだりもするようですが、謎は謎のままで百年以上が経過しているようです ・・・ まあ、謎は謎だから興味を引くのだとは思いますが。 参考URL:http://www.lizzie-borden.com/Default.aspx 初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第365話:(2008/12/19) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.25 00:06:32
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