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2010.04.28
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カテゴリ:自然科学
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第784話 「ラドン温泉」

 プラテノドンの略称が2-408”ラドン”という話は、円谷特撮ファンにとっては常識の一つですが、ラドン温泉とは関係のないネタだったりします(笑)。

 歴史的には、キュリー夫妻がラジウム化合物に触れた空気が放射能を持つようになることを発見した(1898)のが始まりで、1900年にドルンがラジウムからラドンが発生していることを突き止め、ラザフォード、ソディ、ラムゼーといった科学者達が希ガス元素であることを特定していますから、人類がその存在を知った時点からでも、これを書いている時点で、百年少々しか経過していないことになります。

 自然界に置けるラドン(Rn:原子番号86)は、融点が-71度、沸点が-62度という揮発しやすい物質であることと、無色の気体として(なにしろ半減期がある希ガス元素ですから)短時間しか存在していない事が多いのですが、ラジウム元素から放出されることから分かるように、微量の放射線を有しています。

 天然にはウラン鉱物中や鉱泉などに存在し、ラドン219(アクチノン)やラドン220(トロン)、ラドン222(ラジウムエマネーションとも)の3種の形で存在し、この中ではラドン222が半減期3.825日で最も寿命が長いこともあって、普通はラドンといえばラドン222を意味しています。

 ただ、ラドンの特性として水に可溶で化学的に不活性で微量のガンマ線源ということから、いわゆるラドン温泉として放射線温浴療法に用いられた事で日本でもラドンが溶け込んだ水を利用したラドン浴健康法ブームとでもいったものが生じた事があります。

 常温では瓦斯化していますから、呼吸によって体内に吸収され、その強力なイオン化作用は代謝作用を促進し、ラドン温泉に10分程度入浴しているだけで適度な温感と伴に大量の発汗作用が起きることから、愛好者が世界中に存在しています。

 医学的に実証というか客観的な証拠が得られていないものの、ラドンのような低線量の放射線は生物に発育促進をもたらすホルミシス効果を生じさせるとか、免疫力を向上させる効能があるといった研究報告があり、低線量で半減期も4日に届かないラドンの場合、放射線温浴療法の一つとされながらも、民間で気軽に温浴法としてヘルスセンターなどでも広がったようです。

 ちなみに、神経性疾患、運動器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、体表疾患などに効果があるというのがラドン医学者の主張なのですが、そうなるとラドン浴の効能というのは、いわゆる温泉の効能とされるものとほとんど重複するようですし、ラドンが発見された後になってラドンを含む温泉だったことが判明した事例も珍しくありません。

 実際、ラドンがどうしたという以前から、天然の放射能泉として鳥取県の三朝温泉、島根県の池田温泉などは温泉街として発展していたのですが、国内で最もラドンを多く含んでいるとされている山梨県の増富温泉も、別にラドンの効能が発見されたから温泉街が形成されたというわけではありません。

 どちらかと言えば、ラドンの効能が話題になったことで、温泉法で規定する必要が生じたところがあり、温泉法では水1リットル中に放射能強度111ベクレル以上のラドンを含有いるものが放射能泉と規定されたことで、それを目安にして人工的にラドン浴施設があちこちに作られ、ラドン温泉を名乗ったというのが歴史的な経緯になるようです。

 この辺り、三朝温泉などの天然ものはラドン泉と呼び、人工的に温泉法の規定を満たすように水を加工している場合はラドン温泉と呼び分けることで、営業的には住み分けているようですが、古くからの温泉地はラドンだけが売りではなく、他のミネラルも温泉水に含む事が多いので同じモノとは言い難いところがあります。

 逆に言えば、ラジウムを含んだブラックシリカ鉱石やアドガシュタイン鉱石などを浴槽に使ったり、ラドン発生装置で発生させたラドンを水に溶け込ませて、ヘルスランドなどでお手軽にラドン温泉を名乗った施設の中には、ブームが去って廃業したり廃墟となったものもあり、既に明暗がラドン温泉の中でも分かれているようです。

 興味深いのは、源泉にラドンを含んでいない温泉地が、ラドン浴がブームだということで、ラドン温泉として施設を改造したり新築した事例で、ブームが去ってみれば、そうした設備投資の借金だけが残った事例も珍しく無かったようで、従来の温泉施設だけで営業していた方が負債を抱えないで済んだわけで、結果的に、ラドン温泉を売りにして温泉地として巻き返そうとして失敗した話もあるようです。

  ラドン温泉が話題になっていたのは昭和50年代初旬くらいまでの話で、何しろ、人工的にラドン温泉が造れるわけですから、あちこちにラドン温泉が乱立すれば希少価値が薄れる上に過当競争にもなったようで、昭和50年代も中頃になると急速に下火になっていったようです。

 そのお手軽さといいましょうか、網袋の中に鉱石を入れて湯船に沈めておくだけでもラジウム温泉と名乗れるだけの量のラドンがお湯に溶け込むくらいですから、それこそ御家庭でも日常的に楽しめるのがラドン浴ということで、ラドンしか含有していない温泉地が廃れたのもそのあたりが原因のような気がしないでもありません。

 というか、一般的な温泉でも、無色透明だとありがたみが今ひとつな気がしてくるのが人情のようで、乳白色とか褐色とかいった色つきのお湯の方が”温泉に入った!”という満足感を伴いやすく、無色透明の場合は、普通のお湯よりも粘性が高い方がありがたみを感じるようで、無色透明で普通のお湯よりサラサラしているというのは、よほど効能が無い限り苦戦する事が多いようです。

 もっとも、昔のように会社の慰安旅行などで団体客が温泉地に繰り出すという光景は激減しているそうで、比較的スペースにゆとりがある温泉施設の場合、介護事業などに乗り出して、温泉入浴が可能な介護施設として盛り返した事例も増加してきているようで、急速な高齢化と世代別人口構成の変化を考えるとき、妥当な選択のような気がします。

 従来は、道路建設などの公共工事に頼っていた土木業者が介護事業や農業などに進出して経営を多角化させている事例の増加も、高齢者が増加すれば、高速道路や空港を利用する人よりも介護施設を利用する人の方が増加するのが道理ですから、合理性のある選択だと思うのですが、温泉街などの既存の施設との連携も増加していくというか、連携した方が地場産業として発展しやすい気がしないでもありません。

 結果的に、温泉が湧いていれば、特に何もしなくても慰安旅行や忘年会などで団体客が殺到して濡れ手に粟の大儲けという時代を経験した人が、その安易な成功体験を忘れて、時代の変化にいかにして合わせて流れに乗っていくかが課題になっている時代ということで、時代のニーズを読むことに失敗すれば、数百年の歴史と伝統があっても寂れていくのは必至のような気がします。

 まあ、現役時代から別荘というか休日に使うセカンドハウスに温泉水が蛇口を捻るだけで安価に利用でき、介護施設や医療施設が充実しているようならば、定年退職後に本格的に移住ということもありうる御時世だけに、地元行政組織などとも連携して、どこが早くそうしたニーズを取り込むか?が栄枯盛衰の分かれ目になるだろうなと。

 このあたり、田舎ほど排他主義な人が多いだけに、地域経済の活性化が必要と言いながら、年寄りの持っている金は欲しいが年寄りは入らないとかいった事も言ったりするわけですが、少子高齢化が不可避な日本では、温泉が利用できる住居を安価に提供して人口を増加させ、その人口に見合った医療や介護施設を充実させ若年層の雇用を確保し、葬儀から墓地まで面倒を見るのと引き替えに遺産を市町村が接収するといった、新しい産業を創生した地域が経済的に発展するのではあるまいか?

初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第784話:(2010/04/22)






Last updated  2010.04.28 00:21:34
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