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2010.12.19
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カテゴリ:昔話・物語
マは漫画のマ 第98回 「ジオブリーダーズ」 伊藤明弘(いとうあきひろ)

 一時期どうなることかと思っていたのですが、なんとか完結に漕ぎ着けることができて胸をなで下ろしたのが”ジオブリーダーズ(1993~2010”で、作品的には終盤でグダグダになってしまいました。

 ジオブリーダーズ(GEOBREEDERS)のサブタイトルは、魍魎遊撃隊(もうりょうゆうげきたい)ですが、完結してみれば、どの組織が魍魎遊撃隊だったのかよくわからんなあという気がしています。

 当初は、主人公(?)の田波洋一(たば よういち)が所属していた神楽総合警備が魍魎遊撃隊かと思っていたのですが、最終的に登場するほとんどの組織が該当するような気がしてくる魑魅魍魎が跋扈するややこしい世界になっていきます。

 一応、16巻目は第2部最終巻となっているのですが、主要な登場人物が死亡、裏切り、離反したことで神楽総合警備が壊滅したため、なんとか逃げ延びた田波君が捲土重来してきてもそれはもう田波君の話であって別の話になってしまうだろうなと。  

 その意味で、ジオブリーダーズは完結した作品で、神楽綜合警備で”運転手は運転がお仕事”にしていた姫萩夕(ひめはぎ ゆう)がラスト近くで田波君に、”もし逃げ切れたら何もなかった事にして全部忘れるって” 、”綾金には何があっても戻らないって”と約束させようとした台詞が一つの物語の完結を示唆しているのではなかろうか?

 物語の舞台は、昭和70年頃の名古屋のどこからしい綾金市で、勤めていた会社が倒産して再就職先を探していた主人公の田波洋一が甘い求人広告に誘われてうかうかと女性比率が異様に高い「神楽総合警備」に再就職してしまったあたりから話が始まります。

 まあ、女性比率が高いというより、田波君以外の社員は全員若い独身女性で構成されている会社なのですが、冷静に考えてみれば、普通の警備会社が女性だけで成立するか?と考えれば、”この警備会社って何か怪しくないか?”と勘づきそうな気がしないでもありません。

 が、高額な給料、恵まれた福利厚生に有給休暇という甘い誘いにふらふらと就職してしまった田波君が遭遇する会社の日常的な業務の現場というのは”殉職者が出る事が珍しくない”かなり物騒な状況をくぐり抜けることで、大手の会社で年収が一千万円を超えるところがあることを考えれば、確実に割に合わない仕事ではないかと思われます。

 仕事の内容は、かっては”妖怪”と呼ばれていたのであろう魑魅魍魎を捕獲する事とされているのですが、時代の流れか、妖怪達が社会のIT化に対応してコンピュータネットワークの中にも生息域を広げてしまっているあたりが味噌で、その主要な形状から”化け猫”の末裔たちと考えられます。

 つまり、現代の化け猫退治の専門会社が神楽綜合警備ということになるのですが、社会的には化け猫の存在は公認されていないようで、その特殊性から時には自衛隊や警察組織も動員されるものの、専門性の高い複数の政府組織も対応に当たっているようで、日本の他の地域の状況がどうなっているのかは定かではありません。

 或いは、光ファイバー網は世界規模で張り巡らされているわけですから、他国に化け猫たちが拡散していても不思議ではなく、コンピュータ社会に対応した彼らがどこかにコピーを隠匿して増殖していてもそれはそれで不思議ではないわけです。

 それは、これを書いている時点のインターネットでも言えることですが、一度でもネットワークの海のどこかへ流出してしまえば、その情報を根絶することが事実上不可能なのと同じことで、敢えて言えば、フィルターをかけて情報を遮断して入って来れないようにした無菌ルームの内側には特定の情報が存在しないと言えるのと似ています。

 そう考えると、ネットワークに特定の団体にとって不利益な情報が流れたりウイルスソフトの類が流されるというのは、現実世界でペストなどの流行が始まるのと似ていて、疫病対策として消毒や投薬などで病を終息させることに成功するか、或いは対応が間に合わず全滅するかという状況になったとき、疫病が入り込まないように特定の集落が自らの意志で丸ごと外部との接触を遮断して疫病の流行が沈静化するのを待って生き残りを計るという手法もあるわけです。

 コンピュータネットワーク社会の発達は、妖怪達の知性の高度化も招いて進化させたようで、化け猫たちの側も「黒猫」と呼ばれる個体情報を中心に組織的な活動を始めている様子なのですが、猫だけに必ずしも一枚岩ではないようですが、人と共存するか人を殲滅するか、まったく関わらないかという判断を下そうとしているようにも思われます。

 おそらく、神楽総合警備の商売敵として登場し、何かと暗躍している政府の専門部署である”厚生省衛生二課(通称”ハウンド”)”でさえも全貌は把握できていないのではないか?と思われますし、官公庁名物である縄張り争いや組織間対立も現場の混乱に拍車をかけているようで、人間の側は化け猫たち以上に一枚岩ではなかったりします(笑)。

 現実問題、化け猫たちの何が社会にとって脅威なのか?化け猫たちはなぜ人類に反抗するようになったのか?に関して説明されることが無いか、あっても実は”裏”があることが暗示され、太古の昔から人類と共存してきた魑魅魍魎たちをあえて狩りたてて排除しなければならない根本的な理由というのは話が進むほどに分からなくなっていき、化け猫たちのデータを改造して人造化け猫の類を政府が開発し現場に投入するに至って、化け猫たちの行動は自己防衛だったのではないかという気もしてきます。

 ただし、連載開始がWindows95どころか実用レベルのWinows3.1(日本語版)が登場した1993年だったという時代的な制限が漫画の中にもあり、今となっては冗談のような話ですが、神楽綜合警備の化け猫退治の方法というのが”化け猫をフロッピーディスクに封印する”ことで、逆に言えば、1枚のFDに1匹の化け猫の持つ情報の大半が記録できるということで、実際、”〇四九(まるよんきゅう) ”と呼ばれる先代の神楽警備保障監視していた化け猫は封印されていたFDから復活しています。

 * プロトタイプであるWindows3.0(日本語版)が登場したのは1991年。なお、Windows3.xシリーズは日本語版が市販されたが、Windows2.xシリーズは1987年、Windows1.xシリーズは1985年に市販というか、Windows1.0はMS-DOS Ver. 3.1と共にプリインストールOSとしてNECのPC-9801VX4/WNに採用され1986年12月に発売 ・・・ ただし、window2.1以前のWondowsシリーズに金を出す価値があったかどうかは(当時のコンピュータの性能も制限要因となっていたものの)微妙で、Windows3.0くらいまではDOS環境だけで十分といえば十分ではあった。

 或いは、FDに封印された化け猫は、更に大きな檻と言える隔離されたHD内に磁気データとして保存可能なようで、そこで一種のコミュニティーまで形成している描写も登場したりはするのですが、やはり”そんなに小さな情報容量なのに人以上の知性があるのか?”という疑問はあります。

 状況のかなりの部分を把握しているらしい登場人物の一人でキーパーソンでもある入江省三(いりえしょうぞう)と名乗る男性は、一応、公安部外事二課から厚生省への出向という形になっているものの、事実上のフリーハンドで、事実上、彼だけが魍魎遊撃隊たりえる独立性を保ち続けているのですが、情報を一人で抱え込んでいる上に、他人を基本的に信用しない諜報畑特有の思考回路の為か子飼いの組織を持たない(あるいは”持たされていない”)ため決定打を放つだけの勢力にはなれず、要所要所で介入するに留まっています。

 連載開始当初は、もっとシンプルな、現代に蘇ってIT社会に適合して進化してしまった”化け猫”を封印する神楽総合警備についうっかりと就職してしまった不運な田波君のドタバタ活劇で、田波君が小学生の頃に飼いそこねた子猫が化け猫化したらしい”まや”という少女(?)と同居するあたりが伏線かなあ?という程度の作品で、逆に言えば、連載開始当初の話の展開から第2部のエンディングを想像できた人は少数派ではないかと思われます。

 第2部完結時に確実に生き残っている田波君以外の神楽綜合警備の関係者は、社長の菊島雄佳(きくしま ゆか)、”対象S”という呼称や最終的な行動から公安関係の部署からスパイとして潜り込んでいたと考えられる桜木高見(さくらぎ たかみ)の2名で、菊島雄佳の方はともかく、桜木高見に関しては、第3部があるとすればですが、田波君がそれなりの決着をつける必要がある対象になってしまったかなと。

 逆に確実に死亡したのは、梅崎真紀(うめざき まき:別名「紅の流れ星」)、姫萩夕(ひめはぎ ゆう)の2名で、生死が微妙なのが蘭東栄子(らんどう えいこ)と”まや” で、”まや”に関してはHD内でデーター化しているところを削除された描写があるのですが、物語のトリックスターである”黒猫”が最後に登場しているあたりから考えて微妙なところがあり、”まやの記憶障害”が、コピーであるが故に制限と考えると、オリジナルデータが外部に存在する可能性が高いかなと。

 つまり、作品中ではあまり触れられていませんが、化け猫たちがデーター化してコンピュータネットワーク内などを利用できたり、FDやHDに封印されるということは、自らのコピー情報を製作することも可能ということで、その際、オリジナルとコピーの差として一定の情報を欠落させてコピーとの差別化を図っておくくらいのことはするだろうなということです。

 話がシンプルだった、1998年に”ジオブリーダーズ 魍魎遊撃隊 File-X ちびねこ奪還”と、2000年に”ジオブリーダーズ2 魍魎遊撃隊 File-XX 乱戦突破”として2度OVA化されているのですが、作品てきに1998年版の方が見応えがあり、2000年版は冗長な印象があるのですが、2000年版は全巻購入特典として”マヤ弁当箱”がついた事で知られ、いそいそと葉書を送った私がメーカー側に督促したことが(一部で)知られています(笑)。

 漫画として考えた場合、第2部の中盤くらいまでのところで止めておくのが無難で、第2部の完結に関しては、かっての西部劇などでよくあった主要な登場人物が死亡する全滅パターンの話に類似しているだけに後味が悪いのですが、”とにかく、ここで一度この話を閉じて、一つの物語を完結させ、再開するとしても続きではなく続編になる。”という作者からのメッセージのようにも感じられたのでした。

(2010/12/19):マは漫画のマ 第98回 「ジオブリーダーズ」:書き下ろし。





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Last updated  2010.12.19 08:52:42
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