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「シーサーシーサーキングシーサー」
入場して早々、満員のシアタークリエ内に響き渡る「ミラヤビの祈り」 に、耳を疑う…。 以下、開演前のお客さん入れ時間のBGMをメモった限りでは・・・ 「ミラヤビの祈り」(「ゴジラ対メカゴジラ」) 「怪獣大戦争マーチ」 「モスラの歌」 キャバレーの歌(たぶん「マタンゴ」水野久美嬢?) 「ゴジラのテーマ」(鳴き声SE入り「ゴジラ」) ラララーララララララー(たぶん「マタンゴ」水野久美嬢?) 能狂言(たぶん「ガス人間第一号」) そして音量が大きくなって「かえせ!太陽を」(「ゴジラ対ヘドラ」) が会場に流れると手拍子が始まり、「かえせ!」の くだりでは結構な人数(10から20人?)の人がバンザイ・ポーズ! (それに驚いた一般観客がざわめく…) 急に特撮映画のオールナイトや「特撮大会」のノリを思い出す。 すると突然のスモーク効果にブザー「ガスが漏れています」の アナウンスとともに後藤ひろひと氏が舞台に登場。 いつもの前説が始まりました。 ![]() 後藤氏の舞台はいずれも劇団piperでの「ひーはー」「恐竜と隣人のポルカ」 しか観ておらず、そして【お笑い芸人を配した】キャスティングに、 かなり心配でしたが、実際は…【素晴らしい出来でした!】感激です! 異形の者と孤独な歌手の悲恋・純愛物語として、最高の完成度です。 映画版のテーマをより「純化させている」ともいえます。 その意味では「ガス人間第一号」というそっけないタイトルに、物悲しい特別の意味を感じてしまう。 これだけある意味誰よりも人間的なのに、実験対象の名称が。 また、SFモダン・ホラーでも犯罪ものとしても楽しめる。 そのまま舞台となる劇場を、実際の客席ごと演技空間にしたのもうまい。 (唯一、唯一ラストはもっと盛り上げてほしかった気はしますが。) 映画当時のノスタルジーに頼らず、現代の日本の話である点もいい。 映画では能狂言だったのを、ポップスにしたのも正解。 時代に合わせるとこの方がよりしっくりときます。 ![]() そして問題の、ガス人間の特殊効果が巧み! 体からまさに噴出すガスの表現は、決してドライアイスや 普通のスモークではない、最高の効果。 そして、ガス人間からほかの人間に対して、腕から 「ガスのリング」(ぜんじろうの実験の空気砲に似てる)を発射、 それが当たった人間(役者)が、体から煙を出して苦しむという表現が見事! 俳優さんたちもよかった! 特に中村中さんの歌も効果的、美しく、存在感も光ってます。 ![]() 音楽も中村中さんが担当、都会波ミステリー+ホラーの雰囲気。 映画版の宮内國郎氏に似たフレーズも聴かせてくれました。 高橋一生さんは静かな愛情を表現、クライマックスでは「体形も崩れていくような」様子は、まさに異形の者の演技で見事でした。 また、重く暗くなりすぎない中山エミリさんの配役。 伊原剛志さんの、劇中の登場人物の物まねがとても可笑しい。 飄々としながらも的確に話を進めていくポジションとして、普通の部分をちゃんと進める枠組みは非常に重要です。 (着メロはゴジラのテーマ) そして、三谷昇さん!いつもは怪演が多いのですが、今回は名演というのがふさわしいと思う。 水野久美さんは出番少な目でしたが、やっぱり只者ではない役で! 何より意外だったのは、南海キャンディーズの山チャンのコメディ演技が、とっても笑えて良かったことです。 違和感がなくなじんでました。後藤さんのキャスティングの妙でしょうか。 (ただし水野さんのほうは予想通りか…) (悠木千帆さんは、樹木希林さんの名前を買った人から名前を譲ってもらったという…。) 後藤ひろひと氏は真面目な東宝特撮映画マニアだった! 先ほどのBGMだけでなく、本編にも【適度に】(これが最も難しい。センスが問われる!) リスペクトがあり、東宝特撮映画を本当に愛しているのだなと。 ちなみに、映画では本当にガスになってしまいますが、舞台版では、極度に脂肪を燃焼させガスを放出するのみで、消えて飛んだりはしません。 脂肪を燃焼させるため(このときに「ケトン」を放出)どんどんと痩せていくという設定もうまい。(昔は肥満だった!) ![]() 最後に、千秋楽なのでカーテンコールで、後藤さんに促されての三谷昇さんの挨拶が印象に残りました。 『僕は、半世紀以上演劇をやってましてつい2年前に大好きな岸田今日子、仲谷昇という作家が亡くなって劇団最年長者になって劇団を辞めました。俳優を辞めるつもりでした。そうしたらこういう声がかかって、おっちょこちょいだから、こんなに楽しい素敵な舞台に出たことをとっても嬉しく思ってます。あと何年生きるかわかりませんが、今後ずーっとずーーっとやってほしいと思っています。』 (三谷昇さんは演劇集団円を2008年に退団)*聞き間違いがありましたらすみません。 ────────────────────────────── 「ガス人間第1号」 公式HP: http://www.tohostage.com/gas/index.html ※↑公式HPは、11/30には閉鎖!! ────────────────────────────── 会場:日比谷シアタークリエ 公演期間:2009年10月3日~10月31日 上演台本・演出:大王・後藤ひろひと(劇団Piper所属) CAST: 高橋一生 中村 中 中山エミリ 三谷 昇 山里亮太(南海キャンディーズ) 後藤ひろひと 渡邉紘平 水野 透(リットン調査団) 悠木千帆 水野久美 伊原剛志 ────────────────────────────── 劇場入り口には、さりげなく映画使用の衣装が展示: ![]() ![]() 原作映画:「ガス人間第1号」 映画DVD: ![]() 監督:本多猪四郎 出演者:三橋達也、 八千草薫、 土屋嘉男、 佐多契子 収録時間:92分 レンタル開始日:2004-11-12 Story 東宝のSF路線・変身人間ものの一編。日本特撮の神様・円谷英二が特殊技術を担当し、人間がガス人間に変身する過程をリアルに表現した。 (詳細はこちら) ☆ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ☆↑ランキングに参加してます。↑もし少しでも気に入っていただけましたら、1クリック投票いただけると嬉しいです。m(_ _)m お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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