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テーマ:パソコン相談室(484)
カテゴリ:IT活用のヒント
■ モデムを利用したインターネット接続 私たちが、インターネットを利用するときに、インターネットサービスプロバイダ(ISP)と契約することが、一般的であることは、前回ご紹介いたしました。 インターネットが、まだ一般的でなかった1995年頃を、振り返ってみると個人がインターネットへ接続する場合には、まずISPにモデムを利用して電話をします。 もちろん電話ですので、この時点からNTTに対して料金の計算が始まります。 ISPのコンピュータは、デジタルデータを音声に信号に変換して、接続してきた相手が誰であるかを確認しようとします。 FAXなどでおなじみの「ピー」とか「ガー」とかいう音は、デジタル信号が音声信号に変換されたものです。 接続の依頼をしたパソコンに接続されているモデムは、この音を再度デジタル信号に戻して、相手の要求を確認します。 「貴方は誰か?」と聞いてきているので、「私は○○です。」と名乗る方法として、ISPとの契約したIDを連絡します。 IDを受け取ったISPのコンピュータは、そのIDを連絡してきた相手が本当に○○さんであることを確認するための証拠を送るように要求します。 この証拠となるのが、パスワードです。 要求に対して返信されたパスワードとISPのコンピュータに登録されているパスワードが一致したときに、インターネットへの接続が開始されます。 そして、この認証が完了した時点から、ISPの利用料金が計算され始めます。 この時、インターネットと情報をやり取りするには、モデムという機械で、デジタルデータを音に変えたり、戻したりする作業が必要になります。 この変換の能力がインターネットの接続スピードになっていたのです。 この当時、モデムの変換スピードは、9600bps が主流であったような気がします。 bpsとは、データを転送するスピードの単位で、Bits Per Second の頭文字をとっています。 1秒間に転送できるビット数をあらわしています。 ビットはコンピュータがデータを処理するときの最小単位で、2進数1桁で、漢字1文字は、16ビットのデータとして扱われています。 現在モデムの性能は、インターネットの普及につれて、28.8Kbps(28800bps)、 36.6Kbps、56Kbps と向上しています。 ■ NTTの電話料金 NTTの接続料金は、当時は、3分10円という金額でしたが、例えは、毎日インターネットを楽しむと電話料金が高額になるという悩みの種になっていました。 NTTの設備は、昼間のビジネス利用にあわせた規模になっており、深夜の時間帯は電話料金が安くなるサービスを拡大して、「テレホーダイ」という名称で、23時から8時までの時間帯に、特定の電話番号2ヶ所に限り、毎月一定額になるサービスを開始しました。 これによって、個人のインターネットの利用者が深夜族へと移行していきました。 モデムでの接続には、ISP側にも利用者と同じ数のモデムが必要になり設備投資の負担が大きく経営を圧迫するというケースも散見されると同時に、逆に昼間限定の会員を低価格で募集するなど利用者にとっての選択肢の増加も見られました。 ■ 電話回線のデジタル化(ISDN回線) インターネットの普及のために、NTTが特に力を注いだものとして、ISDN回線が挙げられると思います。 NTTの商品名では「INS64」「INS64ライト」と呼ばれているものです。 いままでの電話(アナログ回線)の電話線を、NTT局内のISDN交換機につなぐことによって、Bチャネル(64kbps)2本と、Dチャネル(16kbps)1本のデータを送受信できるデジタル回線として利用できるようにしたものです。 この2種類のチャンネルを流れる信号は、すべてデジタルデータです。 Bチャンネルは、コンピュータで処理されるデジタルデータをそのまま流すことができますので、モデムのようにデータを音に変換する必要はありません。 逆にこの回線で通話する場合には、Bチャンネルに音声データをデジタル信号に変換して行われます。 接続スピードも、モデムを利用するよりは速くなったのと同時に、Bチャンネルが2本ありますので、インターネットを利用しながら通話することもできるというメリットもありました。 アナログ用よりは少し高くなりましたが、「INSテレホーダイ」によって時間は限定されましたが定額の接続環境も実現しています。 インターネットに接続するスピードは、64Kbpsとなりますが、Bチャンネル2本を同時に使うことで、128Kbpsにスピードアップして利用することも可能です。 ■ NTT利用料金の定額化(フレッツISDN) テレホーダイを24時間に拡大してほしいという要望が高まる中で、2000年にNTT東日本とNTT西日本がサービスを開始したのは、「フレッツ・ISDN」という定額のデータ通信サービスでした。 各都道府県単位に、地域IP網という電話局間を結ぶバックボーンIPネットワークを構築し、ISPと利用者の間のデータ転送を中継するシステムで、通信にかかる電話料金は、通信時間に関わらず定額になりました。 当初は、地域IP網に接続するための電話番号が契約者個別に設定されていましたが、設定を簡単にするために現在は、「1492」をダイヤルすることで接続できるようになっています。 小さな事務所などでは、INS回線を契約して、2つの電話番号を利用したり、電話転送サービスを利用されているため、ADSLに切り替えることができないケースもあります。 このような時に、インターネット接続料金を定額化する手段として、まだまだ実用されている接続方法になります。 ただし、Bチャンネル2本での同時接続に対応していませんので、接続するスピードは、64Kbpsになってしまうのが残念な部分になります。 ■ ナローバンドとブロードバント インターネット利用者の増大は、接続環境の改善をものすごい勢いで牽引してきました。 ここまでご紹介した環境改善の欲求は、利用料金の低価格化と定額化という位置付けでした。 これらの欲求は、ある程度満たされてきたので、次の欲求は高速化という視点に移ったといえるでしょう。 高速化された接続環境として、接続スピードを概ね 500kbps 以上の通信回線をブロードバンドとして区別しています。 ここまでご紹介した従来の接続方法については、対義語としてナローバンドと解説しているケースが多いようです。 さて、現状ではブロードバンドの主役は、ADSL、光通信、ケーブルテレビ等といわれていますが、それぞれの詳細については、またまた、次回へ先送りとなってしまいました。 次回こそ、「ブロードバンド」について具体的に、ご紹介させていただきます。 <次月上旬号に続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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