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カテゴリ:Pops / Rock
[韓国音楽]少女時代-ミニアルバム 2集-願いを言ってみて レディー・ガガやマドンナといった北米のセックス・シンボルである女性たちは、映像上の表現が開放されていくにつれ、露出が過激になり、ビデオクリップのなかでは肌の露出にとどまらず、頻繁に粘液のイメージが使われます。 一昔前に、パンツをはいたサル、という名の書籍がありましたが、北米のセックスアピールがパンツをとっくの昔に脱ぎ捨ててしまっているのにくらべ、KOREAN GIRLS' POP(長いので以下KGPとします。諜報機関みたいですが…)パフォーマーたちのセックスアピールは、粘液までたどり着きません。下着までも届いていません。 これは韓国のメディア表現倫理がそこまで許していないことが大きく貢献していることは間違いないでしょう。 その前提であっても、手かせ足かせがあればそれなりに適正な表現を行うのが人間の常であって、倫理委員会から放送禁止の告発を受けるぎりぎりまで表現を追及するものの、映像表現上のドレスコードが(ありがたいことに)おそらくおへそはOKとしているおかげで、われわれもKGPの人気ユニット‘少女時代’(ソニョシデ)の美脚とおへそを武器にした映像に触れることができるわけです。 でも、KGPの美形パフォーマーたちがいくらその見事な脚線やウェストラインを露出しても、不思議なのはそれがどうやらエロを狙っているのではない、ということなのです。たぶんそうです。 いくらお尻をぶいぶい振っても、小ぶりな胸をぶんぶんさせても、それがエロではなく、お尻のかわいさ、揺れる胸の楽しさであることがKGPの美学であり、節度であり、いけてる部分であるに違いない。これ、北米ショウビジネスの影響下で作られていることは明々白々であるけれど、じっさいに現われてきたヴィーナスたちは、粘液表現によるセックスアピールではなく、ボディパーツのフェティッシュ、トルソに宿る美の審美的表現に自分を捧げていることにある種のアジアを感じます。 とはいっても、少女時代をはじめとしたKGPのパフォーマンスにエロティシズムが微塵も感じられない‘健康的’な表現であるなどという、不健全なことをいうつもりは毛頭ありません。 人間からエロスがなくなることはない。 彼女たちのパフォーマンスでも、エロスはブラウン運動のように、休みなく、きらきらとした軌跡を描いて動いています。エロティシズムはあるのだけれど、その裏にファラスによる性表現の支配、男性による表現上の奴隷としてのエロティシズムはアメリカにはいまだに深く根を張っていますが、KGPにはそのファラスの呪縛から離れてそれが存在しています。書き方を間違えました、それははじめからファラス=ロゴス(PHALLUS=LOGOS)が支配的な力学の場ではなかったのです。 K-POP(複数形の`S'は付けないようなのです)の男性グループ、女性グループそれぞれの楽曲を聴いてみると、コーラスに頻繁に異性の声が添えられています。女性には男性、男性には女性。 そこには生殖行為が二つの性の間で営まれるものであるという厳然たる事実のうえに立ち、ヨーロッパ・アメリカ、とりわけ<白人>と自他ともに認める人々に深く根付く、優生学的な序列への欲望と指向、あるいは`嗜好’からはいつもこぼれ落ちてしまう、性のそれぞれのありかた、同性愛という性も当然含めた異なる性への尊厳が見えてこないでしょうか? 芸能界だからそういうきれいごとばかりではない、割り切れることばかりではない、という向きもあるでしょう。でも欲望をメディアにのせるのがひとつの使命でもある芸能界が、まるで無意識のようにコンテンツにそのような表現を託しているのを見ると、あながち恣意的だとばかりは言えない気がします。 ナチスドイツで史上稀に見る人間の尊厳への侮辱と暴力が炸裂した地獄の十数年間ー。じつはそれに先立つ100年以上前から、すなわちヨーロッパが帝国主義、覇権主義にとりつかれていた植民地時代に、みずからを過つことのない測定器として自認する彼らは、現地の`野蛮人’や`未開人’、`発展途上国人民’と自分たち優秀な<白人>が違うことを、当時の科学的根拠・尺度をもって証明しようと試み、`実践’さえしました。 現地人の血が`優秀’な<白人>の血に混入することを忌避して、「血の選別」を植民地各国で展開したわけです。政治経済の覇権主義と併走するように拡大していったのは、人種差別、民族浄化という癌細胞でした。 アメリカ合衆国アラバマ州で、合衆国最後の異人種間結婚禁止条例が廃案になったのは2000年のことです。 (これらのことは、『白人とは何か?』(刀水書房)の数章に書かれています。) ずいぶんシビアな話になってしまいました。 美脚を惜しげもなくひらめかせるガゼルのようにしなやかな女の子たちを礼賛するつもりでしたが、いったいどうしちゃったのでしょうか? アジアから新たな女神が喜びをもたらすのでしょうか? 期待しましょう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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