うらやましいぞ!鉄爺
予定どおり広島へは鈍行で行った。片道3時間余。列車はがら空きで楽に座れたが、さすがにおしりが痛くなった。 山口線で新山口に出て、山陽本線で広島へ向かったが、向かいの席に同世代と思われる小柄な爺さんが陣取っていた。気がつくと停車の度にディジカメを取り出して駅名表示板を撮影している。鉄爺らしい。さらに観察していると、離れた席に彼の子供ほどの年回りの兄ちゃんが一緒らしい。言葉遣いから親子ではないようだ。 定年退職したらキャンピングカーで日本中を旅して歩くことが私の夢だった。遊んで暮らせるほど裕福ではないし、遊んでばかりいるのも飽きるだろうから時折気が向いた時だけ働いて生活の足しにするというのが理想だ。 しかし、世の中は不況の嵐の真っ直中。爺の我が儘を聞いてくれる所などない。どんな仕事でもありつければ幸運。クビにならないように真面目に働くほかない。年休を取るのもおそるおそるという調子だ。世の中は甘くない。