カテゴリ:今日の出来事
菅首相はフランス北部のドービルでのG8サミットに先立ち、OECDの設立50周年記念行事で演説した。その中で原発事故の教訓を世界に伝えることが日本の「歴史的責務」だと表明し、日本は再生可能エネルギー(自然エネルギー)の普及に向け、「日本中の設置可能な約1000万戸の家の屋根すべてに太陽光パネルを設置することを目指す」と述べた。
鳩山首相は、かつて温暖化防止のため二酸化炭素排出量の25%削減を国際公約しているが、民主党は立て続けに夢のような目標を国際社会に公言して大丈夫なのか。 今回の原発事故を契機にわが国のエネルギー政策は転換されるであろうから二酸化炭素排出量の削減目標達成は到底無理だと思われる。国際公約を達成するためには世界中から排出権を買い集めるほか無いのではないか。その金はどうやって調達するのか。 太陽光発電を普及するというのはいい提案だ。菅首相が原子力と同程度に太陽光発電にも詳しいのかはしらないが、数値目標が達成可能なものかはやはり心配だ。日本中の家のうち、1千万戸の屋根に太陽光パネルを設置すると言うのはどういう計算だろうか。 日本には人が住む家は4千7百万戸くらいあるらしい。一戸建ては半数強で約2千7百万戸。一千万戸といえばいずれにせよ相当な数だ。低所得者や独居高齢者などは経済的困難が予想されるし、家屋自体の老朽化から物理的に取り付け困難な家もあるだろう。豪雪地帯では発電効率が期待できないほか、雪降ろしに支障があるだろうし、積雪が滑り落ちるおそれも大きいだろう。既に新潟地方などで太陽光発電を設置している人もあるようだが、費用対効果からは疑問がある。そういうことなどを考え合わせて、付けられるところには全戸つけてもらうというのが1千万戸ということなのだろう。 大風呂敷を広げて内政の失点を外交でカバーしたいということと思うが、世界に公約する事柄は自分ひとりの思いつきではなく、関係先と十分事前調整をしてからにしてもらいたい。緊急事態対処とは違うのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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