FEDEX機大事故
昨日は関東地方の交通機関は強風で大混乱だった。私も東京から帰る便が大幅に遅延してひどい目にあったが、それどころではない大事件が今朝起こっていた。 中国から貨物機MD11が成田に着陸しようとしたところ、強風のため着陸に失敗し、横転炎上した。貨物機のため乗員は2名のみだったが、二人とも死亡。成田空港初の死亡事故となった。 今回の事故の原因については国交省の事故調査委員会が調査中だが、これまで明らかになっていることから推測するとウィンドシアが主因と思われる。 ウィンドシアは風が局地的に急激に風向風速が変化する自然現象だ。 飛行機が着陸する際、速度が遅いほど操縦も容易だし、一般的には安全性も高い。だからといってあまり速度を少なくすると失速の危険が増してしまう。そこで、滑走路の近くまでは失速速度の3割増くらいの速度で進入し、安全に着陸可能と判断したら更に減速しつつ接地する。 この接地寸前の時期には失速速度に近くまで減速しているから、風の大きな変化、例えば強い向かい風が瞬間的に弱まったりすると飛行機は失速するおそれがある。 FEDEX機に何が起こったか現時点では不明だが、大まかにはこういったことが事故につながったのではないかと推測されている。 事故の瞬間の映像を見ると、航空機は接地後大きくバウンドし、二度目には前輪から先に接地している。その後さらに大きいバウンドを起こして左に傾き、横転し爆発炎上してしまった。このようにバウンドを繰り返す状態をイルカの水面を跳ねるさまに見立ててporpoiseというが、これは極めて危険な状態で、操縦士が適切な操作を行わなければ機体はクラッシュする。 porpoiseを回避することは操縦士の基本であって、プロのパイロットならそういう状態にならないよう細心の注意を払う。今回はウィンドシアによってパイロットの予想しない状況に陥り、porpoiseに発展してしまったのだろう。 大事故には幾つもの原因が複合的に存在することが多い。今回の事故にも発表されていない原因が存在することも考えられる。今後の調査を中止したい。