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先日BOOK OFFにて荒俣宏氏の「決戦下のユートピア」を105円にて購入しました。 1999年の刊行ですからもう8年以上前のものです。 今次の戦争中の庶民や軍人の生活ぶりを記している。 荒俣氏は「日本の人口政策は、『産めよ殖やせよ』の方針をつらぬいてきた。 大正9年の出生率は人口千人当たり36・2人という最大値を記録した。 当時のヨーロッパでの出生率が10人からせいぜい20人どまりだった事を 考えると驚異的な数字であった。」と記す。 しかしその後「昭和13年には26・6人に落ちている。…理由は貧困にある。 国土が狭く、経済的に苦しければ子をふやしたくないと庶民は考える。」 「ナチスドイツはこの貧困と出生率の減少とに関してはユダヤ金融資本の影響 があるとしてユダヤ民族への憎しみを煽った。彼らが安い女性労働者を雇用した ため結婚のできる男性が少なくなったのである。『婦人よ家庭に帰れ』という スローガンも打ち出した。」 日本もこのナチズムに影響され近代個人主義を批判し人口増加を政策化して 大東亜戦争の梃子にしようとした。 ナチズムはさらにユダヤ民族絶滅という国策を強行した。 日本は大東亜で追随しようとしたが早々と負けてしまった。 荒俣氏は戦時下の東京を中心とするモンペのファッションや軍人の接待なれなど 緻密な分析とユーモラスな批評で鋭く迫る。 生命保険会社の戦時下のあわてぶりも誠に興味深い。 とすると現今の日本の庶民生活の格差や少子化、食料の自給率の低さなどかなり 似ているといえまいか。 あの戦時下の国民の貯蓄奨励はまさに戦争準備であり、敗戦後の超インフレは貨幣価値 を下げて、真面目な国民の財産を大幅カットしたものである。 荒俣氏は当時の住専処理と同じではないかと批判する。 さて私は先日さる図書館で5冊ゼロ円の消費をおこなった。 ありがたい事である。 しかしこれもわれわれの税金であって、本当は当たり前の償却なのかも知れない。 やや疲労気味です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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