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不思議の泉

不思議の泉

6.森の入り口のうさぎ屋

6.森の入り口のうさぎ屋



色の妖精が教えたとおりでした。

☆ 森の入り口のトチの大木。
☆ そばには小川のせせらぎ。
☆ トチの枝には水色ガラス板。

【めるへんソーダ水あります@うさぎ屋】

切り株のイスとテーブル。
若い物書きはイスに。
目を覚ました、キャンドルの妖精はテーブルに。

、、紗なり、、紗なり、、

トチの幹にできた洞、木戸あけて。
藤色の紗の着物、粋に着くずし。
おんなの美兎、色っぽく衣ずれて。

「艶やかな色に心奪われ 弾け散る。
 この世の憂さも軽々と 浮いて泡と消えにけり。
   うさぎ屋へ、ようこそ。
   おふたりには、海のメルヘンをご用意いたしましょ。」

、、紗なり、、紗なり、、

おんなの美兎、後姿は襟足なまめかしく。
若い物書き、ため息1つ。

「鼻の下がのびてるわよ、物書きさん。」
「いや、なに、私の好みはメルヘンのかわいいウサギだよ。
 それでも、…うさぎ屋さんには見惚れるね。
 おっと、見惚れてて、お代のこときくの忘れてた。」
「たしかにね、ふふ。」


     微かな風のゆらめいて、柔らかい筆のように。

     若い葉のささやいて、パステル画のように。

     せせらぐ瞬きに硝子は、水いろめいて。

     ウサギの森は生き生きと、いろを描いて。

     ぼくは画帳もひらかずにいて。

     パレットにメルヘンという色彩をつくってみてる。


、、紗なり、、紗なり、、

おんなの美兎、お盆に碧いソーダ水。
色の妖精も手伝って、手に大小のストロー。

「あなたの唇燃えて、ぬれてゆく。渦巻いて、引き込まれ。
  真珠貝。(つれてって)泡は人魚の吐息。誘うように、撫でるように。
        きかせて、あなたのコトバ。。。
 お待たせいたしました。
 心ゆくまで海のメルヘンをご堪能くださいませ。」

おんなの美兎、テーブルに碧いソーダ水。
色の妖精も手伝って、グラスに大小のストロー。

「あの、銀貨1枚で足りますか。」
「お代はもう頂戴いたしました。
 さきほど美しい詩をおきかせいただいたので充分でございます。」

、、紗なり、、紗なり、、

エメラルドグリーンは甘酸っぱいライムのソーダ水。

若い物書き、おっきな1吸い。
ワオ!!!!!!!!!!
キャンドルの妖精、ちっちゃな1吸い。
ワオ!!!!!!!!!!


    マーメイドとび跳ね moon light か、がやく

          ゆめ、碧くはじけて、うまれ、る

    うたうドルフィン
        おどるクラゲ
             ひかるサンゴ
            海の底、貝に眠る タイムトンネル
                   さがしにゆこう

    空は、飛んで star light ペンギンの波

          ゆめ、碧くてまるい、ソーダのあ、わ


、、紗なり、、紗なり、、

「めるへんソーダ水、
   お口に合いましたようで、ようございました。」

若い物書き、おれいのコトバ。
キャンドルの妖精、羽ばたき。
おんなの美兎、にこやかに。

「今宵は青い満月。
   年に一度の森の朗読会。
   よろしければ、うさぎ屋がご案内いたしましょう。」









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