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不思議の泉

不思議の泉

19.シェーラザードの1通目

19.シェーラザードの1通目の手紙



眠りプリンセス&プリンス、目を覚まして。
オルゴオルのそとへ。
と、みるみるみるみるみるみる大きくなり。

10年ぶりの再会。

シェーラザードの妹と隣国の王子でした。
二人をのこして。
オモチャたちは、時の宝箱へ。
時の宝箱は、星空へ。
星空の下、戸惑いの後、よろこびに館の灯はきえることなく。



翌朝、シェーラザードは2通の手紙を書きました。
  1通目は、王子の母親である西域の国の王妃に。
  2通目は、姉妹の母親である異空間に移動した国の王妃に。

「これで、万事整うはず。」

シェーラザードは手紙をプリンセス&プリンスに見せ、
二人を抱きしめました。
虹色の羽 ―吉報の印― をもつ小鳥が呼ばれ、
手紙が託されました。



小鳥は、まず1通目の手紙を。
    西域の国の王妃は、
    今日も、
    10代の若さで戦火に散った末王子の部屋に。




             きのうが、ないて、ないて、たきにながれて、

             …きえてゆきます。

             ちんもくのいのりがきこえます。

             たびだちのあいさつは、のこさずゆき。

             かわりに、

             めざめのための、えがおのことばを、

             ねむれぬよるの、ゆめのうたを。





そこへ

窓から、虹色の羽。
  ―吉報の印― 
             ぴゅるるるぴろぴろ

                しあわせを

             みつけてください






       親愛なる 西域の国の王妃 へ


    あすは、きのうの挽歌ではなく。祝いの歌を。

    星霜の歳月、心を沈めてきた喪失を。

    時の宝箱にみつけ、喜びの虹色をとどけます。

    かねての約束を、砂から拾いあげ。

    愛あればこそと。


                  シェーラザード








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