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不思議の泉

不思議の泉

21.ジャガイモの花

21.ジャガイモの花



     孔雀の七色は

     鮮やかなショードレス

     揺れる羽扇、ふわりゆらり

     モデルウォークに

     人の目のスポットライト



孔雀の羽の美しさに、しばし皆は見惚れていましたが
銀狼が口を開きました。


「お客人のご案内をお願いします。
 私は国王のところに行き、兄にこの嬉しいニュースを知らせてきます。
 こんなに長く国王が兄を引き止めることはなかったのですが。
 兄と二人、後から孔雀さんに案内を頼みましょう。」


すると、キャンドルの妖精が若い物書きに耳打ちしました。
若い物書きはややあって穏やかに言いました。


「銀狼さん、わたしたちもお連れください。
 きっと何かのお役には立てると思いますよ。」



     緑の針葉が GREEN green 歌う

       栄光の 白きキャッスル

     青き霧 blue fog の衣を纏い

          高き名を冠す


ジープは、銀狼と若い物書きとキャンドルの妖精をのせて。
城のある山への牙道を、ガガと登る。
険しさが一息ついたところで、銀狼は胸ポケットから紙切れを。


「やはりお客人はおわかりでしたか。
 ご推察どおり、どうやら兄と王はトラブルに巻き込まれたようです。
 その紙にある詩は兄が館を発つ前に私に書き残したものです。
 詩題の『ジャガイモの花』というのは
 痩せた土地に肥沃な花を咲かせた国王の賢政を意味していて、
 私達兄弟の暗号で、国王をさします。」



     『ジャガイモの花』


     しあわせのサインは


      人形の白い指


   けれど、あてた口びるから


      こぼれて落ちる


    永遠に失われるピース




「銀狼さん、コレは・・・
 口外すれば国王の命はないという意味でしょうか?
 で、人形というのは?」

「お客人のおっしゃるとおりだと思います。
 人形については…、私にもわかりません。」


     キャンドルの妖精の指が

     ☆こ☆ま☆や☆か☆に☆

     光の粉を集めて。

         映し出される ―――マイセン陶器のあどけなき少女
                       白い指
                          白い鳩


「あっ!ソレは、国王の書斎にあったものです。
 胸飾りのエメラルドが見事なので、間違いありません。
 ともかく城に行ってみましょう。」





        夢たまご21ジャガイモの花







                       写真:TS





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