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C.S.ルイスとシュタイナーとルーシー＆オーエン・バーフィールド

（これは2005/05/05のことです！）5月5日、教文館4階のアトリエ・ルピナス展を堪能したあと、6階の「ナルニア国」フロアーへ。　私はC.S.ルイスの『ナルニア国物語』とJ.R.R.トールキンの『指輪物語』に少女期決定的な影響を受けています。ともかく未だに大好きなのです。きっと生涯それは変わらないと思います。　何か新しいナルニア関係の情報はないかな？と思って足を踏み入れたのですが、残念ながら原書も含めほとんど持っていました。でもディズニーが　『ライオンと魔女』を2006年に映画化するとのことは、噂には聞いていたけれど、決定とは知らなかったので吃驚。ルイスはディズニーの絵柄を子供に媚びているといってとても嫌っていましたが、はてさてどうなるでしょうか？　『指輪物語』のような熱烈なトールキンファン（P.ジャクソンは私と同年代！）の監督が作れば別でしょうか？　ともあれ以前から読みたくていたルイスの自叙伝『喜びのおとずれ』があったので小躍りして購入。（富山房百科文庫　1300円+税）私にも「喜びがおとずれますように！」と思いながら、一気に読み終えました。　でも敬愛する牧師の説教のようなもの（もちろん皆さんご存知のようにルイスは有名な英文学者、キリスト者で、オックスフォードではJ.R.R.トールキン教授と大の親友だったとのこと）心の糧になるようなものを読めるかと思ったら、悪夢にうなされるような、辛辣な無神論者＆厭世主義者の独白がありました。　そして最後の章は『真の始まり』。31歳の時に神様に全面降伏されたようです。　延々霧の中を進むように読み、最後のそこまできて心からああよかった！と思える大変な一冊でした。　なかでも興味深いのはシュタイナーに関する箇所です。　オックスフォードの学生時代、親友達の間でシュタイナーの教義が流行し、ぞっとするほどの衝撃を受けたとあるのです。降霊術師（シュタイナーは否定しています）や、健康な精神を病ませる忌むべきオカルト主義者と同様に考えていたようです。　その親友達とは言語学者のオーエン・バーフィールド（イザラ書房にても著作を発売中）、A.C.ハーウッド他大勢のようです。平生なら心騒がせぬはずの人達もシュタイナーに共感したとありますので。でもそのさきをここに引用しますと「友人達は神秘に対するがつがつした渇いた欲望に促されて堕落したのだと想像した。　今考えてみるとそんなことは一切なかったと言える。　友人達はそんな人間ではなかった。シュタイナーの神秘主義も、私の見るかぎりそうした人間を餌食にしたりはしない。シュタイナーには、刺激を求めた人々を離叛させるような要素と、ドイツ人特有のしたたかな鈍さがあった。この程度のことが、彼の説を奉ずる人間の性格に有害な影響をあたえたとは思えない。　　それどころか、かえって幾分かの効能があると思った時もあった」と。　ともあれ、ルイスいわく「シュタイナー信奉者の」オーエン・バーフィールドとの亀裂が学生時代に決定的なものにならなくてよかったなあと、心の底から思います。だってこのカーネギー賞も受賞したファンタジーは、バーフィールドの娘さんルーシーのために作ったと、ルイスは『ライオンと魔女』の巻頭の辞で述べているのですから。　ルドルフ・シュタイナー博士のまっすぐ太い真髄は、終生の友人たちからきっと伝わっていたに違いありません。

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