シュタイナー関連書籍出版社                イザラ書房編集室だより

2006/04/20(木)09:35

シュタイナー選集『死後の生活』後書より

エッセイ 後書き お知らせ(74)

1989年にイザラ書房から刊行した、シュタイナー選集『死後の生活』 (高橋巖訳/横尾忠則造本)の書誌データをまとめるために、久々に 後書を読み直していました。 たまたま今朝方息を引き取られた方がお隣の家にいて、お悔やみのご 挨拶に伺ったせいもあるのでしょうか、特に下記の箇所が目に飛び込 んできました。 ~本書が何よりも強調しているのは、現界と霊界が決して 切り離されてはおらず、むしろ相互に深く関連し合ってい る、ということである。 霊界のことを考えなければ、現界の本当の姿本当の意味は 理解できない。だからシュタイナーは今日の社会の危機を 乗り越えるために、死者との関係の回復をわれわれに求め 続けてきた。地上のわれわれはいつでも、覚醒時にも睡眠 時にも、死者との共同社会の中に生きている。 そのような社会の中にいて、もし死者からの働きかけがな いと思えるとしたら、それはわれわれの心がこの世的なも のに向きすぎているからである。われわれが自分の個人的 な利害関係を超えればどんな会話の中にも、どんな行動の 中にも、死者を通しての霊界からの働きかけが生じるので ある。 このような記述は、『教育の基礎となる一般人間学』(イザラ書房他刊)にも 詳しく書かれています。死者と天使がいかに私たちの考えから栄養を摂取して いるか、それは驚くべきものでした。 ~それでは一体、われわれの方から死者に向かってどのよう な働きかけができるのだろうか。~生前の死者の姿を生き生 きと心に思い浮かべながら、心の中で、または低い声で、 死者たちに霊的に深い内容を持った書物、聖書やお経を読ん であげること以上によい供養はないのです。 それが死者に対してもっとも好ましい働きかけになります。 そのような例を私たちは人智学運動の内部で数多く体験して きました。 家庭の誰かが世をさり、後に残された物がその死者に対して 朗読して励ました例をです。そうすると死者たちは提供され たものを深い感謝と共に受け取ります。そしてすばらしい共 同生活を生じさせることができるのです。~ (以下は1913年1月21日のシュタイナーの講演録からです) 「そこで次のような問いが生じます。一体死者は、霊界で教 え諭してくれるような霊的存在を見出すことができないのでし ょうか。 ええ、見出すことはできないのです。死者は生前結びつきの あった霊的存在たちとしか関係が持てません。死者がこの世で 知ることのなかった神霊や死者たちに出会っても、死者はその 存在を素通りしてしまうのです。 どんなに役に立ってくれそうな存在に出会っても生前関係がな かったのでしたら何の役にも立ってくれないのです」 すごくきっぱりと言い切っていますね。 先日、日本心霊科学協会に所属している方から佐藤愛子さんの書かれた『私の遺言』 (新潮社)をお借りしました。 約30年間の霊界幽界の干渉からの戦いの有様が、ぐいぐいとした筆力で描かれ、 手に汗握りつつ一気に読了してしまいました。ご祖先やずいぶん昔に惨殺された アイヌの方たちから追いかけられて30年は長いなあと、その晩うなされてしまい ましたよ。 私自身はシュタイナーの『ルカ福音書講義』を、父の遺影に向けてずっと朗読した ことがあります。穏やかな波動はいまも父から感じます。 そしてわが家族はお墓参りと神社が大好きです。 >>>シュタイナー選集『死後の生活』は在庫なし、再版予定もありません。 1980年代後半の時代を映したような出版でした。 高橋先生の現在のご活躍に敬意を表しつつ・・・

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