294353 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【ログイン】

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

写真詩詩文控え5

【285】



青は白日の欲望を映し出す鏡
かよわき腕の汗え みそらをかけるごとく
険しい山の岩場から、崖へと滝のように滴り落ち
ああ、ただひとりなる悲しさよ・・・
私は問う、しずかな想いにさそわれて
そうだ、―――その貴重な生涯のどこに
麓の家々があったか、否、私の恋人がいたか、
私の心に変わるにつれて、
あなたの心が変わっていくような・・・
鳥たちが啄ばむたびにひらひらとましろき、
雪の粉が舞い訪れるような、
春・・・ それは美しい春。
楽しい春・・・ それは、青。
芬々たる香水、否・・・ それは綺羅綺羅とした
青、―――いみじい感情の屹立
女は瞳に胎した、活き活きと脈打つ
恋の莟み・・・ 朝露の匂いがうすれた
シャボン玉のいとなみ



【286】



もっと。もっと深いさ・・・。

チークタイム、君はつぶれてしまう。つぶれてしまうかも・・・。

メロウ、ミラボールから・・・ 穏やかでスロオなイメエジ

律動、ほんとうのこと・ よいこと・ 美しいこと

宇宙のように広がる空間で抱き合いながら身体を前後にゆさぶる

汗をかいてる。ああ、汗のにおいが香水にまじって女のにおいがする。

アラベスク、可視的物質世界を超えて

深く。ああ、もっと深く・・・。



【287】



そとでは雨が降っているから

き みは 傘

見上げれば 青 い 空

青い翼の夜があらわれて

騙されていた し ろ い 雲

き みは 傘

きみ は 傘 さし て

かおりの な い

とうめい な 宝石をみるの・・・?



【288 浮くということ】



わたしは泳ぎます
のんびり泳ぎます
泳ぐことを泳ぎます
泳げない時も考えます



【289 葉の歓喜】



年輪が
掌のように思え
もしやおまえの手
地球に
座られることを
夢見るのかと
思える昼もあり



【290 ゆうら月】



秋は」
・・・ぼくは乱される。
  「乱されたい、
   と言った覚えもないのに」

  冬は・・」

  ・・・もし、乱されなければ、
  誰のためにそうするの?

 はる は
  じぶんの欲望で生きることは
   狂っている・・。

  夏・・」
   時間は誰のため?

    ・・あめが降ってくりゃ
     こうふくな夜・・」



【291 生徒会長の挨拶】



 1 わたしは立っている
 2 MIRROR
 3 秋掩う雲の橋
 4 海ーコーラ
 5 ボート乗り場
 6 公園と黄昏と・・
7 すてれんとぐらまらす
8 夜明け
9 トンネルの向こう側
10 二段ベッドにて
11 青春よ、さようなら
12 わが町の倫敦塔
13 修学旅行フェリー
14 櫻の樹の下、なんちて
 

 わたしは日記を書こうと一大決心して、高校入学を機に、写真アルバムと共に、ひとつの詩集をつ
くった。いやもちろん、お年玉で10万円もらってるわけでも、バイトもしてないから、
 ・・・やや、お金がなくて、自称である。青春の記念サ、と言ってみたり。
 たとえば、わたし、三年前の四月四日、
 『友達1000人つくるもん☆ べろべろべ』
 などと、すげえ恥ずかしいことを、わたし、書いてる・・。
 ―――教えてほしい、三年前の私、稚拙すぎるうえ、べろべろべ、って何のことですか。
 穴を掘ったら、ゾンビ出てくるんだなあ、とおもう。
 あ、・・・上の14枚は、魂の一行詩という感じで、載せただけですy
 別にその日、ぐはあ・・・喀血!!!
 なんていうこと、あったわけじゃないんですよ。
 でも、すこし説明補足すると、「わたしは立っている」は海が見えて、砂浜があるんです。
 この砂浜は、・・・や、暴走族のたまり場で。
 たとえば、「トンネルの向こう側」は、お友達の写真なんです。
 や、こいつ、外国行きやがった、クソウ、わたしも負けずに、外国行ったことにしてやる、って無
断転載ちがうかお写真あずかって、今日からわたしはアンネだ、って偽名つくって、今さらながらち
ょっと、東北弁で、恥ずかス。。。
 まあ、ここだけの話よ、ナイショよ、シイよ、―――ホントかなあ、とわたし腕組み
 ホントホント、・・・ほんとっていう奴は嘘つきなのラア!
 ・・・いいから、はやく、説明しなさいよ。アンタ生徒会長でしょ。
 アンタ、卒業式でするって意味わかってんの、こら! と・・先生こわいわあ。 
 あ、すみません。こほん、「青春よ、さようなら」は実は、あの、ウのつく茶色いものを、
 ―――やだなあ、なんで、みんな笑うんですか、卒業式ですよ、泣いてくださいよ、
 高校を卒業するっていう乙女が、ウのつくもので、人生やり直しきかないくらい落ち込んだのに・・。
 と、まあ、そんな感じなんですけど、――下級生の皆さん、来年、わたしの妹が入学すると思いま
すけど、そのお、生徒会長が最後にネタをとった、妹もそんな奴かと思われるとかわいそうなので、
まあ、卒業式ってことで見逃してください。
 ・・・卒業生の皆さん、我が胸! 狂乱の嵐。笹舟ゆらる運命の波にせつかれる如し!
 ああ、母校よ、さよなら! さよならセンセエ、さよなら、下級生諸君!
 ああ、最後に、来年も楽しい一年がここにいる人達みんな過ごせますように。
 願ってます・・・! 願って、ます・・・!



【292】



九月も越えた頃になると、さなだ虫のような形状を思う。
ふとい鉄の棒でビルディングが構成されていると昂ぶって息苦しいような気持ちで思うのに、
まるで想像の余地さえなかった知恵の輪のように、――それはある。
・・・さなだ虫は煮えくりかえった僕の外的刺激の一つの暗示的な姿となる。
モノクロームの絵の中に充填された、棘のある、不幸をあらわす感覚系統が、
真珠を連ねた如くにイルミネーションとなって僕の脳裏を埋め尽くす。
さなだ虫万歳! 黒い鳥のような瞳をした僕の誕生日が近付く。
どこかで、とびきり澄んだ幼女の舌っ足らずなあまい鈴なりの声のように、
けだるい受胎告知を待っている。

太陽が球形で繊毛を茂らせていると知らない、骨ばかりの形態的特徴の都会に、
しゃがれたハスキー・ボイスの僕の声が――きこえるかい?
まるで白い壁に焼きつけるような、ゲルニカみたいな声、と恋人はそう言った。
・・・ありとう、岩を噛む音や、魚が跳ねたりするように、すさまじい洪水を思うよ。
あなたはまるで澄んだフルートなのに、パセリのようなほろ苦さがあるのよ。
粘着いているんだ、僕は。
職場で鳴り出した電話音みたいに、涼しい音は鳴らせないよ。
まるで古い教会の、人間の匂いを取り上げた鐘の音みたいに・・。

ずさっと帯状のさなだ虫が、しんが固くて、味のするスルメみたいになって、
いま、味がふくれてきた。弾力ありげな唇が、骨や筋肉とを連動させて、
いまナイフの閃光のように、しみとおる、まぼろしの切れ味で。
・・・僕は半透明になる、輪郭が徐々に崩れてゆく、渇いた冷たい光の中で、
熱い砂、八月の蜃気楼が去ったと思う。わけもなく、額を湿らせた汗が去ったと思う。
――僕は、まるくふくれてくる、親指みたいに、
皮膚の表面があぶられて固くなったと、・・・そんなことをぼんやりと考えてる、
九月、僕は繊細な鱗の一枚になったと震えるように発光する。
そして点滅する。暗澹と横たわる大気に、まだのぼり続けてゆく石段に。
僕というさなだ虫にうぶ毛が生え、・・・翼が生え。



【293】



その梢の間に、莟がある
みだれたまぼろしの夢
あるいは啄木鳥、あるいは口笛、鼻唄
おまえは寒い道路よりも果てしなくあたたかな海で
蟲惑的な扉絵を探している
肯きあって、笑い合う、世界の発見を

 どうしようもなかったと足下に枯れ葉
 みだれたまぼろしの夢
 あるいは枯れ枝、あるいは茸、苔の類
 でも涼しい野生の花が匂ある舞踏のように楽譜を捲る
 すべてのそよぎが絶望への合図
 ピアノは酔って、雲が、ながれる

頑丈な鉄骨のなかに十字架をさがすのは何故
みだれたまぼろしの夢
あるいは鐘を、黄金の魅惑、このゆたかな黄昏を
おまえは祝福したい、午後五時
その胸を膨らませ、ひとつの、出会いが
ここでもまた不思議な矢じりが

 このハイイロ大地に、その地下水を想起させる
 みだれたまぼろしの夢
 あるいはその管のある根、硝子溶液、あたたかい感覚で
 キューピッドが現れる、丸々と肥ったユーモラスな体型で
 脛に傷のある、熊のような、なりをして
 左に傾くように丸みをおびてこぶしの花



【294】



硝子というより水晶体の瞳をした僕・・・・・・。
がらすというよりすいしょうたいのひとみをしたぼく。風になれ。
扁平な壁の向こう側にいる僕・・・・・・。
へんぺいなかべのむこうがわにいるぼく。土になれ。
顕在的な自我意識とは言い換えられないから・・・・・・。
けんざいてきなじがいしきとはいいかえられないから。火になれ。
超然的な無意識に満足させる方法がある・・・・・・。
ちょうぜんてきなむいしきにまんぞくさせるほうほうがある。水になれ。
意識領域に整然と存在している僕と・・・・・・。
いしきりょういきにせいぜんとそんざいしているぼくと。朝になれ。
無意識領域に雑然と存在している僕の為に・・・・・・。
むいしきりょういきにざつぜんとそんざいしているぼくのために。夜になれ。



【295】



携帯電話から漏洩しているように、ねじ曲がったディープな音楽、擦れて
いないクラシックのような音楽、ネジ巻きのようなレコード音楽。
その欠片は見え隠れして、逃げては戻ってきて、洩れては消え、
かすれては届く。
耳に聞こえると残滓がいいのか、掠れて届いていても、
不思議と鮮明になる後味もたまにあったりもする。
霧の中の国道のように。その音楽が、
ちゃんと何処かに存在している
すこし、ふしぎ



【296】



 空が青かった頃・・・・・・。
空が心のように澄んでいた頃・・・・・・。
叶わぬ夢、届かない恋、色なき風



【297】



シーリメーツレーツなヘリクーツッ
靴? 尻?
クック・・・くっ付く
くくく、ねくらねくら
おくらおくらお蔵



【298 May I have your name】



クレー射撃の名手のように狙い澄まされて、パーン
格好の標的!
耳心地のいい
音はずっと昔から
響 
い 



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

   ちがう、ちがうわ

  って、ちがうことがちがうってのが!

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


ゼロ、連ねてみることで―――発射
 今、
 ポンと蹴った瞬間に何処かの穴の中へ収縮する
ような音が鳴るサッカーボール。
たとえば夕暮れ
穴はゴールポストに







【299】



午後は裸で
木の上に眠った
・・・足踏みオルガンのように
雲のようなラジオ放送

 ――そして大通りに
 影が産卵する
 ・・・言いようのない低い声で
 話していた 雑木林のゆれる声

  -自分達は邪魔ものみたいだ
   すぐに、家をぶっ立てる

ゆるやかなうねりに
身を任せた鳥
の巣

  -でも鳥も疲れていたかも
   だって人間は
   すぐに池の水を飲み干す

でも高い高い木から
地平線
ちっぽけなその部屋で
たとえどんなに汚れた景色でも
機関車の煙みたいな雲が
不死鳥みたいに金色に
染まればみんな
眼を細め

  -ほら、まるで
   海みたい・・。

球い実を
ぽとんと落とした
・・・落とした
一枚の羽根のように

 ――あなたのてのひらへ
 やわらかい、ぬくみのところへ
 ・・・これから、そう、これから
 ぎこちない、おかしな仕草で拾う

  -ぼくらの弱点、たとえば
   うすい呼吸、、痰をまじらせながら

手にいっぱい
握りしめた
固く固く、とざした
そのカギ音が消えて
舌は切られて
・・・もう壁のなかの
死体

  -ぼくらは何処へ行けばいい
   木と鳥の会話も、あのねぐらでの俯瞰も
   空のような足場も・・どうすればいい

午後は裸で
木の上に眠った
・・・足踏みオルガンのように
雲のようなラジオ放送

  -いまは消息不明
   「夢か 幻か」味気のないコンクリートに
   荒廃した風景に伝言することもなく



【300】



鍵なんて叩き壊して、鎖を解こうよ、
KNOCK KNOCK DOWN
それでもわたしたちギーッと軋んだ音をしるよ
  たたかいは終わらなかったんだ
 それで忘れてくよ、みんな、忘れてった
  恐れてたのだ、腐蝕したのも、でも、

新しい鍵になるよ、触れたら鼻につく
鉄じゃなかった、ただそれだけ
KNOCK KNOCK DOWN
 めちゃ くちゃ であれ
   めちゃ くちゃに ナラシテよ
  ナラシテ!



【301 イエス・カモメの布教の旅】



 ーわたしの上に、パンダしかおらず、
 わたしの下に、ドウナツしかあらずー


 噫々ひそかにも暗澹として
 彼方へゆけ! いかんぞ我れは寂寥の谷
 飢饉に遭つた仁王様みな羅生門の不景気と
 片脚草履・・・片脚を棺桶に入れど、
 妙ちきりんの然様! ささ、じゃが芋どの
 ヒヨコリと頭下げれど乾坤に充満する
 ・・・三、四秒。―あえて問ふ、あえにあえに
 永訣の朝! さればみな服をケンシロウ
 ゆわつしやあ。と! 裂き棄てる
 あれ? と首をかしげ―。永訣の朝つて・・・
 だまれ! だれ、てゆうかツ! だれ・・・?
 ゆわつしやあ。と! ・・・生まれついての叛きし思想 
 噫々 宮沢賢治のごとく悲しみて
 たとへば重たき石を背にする囚人・・・!
 オオ、オナリザもつて烈風の・・・我れ独眼流アウトロオ
 たとへるならばDADAこねる中也仕込みの
 十把人から毛とゐうつまらぬ言葉などを云うなぞして
 考へて考へてー。了ふ・・・! それで生きるに倦もうと 
 其れつ限りでい迷宮探索、意志と愛
 シヨウペンハウエル・・・シヨウベンするンDAY
 ダ・ヴヰンチは久遠の凱歌ぞ! ペンチで舌をぬかれし
 イルミナテイ 噫々ン! ところでイエス・カモメ
 おつしやれまろは気分よろずや聖人君子・・・違つた
 うまごや聖徳太子「この国は・・・如何なるのでさふか」
 簡単であるぞよ・・・! 朕ドウナツを食べれば
 パンダまくわうり―。笹の葉さらさら動物の星



【302 何処かで会えたら】



星を見た
空を飛翔しながら井戸を掘るように
・・・涙を滲ませた
孫が、曾孫が、いや、人類の繁栄が
「目を潤ませている・・・」

汽笛を鳴らすようには場所を教えてくれない
地図がよぎる
そして僕は席に着く
空よ、ため息が波になる

 向かう、向う・・・ねじれ、旋回し、
  次の瞬間、丘に隠された、泡

 ・・・・・・この流れ星

いつの日にかずんぐりとした形で
やっぱり窓ガラスを拭くみたいに真っ青で、
それとなく鮮やかな赤を持ってるんだろう
でもあくまでも、それは風の名残

ぶらりと垂れさがる舌が星の光だったら
どうしよう
ファック・ユウとか言うのか
でも、波のようにうねりくる審判の日
あくまでも 時を止めず

 花開く、開らく・・・都市は爆発する
  宇宙船には、この地上の、血



【303】



  1

 階段をのぼりきると出口があって
寸前で踏み外しそうな
段々壁が迫ってくるような
初々しさ

  じっとこっちをみている顔・・・
 いやだ、仮面・・・血色が悪い、表情がない
 雨の夜の窓にうつった顔
 疲れてるのかな? ・・たぶん、
 ・・・すこし

甲殻類みたいに鋏をもって  
  次の瞬間―――死神
  わけもなく、涙腺が弱くなる

   沈没船は深海の碇泊。・・
 死の宣告を待っているみたい
あ、この人また、笑ってる、獣のくせに
下着姿で、――ふんわりと包まれると、
あ、また嘘をつかれると知っていても
嬉しい・・・悲しい
  いつのまにか―――余裕がない

 2

 そのしづもりは囁くの?
暗闇を照らしてくれたのは!と・・ 

 あなたという、急な階段、
 馬鹿な男――人前でキスをしたぐらいで
  すこし身体を知っているぐらいで

 立ち居振る舞いや、見た目
  気になる、人の心

 だんだん光が遮られていく
背のびを見すかしたように
てのひらを返すように

   胸の奥に棘があたるとき、
   あの頃のわたしはまだいるだろうか

 どんな助けが どんな安らぎが どんな思いやりが
 ふたりを成長させたの?


  3


  かがやく宝石を愛でる眼
 いとおしさで硝子を曇らせる
  恋。・・・齢をとったわ

 わたし、やさしくいとしい
  毛布を掛けられたいけど――かけるわ
  成長する人の心を狂わせる束縛
 
    あの頃わたしは恋を知らなかった
    人を好きになる気持ちだけ
    ううん。―――独り言
   涙。・・・やさしく拭ってね



【304】



 覚えているよ・・・・・・。
届かない言葉を解き放つように目を開ければ
覚えてるよ
そこは君のいない世界

 メロディーライン
 さよなら

口笛であてもない歌を探せば・・・・・・胸
いつの日も笑顔でいられたら・・・・・・胸

   心の中でソッとサインを送る・・・・・・。

にじっとりと染み込む悲しい、Rain。
に棘のように刺さる、リグレット。regret
リグレ、・・・

  掻き消された光は残り僅か
掻き消された光は炎の揺らめき
ホノオ。
炎が消えました。



【305】



僕は広場にある花壇、といっても噴水もあるし、
バスターミナルもあるんだけど、
それにそんなことを言ったら街路樹の立場はどうなる、
近隣のビルディング、駅、――アーケード・・。

でも花壇! そしてベンチ、・・・うしなわれた少年時代を
そっと懐かしむようなぼけた顔をした鳩
――夜になるとね、地面に光るものといえば、
マナーの悪い喫煙者のポイ捨てしたやつだとか、
でなけりゃ、・・・ヘッドライトで浮かぶ空き缶とかね

僕はよくそこで見知らぬ地名のことなどを考え、
・・・というのも、広場は夜になると、
誰も来なくなって、僕はひとりのんびりと時間を潰して
ほとんど色をうしなった世界で、
音まで逃げていくような寥しさを抱いて

でも、・・・それでも、拳を膝に当てながらね――、
じっと考えに耽っていると、
扉の鍵を外したい、心のおく底にある満たされない蓋を
あけ放してやりたいと思ったんだ

苔むしたように地面は日没の或る不安を掻き立てた、
・・・ハードワーカーが陥る、燃え尽き症候群――
でも、そこへね、荷車のついた自転車が
缶を回収にやってきて、僕は目覚めるんだ・・
きいーこ、きいこ・・
鈍い不安がその時、鈍い歯車になり
でも次の瞬間、――ハムスターの台車!

酔っ払った人とか、こんな夜中なのに24時間営業の
スーパーマーケットがあるから!
「やだわ、浮浪者」――おい、貴様
という空気のささやきを感じながら僕はねじれてた、
・・・さまよっていた そこではない 遠い部屋で

僕は何者の侵入もゆるすことのない、僕だけの部屋で
外界の接触を切断した――そうすると、真っ暗闇が、
・・・この僕を見棄てて、でも、見棄てられる前から、
僕は、裏切っていた、死ではない、この夜のことを・・
なんだかまるで操縦桿みたいに、激突直前――
回避しようとしていたみたいだ

僕は世界中の何処にいても、じっと動かないものが、
自分の中にあることを知っていた・・・――
微かだけれど、たぶんそれはひどく脆いように見えるけど
僕はベッドの中に深く沈みこんで惰眠を貪るように
・・・緊張しながら眉を顰め、沈黙と対話した
やがて、僕はなついた子犬や、あのうつくしい気配を、
―――生きていく上で、顎をあげ、背筋をのばさせた
あの、よろこびが翻弄されて姿を消したことに思い当たった

・・・はためくテントのように
どこかで強い風が吹いているのを感じていた
事故があったのだと、――救急車やパトカーが、
曲も歌詞もない、良心という、・・・いまは空っぽに見える
時代の金庫の中から



【306】



太陽、月、肉身を備えない今一個の存在としてメエルシュトローム、いろんな思いをの
せ、湖と森が散在するこの地区で。かくて、静かな葬列。物の言葉。煙など・・。火葬場の煙
が、宮殿の居場所を教える。入道雲ーみすてりの世界・・。それはひとつの川の名をもった
時、着くべき所へと向かって遙かなうねりを見せ、逆三角形のような洲、柳、そして廣い斜
面などを。ー雲と風が抱擁してる。また何一つ身じろぎもせず竿となり、森の影を離れてゆ
く。ワッサーフアル、・・・メトロノオム。公園で子供たちが水遊び。まるで鏡の世界へまぎれ
こんだような、すでに瑞々しくあおい煌めき。彎曲した道は、目まいが続く。へび? ナ
ワ。一枚一枚がヴェールのように感じながら、その水晶質の鱗、その皮のなかに、わたしが
繁り合った樹木から顔を覗かせ赤い舌を見せる。そしてそれが砂場のシャベルや熊手を想わ
せる。巨大な肉体が“葉陰”というが、歯影とかわり、墓下、としやあぷに入れ替わってゆ
く。その配列は劇場である。だが疑問も残る。-何故このような退屈な映像を流し続けてい
るのだ。すなわち、撮り続けたのだ。彩りあざやかな焔のような台詞。魔法の味わいを見せ
る俳優たち。また景色たち。ストーリーのなかに、ノック・・・カタストロフ――。しかし、狭い
路地で、洞窟のようなため息をしたのは誰か。野原で、看板を苦々しく思いながら、午後六
時五分のゆうがた、サタンの息吹きと思ったのはだれか。空は? 空は――黒い飛翔に、
奇妙なほど欠如したりありてい。人知れぬ葬送。小声で。考えることなく、永眠・・。異国の
ようにわたしは棲んでいた。酔い痴れたように、接吻していた。あなたと――。



【307】



想像こそ人間が人間たる由縁かもね
情熱の源は好奇心かもめ、好奇心は想像ということばの綾ね
掻きむしれば、グサリ、グシャリ、グシャッ。ぴろろ
皮膚で爪刺し突き破る程、血を流すかもね
赤くてドロドロした、廊下に変な人がいます
ルームサービスください、カギこわれています
痛いと顔を歪めるかもね、
それもまた好奇心・・・! ね、がネイティブな根を
いささか心臓生物妄想的
わざわざ食い破るという労力で命令を遂行するかもね
アタシ達はあざらしみたいな脂肪だよね
ざーとらしい、でもかわいらしいナリをして、
このアタシの皮膚あわだつ、ただ知らないだけ、
ファスナーみたいに、ボタンつけたりはずしたりかもね、
ただ取り違えてるモノの価値観
肌色の薄い皮膚の下に本当の自分を秘匿してるカモね
宇宙人的かもね、ああ、いいまちがえた
鎌ね、ひゃ、ぴゅうツ



【308】



広場に豚を放ってあの劈くほど大きな金切り声を
あげりゃあいいのに!
人なんて譬えるのなら連合軍の爆撃機
パラシュートでうしろ姿を追ってみたいな
・・・かろうじて
死をまぬがれて、
それで何?

 * * * * * * * * * *

きっと、助けを求める悲鳴なんか聞こえない
でも、くらげに電話は通じない
だから忘れちゃってくれ、遠く、遠くに、
処女みたいに子供を閉じこめた運命の穴のなか



【309】



蟹が動いている夜
貴重な日々は車輪が外れた荷車のようだった と
花がまもなく咲く――朽ちて 置き去りにされて
針金のように枝にからみついていた
「笑えない悲哀」などと道化者ッぽく
手に蒼い蛇 と
不敵な微笑 わずかに見せた三角の頭
三角の尻尾 あの世とこの世の隔たり
少年は気持ち悪い奴だと捨て台詞
など 言って――何となく人に模した像
つめたい爪 棒で追いまわされた嫌な記憶
・・・灼けた肌 と

山羊の頭蓋骨 真ッ赤なヘビイチゴの実と
歯肉が増してゆく・・・まるで薄暗い大地のように
扁平な印象の額 と
眼の下に見えるどす黒い隈 と
流れを遡りながら胸など鉛を呑んだ
蛙のように重く、――「法螺が跳ね、」
と インディアンの通過儀礼など
昼に見る星など・・・御玉杓子や螻蛄だった と
重くなる身体にしたがって

いまは窒息の指環で
川のせせらぎや苔むした暗い永遠の田舎道へ と
――冬の館は
あの日の非道な敵の基地
夏の渇きをひび割れた幹の裂け目を
血まみれの切られた首で埋めてゆく
もののふの夢のあと 土塁など 
いまはねずみ達が骨壷へと入っていく
・・・蟹は長い抑圧された姿を演じた、
「どうせおいらは嫌われ者よ!」と言う、
はてもない蛇の願い
いまはアルコール瓶のなかに
そして悪魔のような男は・・・?

群青の空は延々と遠い日の色をうかべ
そこに雲が一瞬の人生を点描する
・・・脈々と受け継がれる夕方頃 と
朝、血まみれの切られた首などが鈴のように鳴る
少年をからかったのか、友達になりたかったのか、
しかしいまは大きな口をあけている、もう一人の自分も、
頑として自分の名を言えず、好意を告げられず
――ただ、長くむごたらしい夏のうわさ話に
襟が裂けていく
だらしなく散ったほつれ毛と
ふるえる物乞いのような手 で

手が切れるほど鋭い
手紙の強い匂いを隠して向こうッ気の強い
・・・と言いながら実はおくびょうな悪魔
はちきれそうな身体になっても
腕が、――そして指先が
赤い舌 と
冷え冷えした人気のない湿地を
好む内向的な性質 と
「手の中の鳥、手の中の鼠・・、」
それが何かの答えのように、
薄紅いろの心臓をバクバクとさせるのだが
湯船に浮くおもちゃのように
また微笑みは靄のように淡く
・・・ふたつの魂と よっつの顔 と
冬の寒さを忘れて



【310】



この星に巨大生物があらわれた時、
静謐にして、
はげしい息遣いがあらわれる。
それはビルの壁をよじ登り、
また川の橋をひと呼吸またずにぴょんと
とんでゆく。そのあえかなEros
うっそおとした、その奇妙な世界の図は、
白亜紀を起点とし、
いまでは深海の巨大生物を残すのみだが、
生物の大きさとは誰が規定したのか?

わたしはある日、
身長がもし100メートルであったらと、
決してそうならないが、・・・想像というむつみ、
好奇心というおおらかな裸のまえで、
その背丈にまで成長した、
ジャンボカモメを想像してみた。
でもわたしは嫌だった、だって、全裸である、
・・・そんなシモネタは
天へとかざした第三の手の前で、
あっけなく崩れ去るのだ。

しかし、もしそれが末端だとするのなら、
その前へ、前へと遡っていったら、SFや、
科学の違う面が見える。
・・・群雄割拠した虫たちは、
その鳴き声に“生きる”ということの最大原理を湛えている。
われわれが思う最小の姿のなかで、
卑しく縮こまらねばならなかった、あの虫たちが、
生物の頂点に立つ。
そしていつの日にか、この地球は、彼等のものとなるだろう。
・・・それを防ぐために、国家防衛プロジェクトが始まり、
兵器が開発され。時に人よ、それは戦争である。

国を盗られ、人間としての権利を奪われんとする、
子孫繁栄を約束するための聖戦だ。
だが、そのあまりに強すぎる火力、
・・・それらが地球にとってよかったのか、
と詩人だけが問う日、
最後に生き残った四匹の虫たちはわたしのうちに、
ながれている、哀歌を知らない。



【311】



どこへ行くの
何もアンタ人魂でも出たような顔をして
も、も、と怒った牛のような声をして、
ツノも出して「ン、ン」とわたしは肯きながら
人の足音でも消すみたいに咽喉が嗄れ
命綱を引きながら絹を裂く
ここは他人には聴こえない超音波みたいな
町の外れのしずかなところ
やめろ! パニックになると夜中に出歩き
声の溢れた場所、光のあふれた場所へと夫はゆく
「キャーッ!」
二時間後。薬缶をわかしたそうな、乱暴な呼吸で
突然入ってくる。おれだ。見たらわかる、
でも強盗かと思った、ただいまも言わずに
小川を見てきたとネズミをくわえたネコみたいに
褒められたそうにして
砂糖菓子を食べた少女みたいな顔をして
吹きこぼれたスローモーション映像でさかのぼってゆく
「星を眺めに行こう」そんな風に話すのは久しぶり
待って! 紅茶も、持っていきましょうよ
ほぐれてゆく関係、そうだ、この人
実はやわらかく会話を引き出してくれる人
話そう、胸いっぱいに膨れ上がってくるものを
最後まで泣かずにこの愛しさを



【312】



明日、星がある
明日、星を求める

  にじんでいた、夢は明るく、かがやくだろう
  谷間にも、――月の光が、とどくだろう

 熱い砂の上に、眠りこむ、あの日のぼくは
 このしずかで、かなしい夢へと、逃れてゆく

    雲を毟ろう、明るい、臥床を信じよう
    不思議な虹は、夜の滝にかかり、壊れた蟻の巣のように
    壁を崩すだろう、地下へは、もう行けない

   明日、光の中
   明日、光の中へ・・・。



【313】



 仄暗いベッドルームでぼんやりと考えている内に狂ったように閃光が錯綜する。視野を満たす灰色の三月の闇、成分表が浮遊している。窒素と酸素、そしてアルゴン。それをヘモグロビンの赤で、点滅する、まばたき。うつろな夜のかがやき。二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、メタン、クリプトン、水素、一酸化炭素、キセノン。まるで夜は踊り場みたいだ。なのに、この懶うさは何だ。如何にも物静かに浮き上がってくる思念というその白い羽は何だ。翡翠をあしらった指輪のように思える、豆電球と、その現実のうす暗いあかりは何だ。

 時がくれば、窓から陽が射す。そしていちどきにではなく、ゆっくりと消えてゆく。ホテルの看板の屈折も、ゲスなネオンも、高速道路の水銀灯のかがやきも。まるで採石場のように、それはそれで生計をたてているという村を、重い金塊のように緊張させる。むちゃくちゃな炎のゆらめきだ。雲間にとざされた世界に、しかしその雲の上で途切れない光の震動音。やがて雲間がちぎれ、眼の奥にまで射し込んでくる、汚れた灰を蹴散らすもの・・。

 遅く昇った月が銀紙でも張ったように、一層深い感じを与え、どこか孤高とした、恐怖に歪んだ女の顔に思えてくる今この瞬間にも、僕は構成物質という名のプールを泳いでいるのだ。むごいほど白い、女の裸身に戦慄するのだ。もうすぐ四月、桜の樹が灰青色に染まり、いつかはきっと黒ずんで霞んでゆくのだろう。そして花冷えのする、季節にあおい月光がながれこんでゆく。水のなかの、真珠みたいに映えて、・・・人工的な光をよそに、わがままな星の青い火花のように散らせて。



【314】



窓から入ってくる、霧をじっとりと含んでいる風が
燈のように黄色く見える頃、
右手に遠く聳ゆる灯台が水蒸気のターナーの夢にうつるころ、
・・・
目の前に、窒息するような海がある。
雲は息苦しい廊下、いつも冷たい湿っぽさがあった。
ギザギザの冬

―――ぬるめのシャワーがあおい氷に、・・・そして
冷え切った青いビニールをおもい馳せるほど

・・・
永遠が咽喉に滑り落ちてゆく
右腕は濡れ
かっと照りつける陽射しが豁然とひらけば
この何もない空

やわらかく鮮紅色に昂り・・。



【315】



幽霊、幽霊か・・、個人的な一般的な、心の死者か
悲しみの木か、風笛か――
雲がおくられてきた そのなかに 顔を埋めていると
祝福は地下の道路 熔接と結婚

 遠い日の 浅かったわたしが 呼びとめる
 いけないこと? よくないこと・・いいえ、

マンホールを持ち上げ、それで、通行者が落っこちた
お前はいたずらをしたと言えなかった
・・・マンホールの上を歩けない男が ひとり いる――。
地底人の話、地底世界なども彼は信じる

 マンホールをつくる会社で 瞳は ものの中心へゆく
 何故取ったの? そして何故それをつくるの? ・・・いいえ、

夕方 にわの垣根に 血にぬれた老女が見えた
くらい夜・・ ああくらい夜―― いつも見る幻影
どれほどの金を集めても どれほどの罪を認めても
血なめくじはあらわれる そして這う おまえの因果律

 蒼褪めながら 血に濡れた老女に 謝る
 ・・・海の波は きまぐれ やさしさをうたって砕けた飛沫

――わたしは知りたかった おまえが謝るのかを
・・・わたしの人生は どちらにせよ 黒い眼、赤い眼
幾歳月、息子のようにおまえを見てきた。-おまえは、
よい人だ、よい行いをした こどものイタズラなどよくあること

 男はマンホール近くの樹を一本もらってくると
 ・・・蚤を握って一心不乱に 老婆の像を彫った



【316】



watasi-
ha-tobira-desu



【317】



名前も思い出せないあなたと、数え切れないほどたくさんの蝋燭をともした日々。
まばゆく揺れていた、なめらかな波と数条のほそい血。

とろんとして眼が錆びた古代のブロンズ像みたいになる時、遠近法を誇張する。
水晶みたいに吸収できずに透過する、不滅で神聖な、白。


 × × ×


硝子の冷たく優しい装いは裏側に、澱のように、たとえば雪の洲のように・・・。
橋の下で、膝を抱き抱えるように、君を抱き締めていた、花盛りの森で・・・。


 × × ×


楽園の花はきっと、氷細工のようにはかないと思うから、
埃や煙の中に、蜂の針や、蝶の羽根を想像させるものだと思うから・・・。
また君に恋したい、手足を照らす、夏。
あなた、さざ波のように黄金いろに揺れて見えなくなるヴェールの影。



【318】



この種はやがて実を結ぶ
だってそれは盲目の太陽、ひとつの分身だから
いつまでも冷えているわけにはいかない
・・・ああ、その内部では背中を――あるいは胸を
敲き続けてる、・・・わかるかい! ねえ、わかるだろ
踏むなよ! この人でなし
見ろ、見ろ、このうつくしく健気な魂
混沌にその身を浸しながら、ほの白いうぶ毛が
いま、あたらしい居場所を求めて
伸びてゆく・・・卑劣無残なことに
泣きごとも言わず――

ねえ、渦を巻いていたんだ、
寒くて小さく縮こまりながらね
僕の意志は・・・でも――檻の中、
それでも鉄格子の向こう側を、エネルギーの集合体を
花、花、――ただ、花のことを僕は考えてた
運命の成就されない去年から、傀儡という運命のいたずらを
悪のエネルギー、暗黒都市、で・・
僕が漂っていた、あのうすぐらい気持ちのなかで、
創世記について考えてきたことの結論を、今・・

去年から! 空想で舞い上がる心は
濡れそぼっていた
・・・また捕まえようか あの芽
光る沼みたいに感嘆の声をあげて人類を遍照する
鏡のように写し取った天国が古い骨みたいに見える
――岸から岸へと雲が落下する・・、星が、――落ちる
柳みたいにもつれ合いながら、手足の感覚が消えていく
そしてやけに咽喉が渇いたんだ
水、水、・・・ただ、水が欲しい

世界は突然に
・・・・・・
いつも大きな張り出し窓から手を振る
そしてその瞬間、血が凍ってしまう、
眼から光の点滅をうつして、「さあ、早く帰っておいで」
でもどこへ、いまだ奈落の底のように光は落ち続けるのに、
ああまるで、ナイキシューズ、TOYOTAの車みたいに、
柩の蔽いの中へ、生臭さを吸いこみながら
・・暗闇で死んでしまうのに――。

でもそんなビロードの泥臭く、野卑で、
時には卒塔婆のように思えた――死の国への鞭! ああ、木槌も
・・・金網で毛が絡まったことも、
有刺鉄線で・・・あおい薔薇のように、
その指を宇宙の手管にされるまいと傷つけていた時も
僕は蕾という楕円形の門から援軍を待った
悪夢も――腐った死骸も、・・・朽ちていった記憶にも
足を踏み入れるよ! それぐらい、いまは、花を希求するよ
穴の中ふかく、・・・翼の音も聞こえないしろい魂だけれど、
いまはX線! ジャンパーやズボンが欲しい
長靴や、腕輪や、ネックレスが、指輪が・・

露出する、ぐるぐる回転した・・・混乱の夜
きっと束の間のうちに埋まらなくなる欲望が
こころよ―――こころを、呼んでる・・
栄光の塔、古色蒼然――いっぱいに広がり始めた空腹と吐き気が
湿っぽい通夜を終わらせる・・「俺――孤独だったから・・・」
――天国へとのぼりたい、そしてむつみあい、ふさがらない傷
しぼるような苦渋の血、灰汁、それらを不毛の世界へと
解き放ちたい・・・ああそして僕という塔は一瞬震え、
深く影を落とし、――木々のざわめきに耳を澄まさせた
ふたたび夢を見る木洩れ日が・・・弓型にきらめく、その精華に
茫ぜんとして、いまふたたび、芯にまで届く
ほほえみを夢に見ている



【319】



決して脚光を浴びない場所
鳥けだものすらも西の空に消え
でもブレーキ
さあ今からブラック・ペインティング
無性に黒人になりすましたくなる
黒人霊歌を歌いたくなる
・・・どうして灯りをともすのだ
どうして歓迎するところはいつも、こんちくしょうな奴
でたらめな奴ばかりユウグウしやがる
俺は許せないよ! 歯ぎしりするよ、
叫ぶよ。お前がそうしてきたように、
たちまち視界から墨がうまれても――
あおいペンキなど剥げろ! あかい心臓など根絶やし
かぶれろかぶれろ黒い漆に



【320】



それは荒々しい杓のゆるやかな曲線と丸みをおもわせた
大きな吸取紙がマツユキソウを想わせるように
ふと濡れた視界
花の内部に村や、野がある、と・・。

球体の内側の丘陵地帯に蜂が飛ぶ
いま、さけんでいる――かなしくてあざやかな針
赤く染まっている
風が燐寸をすった、火が

顔を近づけるとツテテンシャンと
ひゅうひゅうと抜けた息、木枯らしみたいな棒きれや杭を
つめたくする耳にいやらしい旋律
ああそのすべての慄え、人びとの聖浄

夜空にくっきりと月、途切れた鳶色の霧は
さまざまな姿を青白く暗くし、遠方にまで開けた氷塊さえも、
緑いろの斑紋を浮かべる、ムラサキ・・・バイオレット――
頭蓋骨の中に蠍の毒・・。



【321】



視界にコオロギがひき潮みたいに鳴いてた
内気だ。
フルートはホルンする
 
 良い踊りの多くは「酔い」ということだから
 踊ろうよ、手をつないで
 むずかしいのは骨と肉じゃなく、
心や魂の方 
  一晩のうちに植物が生えたら
  沈黙しちゃいけないよ
     そんな「個性」なら、僕だって欲しいよ

でも生えるはず、でも君はレインコートを着て
 それを鉢植えに移すかも
 さびしいね、・・・母の心!
 雨が消えてゆく、その虹も見ないで



【322】



闇の中から突如あらわれる、ただ、ピアニシッモの部分。
すぐに拡散してしまう、何ら意味をなさぬダイヴィング。
・・・オーシャン・ブルーとけだるい鉛色の視界で、
120キロの体感速度、三半規管はゆすれる、オレンジに近い色で
繊細な頤がふるえる、今日のフラッシュ・ニュース。
心の慰めにもならぬ、恐怖の海藻。
縦横にぬけてゆく、つかみどころなくぼやけてゆく、
息がつまるほどの叫び声――轟く・・。



【323】



鋏でプッツリと切ったように、意識 途切れる

スローテンポ
グローブ

 * * *

 ええ それはね ぼんやりとみずにくだけ
そこに 青空が ねむり―― おめめをかすめ
て 陽射し ぼんやりと くちびるに――
はにかみ屋のような ゆりかご

 * * *

淡褐色写真、 象徴的花粉・・。
  空っぽの貝殻で遊ぶ、道筋のない船が走る。

 * * *

世界の海辺のいたるところに“竜涎香”
網を水に潜らせては宝物をこわすつもり

  でも王さまは平気、
 王子さまはもっと兵器を!と・・

それで鴉の濡れ羽いろ ワカメかコンブ
まるで森のくらい陰気な様子
朝の光がおくれているような木の葉のさびしさ

 * * *

    海で人が死んだ
だんだんくらくなる夕方
    気が狂ったように武器をもつ大衆――人びと
おおきなおおきな名前、それまで綺羅荘厳だった、
    ひとつの神の名と同義であったもの

  ぼうや、娘:何処へ行くの
  親たち:殺しに行くのさ、悪魔を



【324】



流れてゆく街
流れてゆく意識

 (「に」)

 少しましな言葉を
 少しはましな台詞を

  (「核」)だ



【325】



曇りの日
世界がひとつの雲になる
雷はむちうち
くら! がこだまする

  蔵のなかで日没がおちてくる
  血眼になって余白をさがす

 地上には雨
 雨は四つの点
 四つの点だから雨なのだ
 二つの点なら「あ」なのだ

  蔵のなかで――あるイメージのもと、
  寺子屋が出てくる
  そして幾世紀かのあと、教室になる

 ばくてりやの世界
 透明なプラスティックな世界
 四つは八つ、八つは十六つ、いわない使わない
  でも遠い、でも。あわせれば、雨の数は増える
  概算のロマンティシズム。

   ――おおきなみずのかたまりにダイヴ



【326 情念メリイゴラウンド】



ひねもす風が吹いて
野を分けて
ひそやかに風車が
グルグルまわった
それは吹き飛ばされ
 (「ふりおろされ
  まいとする・・

 あなたは何を見たか
 艶か、物哀れか

  ハロー、ハロー! 貧乏ゆすりすんのが
とりさ。そして鳥は無国籍性をあらわすのさ

  オーライ、オーライ! 
   風にむかって夕陽が暮れんのが
 とりさ。――夕陽が、もしもぼくらの

  「あけびの実」であったなら、
  「びわの実」であったなら、
   ――あるいは柿であったなら、

 何を従えよう
 これは見慣れた光景である
 この町に海はない
 空に続く草の高さをこえたHighwayが
 はなれ雲をつかまえる

  ハロー、ハロー! 耳をみだして
  いま排気ガスという浅い気流を感じて    



【327】



おまえたち  
 <港> 
 <マドロス> 
 <カモメ> 
 <旅がらす>
がちゃがちゃと歌謡曲―
 坂をこえるとラップにR&B
 Bジャンプ。Aダッシュ 
 ・・・でもぼくがのぞむのは
 頑丈な猿轡をはずすこと
 

 × × ×
母が言う「まだ駄目、見ちゃダメ」
でもそれで済む・・そう想う、眼下に広がっているしろい手たち
幻想の領域や根拠をさりげなくやり過ごしながらやわらかにくらんだ


耳をすますと
井戸を覗くような気持ちで
歌声が聞こえる
  じっと、まなこをとじー井戸を除くノゾく
  よる・・。夜中は蓋をしめられ、いやなたくらみが
  めざめそう「胸の鼓動に音もなく窓を開けば」
 あけろ、――ネイッテイタノカ、
 つめたくひろがったくらし
 ここでかさかさと笹の葉がゆすれる音とウオオオオオン
 おしまいだ、パンパン二度手をたたくと井戸をのぞく
   すりへった靴が、はるか遠くの雲の上にういている 
   歌声が(胸のボタンをはずしだす。)
   いどをのぞくと、さむいふゆーかぜのなか
   いま頬を張られる音、唐辛子のにおい、それで肢体をふるわせる、
   ゼツメイ寸前の虫のようなぼく、めがうるむ、ぼくがはねあがる、
   イドヲノゾクト――



【328】



\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
ちらちら光れ小さい星
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

  電車に乗って
   あの町、この町
 ふしだらな尻



【329 ゲームをしよう】



あの人はよくその肖像について語った。
ボールはそのなかにあるとき、
手があるという単純な事実に、だ。

そして手は実はうっすらと形をなす前から存在し、
不安を選びとるということの、
優れた実証を勝ち得ている。

汗や涙が
野球というスポーツのなかにあるのは、
それが青い空の中にあるからなのだ。

単純な遊びを見くびってはならない、
その金属音にひびくものは、
無条件の歓声より、
はるかに価値の高いものかもしれないのだから。

視えるものは観ることができない
 落球のように記憶に残ることの方が珍しい

ときおりてのひらの影が 淡いひと影のほとばしる問いを与える
たとえば「胎動」
てのひらに絹の道があり、人びとが青を信じる時
そこに薙がれたような草原があり
それは明晰な風の吹路なのである

「バック!バック!」
それは返球のことなのか、それとも、
バックホームのことなのかわからぬまま、
僕は学校の傍を通り過ぎる

          もういまでは問われることもないが、
うらわかいほころびのなかに、せり上げられる瞬間がある。
それが亀頭のような水母、という猥褻なうすぐもりであるか
             そうではないかはわからない。
                        ただ。
                いまさら誰に訴えよう。

「わたしは野球少年でした。」
ただ一言
そういうだけで、
伝わることがうしなわれた詩のなかで・・。



【330 孤独なレース】



伝説は寝惚けた人間のために
影が
ある/乾いた怯えた眼のなか
で 固有の命と他者の命
ランプが灯っている
吸い寄せられる目の前
まばらに骨がばら撒かれ
ひとつひとつに蔦がからんでいる
そこで人は帯を締め直す
ぎっしりせばまった壁
(老眼鏡をかけたように、
かすかにぼやけた世界で葬列をする
辻褄のあわぬ
不眠 示すものはことごとく闇に掬われ
悪魔のようなしろい腐り卵
 無言 幼児の屍體」)
         (「手傷を負った天使 無言
    (「無言 さらに無言・・。
湿った韻/聞きそびれたまま
もはや在るべきところにある
夢中で掴んだ
一瞬はその眼のなかに
熟れながらにして朽ちてゆく
桃源郷



【331 魔法】



gjlいおおおおいhdhしひおhh
djkjskjkjsjsdkひksうぃkk
djぉsじおjjkjlkj
dkhswkjhjjdkjj
jひせういうぽうおぴいぺいぽp
jqwhjh980
873682900jsjひあそ
あ;lぽ@おpfg
あんじゃkljlllfそいうhjhc
lkぁlk;;じゃjぱ
kぁjはp@んlkだしぷr
をp;lqa:n
sipopihahnkak
hnahiguiweopaklk
kujakjmnre@[-@@akl;
juahaplakl;kl;k



【332 ぼくらのガスステーション】



清冽な水の底にある汚物
横面をぴしゃりと張る風
胸の中を吹き抜けるような風の音
過去の判例に照らし
人間の骨がじめじめ高く蒸し暑い日
高密度吸収体ースポンジ
を、鹹水と呼ぶ
われわれは失跡者
海をとらえてX感覚の手紙を
書き続けている



【333】



AGEおれをみつけてくれ
AGE燃料脳
AGEスターリースカイ去る
AGEこのスター



【334 KIMINISASAGU】



おれたちいつも
なにかわからないことを
はなしてたよね



【335】



どれだけ時が流れても
僕の痛みは消えたりしないだろう
この町で時折軟らかな風が吹いてる
窓には眩しい空と
つややかに見える雲の数片がある
ここへ来てから何年くらいになると聞かれて
ぼくは甘酸っぱくなって
びろうどのような滑らかな感じを与えた

魔法びんのなかにマフラーや
マニキュアをいれるみたいに
魅力的な夢を見ていたよ
そしてそれだけで嬉しそうな笑顔が
こぼれたんだ



【336 ビフォーロング】



小さな僕をいつも
嬉しくさせてくれたものが
精一杯呼吸をしてる
ヘイ! サリュ! ハロ! チャオ!
ヤ! マルハバ!



【337 鳶が吸い込まれる】



大空を飛びながら
雨季を含んだような重たい風をうけて
ほとんど咽ぶように、
すっかり刀色に冴えた鳶の姿
連山から湧き出た煙のように薄暮を流しながら
空に彩られた、氷嚢
破れた太鼓のように、
まばゆい帆のようなものをうけて
自分はナスカの地上絵を思い出していた
星空の中では小豆ほどにも満たない鳥が
板葺きの屋根の釘のように
それを空という比喩にするとき
いったいどれだけそれが浮かんで
どれだけ
必要とされる・・・
光の迷子よ
雪の染みる音がする

































Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.