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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

写真詩詩文控え6

【338】



眠りというふくれた顔をふくらませていったら
綻んでいた/笑おう 笑うしかないんだ/心のな
かではひどくやさしい声がきこえる/庭の落ち葉
が縒れよれの波のように次から次へと僕にむか
って近づいてきた/薄陽の射したこの庭に/羽毛
のように地の底ふかくまで落ちていくというとき
に/僕のむねはなんだかしずかな嘘のように固く
凍てついていた/しろい砂漠で/はじめて追い越さ
れたこと、二、三歩前で立ち止まらねばならなか
ったことを思い出した/微笑があらわれた/首をす
くめてこの光の井戸のなかで朽ちてゆけたらと思
った/おもった/その時はあなたと/あなたとメス
のように光るしろい脈拍のなかにいたい/あの恐竜
の卵のなかにいたい/やがて音もない夢が流れて
僕が目覚めるまでながくもつれ合っていたい/挑む
でもなく分かり合うでもなくお伽噺のようにその感
覚よ いつまでも息を弾ませ僕の傍にいてほしい



【339 special weak】



こちらへ背をむけて彼女が
髪をすかしている
暗い中にガスの火のような遊園地
すこし癖の強い眼と唇を見、
「これから何処へ行く」と聞く
デザートのない西洋料理みたいに
空間的に遠く隔たっている、夏の日

自動車は動かなくなった、
ジャンボジェット機はエンストを起こした
名もない繰り下げをするQの海岸で
一枚の薄い布が宙を舞った

いつだって朝露に光る蜘蛛の巣に引っかかった蝶
脱出不可能にさせた蟻地獄の誘引、(いつだって、いつだって、)
おどろおどろしい恐怖映画のファーストシーンさながらの風景描写

              何故なの 
              なぜすべてが夢のように続くの

体温を求め合う不思議、
男と女が出会い情熱的に結ばれていく不思議。

それでいい、浮き沈みが多くて
手に入れたつもりで、あることすらも忘れて
またもう一度って――
好き勝手な過ちに満たされていく夜
首から上に頭があるように、秋空にぽっかりと浮いた月
今だってそれを否定できないくらい、
もっとそれに酔いしれていたい
いまの君がいい、そのままの君がいい

ふわりと宙にうかんで
海の妖精の姿がヨットになって

熱が紫色になって、どんなマイナーな表現でも
放縦なモラトリアム、藻屑となる、泡となる、
灰色、無彩色、どどめ色・・、際限のない混色のもたらす、
混沌、迷いの森―――すこしだけならいいよ、先入観、視野狭窄、世界観の無さ・・、
固定観念、しわ寄せ、ぬか喜び・・・・・・。



【340】



時計の音を聴いていたら
叶うはずはないのに
君の顔を思っていたら
    哀歌 レジー


意 識 的 な 逸 脱
ららら
く ら や み 坂 で 血 管 が 逆 流 し て く る
   ららら
Y 字 路 で 台 詞 を 台 本 通 り に 言 う
  ららら
収 檻 さ れ た 虹
ららら
胸 の く ら い 過 去 は 

夢 の 絵 の よ う に 逃 げ る 
 らららエエ

 

【341 マア!】



なつかしいものが
おおくなりすぎているのか
それとも
あたらしいものを
きらいになりはじめているのか



【342】



genkiーdasite
たとがれはましまろのあじ


ギラギラした光はボウと光ってはてしなく
ぁのねぁあのね
通り抜けてゆく陽射しが
いちめんのほのかぁーな
ラットになるガランス

  街は雲ひとつみつからぬけンど
  一本! 巨きな斧ならつまんないじょぉ
  おおツ! ・・・ロロウソクで照らすどん

はれれーしょん はれれーしょん
金泥のようにぞ かがやく、ビビビ! ぴぃーん
薄布をつかまえてっぞ! ぶぶぶ、ぶんぶん

   ふ りまわしながらおとすべさ
   しだいにくっきりさ藍べさあらわれるんよ
   「アラア! 「もっと、もっと!
   アラアなましまろ照明装置の稼動だよーん


【343】


両手で頭をかかえこんでいたグレーのスーツの男。スカラピン。低い、すすり泣くような声
――音といい、遠近感といい、イライラと気を立てている。

まず、最初にグリッドとよばれる視覚的な基準面に作成するオブジェクトを配置します。次の段階
で、オブジェクトの形状や質感を構築します。次には、光源の位置方向や強さ、物体表面の反射の性
質、視線の方向などから、物体表面の明るさを計算するシェーディングという工程をします。そし
て、最後にオブジェクトの反射や陰影などをつけくわえることで、3D-CG――
  
  (ヒステリイ犬が狂いまわる)良い絵を見るようだ。
  (ヒステリイ猫が“またたび”)可愛すぎるのでお腹のにおいを嗅ぐようだ。

フリッツ・ラング「メトロポリス」とあまりにも乖離した風景。けれど、これはヴァーチャル・リア
リティーなのです。。マッド・サイエンティストお得意の破滅ではなく、救済がここにはあります。それは彼の住んでいる故郷の風景です。但し、低予算で製作されるB級映画よろしく、火星人、または金星人の侵略をつたえるニュース番組を2チャンネルで流し続けていますが――

歯の一本もない口をあけていた男が、
「心の臓がドックンドックンと早鐘を打ち鳴らしよってからに、えろう気分が悪うなった」
  
西アフリカの、エシュとよばれるいたずら好きの神を知っていますが?
すべてがそうなのかは知りませんが唇がでろんとして、鼻がぐおんとして、目は細い糸のピンで、

エシュは神と人間の間の使者をつとめるといわれ、ヨルバ、フォンなどの部族の儀式で重要な役割を
はたしています。・・・そしてそれはこの作られた世界の絶対神です。

  (ヒステリイ犬が狂いまわる)良い絵を見るようだ。
  (ヒステリイ猫が“またたび”)可愛すぎるのでお腹のにおいを嗅ぐようだ。
  
モディリアニ Amedeo Modigliani 1884~1920 エコール・ド・パリを代表するイタリア生まれの画
家・彫刻家。その人物像は、単純化された優雅なフォルム、しなやかな線、平坦な形体、細長いプロ
ポーションをつかった独特のスタイルを展開していった。ところでモディリアニ「ハンカ・ズボロフ
スカ夫人」によく似た助手は、マッド・サイエンティストの意図により女神となっているLOVE。

腹の中に毛布やパンやランプをいれている飢えそうな牧師でも、
その心の壁に貼り付けてある絵を破ったりすれば牙を剥く。
  
マッド・サイエンティストの趣味として、書店に行くと、「かえるの王さま」(『鉄のハインリヒ』)
の現代版がベストセラーリストに並んでいる。作者名は一冊ごとにすべて違う――お嬢様が、ある
日、ホワイトハウスの近くの公園にある池のほとりで、金いろのサッカーボールで遊んでいるとき、
ついうっかり、サッカーボールをぽちゃんと落としてしまう。すると、ペレみたいな奴があらわれ
て、「へい!あんたのを落としたのは、金色の、それとも銀色の、それとも普通のサッカーボールか
い」・・・あのお、まざってるんですけど――

  (ヒステリイ犬が狂いまわる)良い絵を見るようだ。
  (ヒステリイ猫が“またたび”)可愛すぎるのでお腹のにおいを嗅ぐようだ。
  
風俗と習慣:結婚相手はおおむね自由にえらべる。もちろん、同意を相手ユーザーに求めるか、いく
らかの支払いのもと、偽装結婚するかできる。これによって、浮気や不倫などによって、「王様-
ッ!」とやらせキャラクターに褒められる。ちなみにキノコに似てる。なお結婚式はとても豪華で、
盛大な祝宴がもよおされ、民俗舞踊や歌でいわうのが常である。また、伝統的に、新婚夫婦は自分た
ちの家をもつと、新郎の両親を殺害できる。これはおそらく高齢化社会を皮肉ったものだろう。

怒りは痩せっこけて、ヒョロヒョロして、うまく歩けねえような加減だ。
はいさようで。/この野郎。/はいさようで。/くぬやろ。くぬやろ。

  常識の話なのでよもや知らぬとは思うのでご存知だとは思うが、コメディア・デラルテ的キャラクターが踏襲され、これらの人に会うと、通常入力ができなくなる無効作用が働き、一発ギャグなどの喜劇的創造性が求められる。・・・好色でだまされやすい老商人、道化役の愚かな召使い。恋人役の純情でかしこい乙女。ずるがしこい召使い。名ばかりの軍人。不格好なタヌキ腹のごろつき。

  (ヒステリイ犬が狂いまわる)良い絵を見るようだ。
  (ヒステリイ猫が“またたび”)可愛すぎるのでお腹のにおいを嗅ぐようだ。

ウシ目シカ科。オスの体高は107~127cm、角長147cm前後、体重91~272kg。これでピンときた人は相当熟練の凄腕ユーザーだろう。そうだ、特別イヴェントとして、別フィールドの東シベリアでトナカイ飼育をするというプレイがある。「われわれはシカである。違ったトナカイである。」という狂ったサンタクロースが、トナカイとセクスしようとするのでビール瓶でぶん殴る、石油をかけて燃やす、などの選択肢があることも、あなたなら知っているだろう。これは子供の時の復讐心からきている、という見方が有力である。

そいつはひどい、怒りを顔に出さず、失礼いたしました、と頭を下げる。
相手を全く無視している。噛みつく癖。相手をなじる癖。自分が正しいと信じている癖。

そして朝と夜に、細菌兵器気球が飛びそうになる。ワニスをぬった絹、ゴム、合成樹脂そのほか適当
な気密性のある材質でつくられた大きい球形の柔軟な袋で、高温の空気、または水素やヘリウムなど
のガス、といった空気より軽い気体をつめたものをいう。熱した空気をつかうものを熱気球、空気以
外のガスをつかうものをガス気球というが――スカンクの屁が詰められ、飛ぶわけないのに毎朝毎
朝、兵士、あるいは衛兵が謎の宗教団体ガスガス団を射殺しに行く。「平和とはこのようにして生ま
れている」というパンクな決め台詞が印象的!
 
  (ヒステリイ犬が狂いまわる)良い絵を見るようだ。
  (ヒステリイ猫が“またたび”)可愛すぎるのでお腹のにおいを嗅ぐようだ。


【344】


coastlands
―海沿い―

She has beautiful eyes


僕等は
  まだ・・
   本当の
  彼女に
   会っていない


【345】


dance to a waltz
白と黒との異国的な調和の美
  夜も休まず流れる水を照らす


【346 鯉のぼり】


鯉のぼり
ハタハタと
色さまざまな
きれをあつめて

  あはれ なほ おちつけない若葉
  あはれ なほ 細らなるひややけき路

 吹きこそあがれや
 金と黒とのきれ地かな

   ただ照り渇き痺れたる
   大きなカエデに黄白色の
   水飛沫と日の光

  きらきらきらきらと
  グリーンの底の藍の色

    こいのぼり こいのぼり こいのぼり
    たちどまり ながめ 二回目は
    黄に透かし ゆふぐれの 風に騎る


【347 くるくる】


 午後六時、女性と別れるために、もう夕食の席につく。顔をおおっている女。あご先が震えているし、嗚咽がきこえ
るから、泣いているのを隠そうとしても無駄である。どうしてどうして、童女のような可憐な泣き方で、――出会った時
もバスの中で泣いていた、あのシーンが瞼にせり上がってくる。彼女の肩にそっと手をおき、「これを」とハンカチを
差し出したのだ。シンデレラに出てくる魔法使いのように、僕は彼女にたくさんのプレゼントをした。それが面白い
ように受け取るのだ。飴玉、ライター、ポケットに入っていたレシート、君は運が悪そうだからこれをあげようと五円玉
をやったりもした。/彼女の家へと案内され、箪笥と鏡台と化粧道具を見つめながら、一杯の珈琲にあずかった。別
に好かれようとか、口説いていたというわけでもないから、珈琲を飲み終わると、「まあ元気でやりたまえ」と言って、
アパートから出ようとした。すると、この女、しくしくとまた泣きはじめたのである。そしてその泣き方はやはり童女の
ような可憐な泣き方で、胸がちくちくし、なるほど、どうして先程この女にハンカチを差し出すとかいうジェントルマン
な真似をしたくなったのかがわかった。/付き合い始めて、バスで一緒に帰るようになった。彼女と同じ電車に乗っ
ていたこともその時に知った。自分はしかし、そんなことはどうでもいい。付き合い始めたとは言っても、同情だから、
いつかは別れねばならないと思っていた。それが今日というわけだ。/自分は、彼女が用意した料理をたいらげる前
に、ディスコミュージックのフィーバー!をすることにした。愚かなことだが、彼女が泣きやむ。大抵変なことをすると
泣きやむ。あんまりにも面白いので、泣いた彼女の尻に笑い袋を置いたり、彼女が泣きだしたのを見計らって馬の
被りものをしたりした。彼女は泣きやんだ。どうも、この女というやつは、驚いたりすると涙腺がとまるとみえる。しかし
それも今日までだ。/「単刀直入に言うが、別れたいのだ」――自分はもう余計なお世話をするものか、という気概を
こめて言った。しかしすると、女が泣き出した。まるで駄々をこねる赤ん坊である。すこぶる憂鬱であったが、変装眼
鏡をつけて彼女を笑わせた。泣きやむ。「・・自分たちは、恋人というわけではないのだ。そもそも、君は自分にどう
してバスの中で泣いていたのかも教えてくれなかったじゃないか」――言い分はいくらでもあった。彼女が電車に
乗っているのは知っている。バスにも乗っている。しかし、その行き先を自分にはがんとして教えてくれなかったの
だ。もちろん、恋人にせよ、夫婦にせよ、男と女というのは秘密をかかえているものだ。しかし、そうは言ってもあま
りにも多くのことを彼女は隠しすぎていた。/「何だか、わからないけど、ごめんなさい」「いや、謝らなくていい」「ご
めんなさい」――自分はとりあえず、別れたいのだ。しかし、別れたい、というやいなや、わっと、泣き出す。もう頭
の中が混乱してくるくると謎の記号を描き始める。自分は子供をあやす時に、頬を引っ張って面白い顔をしてか
ら、言った。「百歩譲ろう。・・・別に自分は君のことが嫌いじゃない。――ならせめて、あのバスで泣いていた理由
や、君は何処で何をしているのかだけ、教えてくれないか?」/彼女は、にこっと微笑んだ。すると、また、うっ、と
泣き始めた。やれやれ、と自分は思った。どうしてこの女はまともな会話を拒むようなことばかりするのだ。しょうがな
い、――そう思った瞬間、彼女は言った。「だって、わたしがこれからあなたに何か言おうとすると、あなたは消えて
しまうの。気がつくと、またバスの中にいるのよ。何故なの・・どうしてこんなことになったの?」と――。


【348】


world peace


知らず知らず僕等の皮膚の皮が厚くなってきている。誰かが指差してる。
心が固くなっているよ、と。僕は明日もキルトの布みたいな空の雲を、世
界地図の断片みたいに思うんだろうな。僕等の寿命も、地球の寿命も、
太陽の寿命も等しいもののように考えるとして、僕等はそこで手をつな
いだりすることはできないんだろうか。明日やっぱり自由や、愛の力が弱く
なって、人を愛するよりも、動物や自然に対して、目を向けるのかも知れ
ない。その時は、銃を向けられるように人が死んだということだろう。この
不愉快で醜い世界に、無限のキャンバスを、さまざまな人種や、性別
を越えて、その色や、かおりを、宇宙的な規模にまで高めることができた
なら、僕は言う。そこで始まりだ。戦争を止めよう。人を信じる道を始め
よう。ひとりひとりが美しいと思えるこの世界の奇跡をうつしだすように。


【349】


Where are you bound for?
あなたは何処へ向かっているの?


 錯綜し緊張し、飛行機を眺めていたら、何かの欲望が匂いたてる、血の中で何かを燃やすばか
げた匂いがもう鈍い空気と、遠ざかるもののかなしみの中で、生殖器のように、処々でもう火を
ふき出している。深刻に痛ましい、どうもうな幻滅という獣。悲哀という大摩擦。途方にくれる
たび、歴史の本質を把握、信頼、称讚、喜悦・・その果てに、燐寸をするまでもない炎がくっきり
と乾いた生活の中に存在するようになった。まるで雨季のとどこおった空気の中を。そしてしず
かに、巨大な建築物がうっとりと闇の底に沈んでゆく。まるで、壊れた鏡のようにもはや神経的
に誇大された断片、まるで窓に何か着いている、蜉蝣の、あるいは、銀翼の。蛞蝓厭な感覚に愚
弄され。映像技師現像機にかくも陥れられ、震えたように散乱するギラギラと死線を。それは、
身をふるえたまま、冷えたまま、かたくなった、局部的な肉だ。まばゆい反映をかきみだす生理
の見えない、あるかなきかの彩りだ。情熱の総量の上に、頬にぬらりと掌のような、あのかわい
た、わたし自身の老いた裂目を徐々に推しすすめ、つまらない魔術と知りながら苦境の谷間にわ
たしは鬱ぐ。



 時間が ひとの手に触れない 夜に 腐臭が
していただろう。霧と熱に 手触りのたしかな
時間は ふわふわと逃げ ゆうらりと 逃げて
いる 焦りと悔い 今でも眼に浮かぶ いつま
でも電話で語る。

  × × ×

 おりてくる夜 無罪も有罪も信じない 山椒
魚 蛙 枯れ草 屍衣ならざる 人の 証言
目撃 未遂 傷をさそう 洗いたてのシーツと
青空は がらんとして しらみはじめた町が
かなしい。

  × × ×

 意味をよそおう 鈍い空気が 淀みはじめる
自らを保った 木々だけが 骨のように並んで
いる 寂々と はてしない 秒を刻む 鋲は 
そんな瞬間だ。何もない くすんだ くっきり
した 腕時計。


【350 丹沢の山に沈む夕日】


気圧がまだらな層をなし 関係は 時刻の水平のなかで 粘着性のききわけのない 夜の 伝言を受け取った
水という文字のかすかな になろうとして つめたくうすくふるえた 橋のからだ は 眠りを醒まされる
いつもそう 指は透明な 小動物の 瞳に 風は 母のふくよかな 愛に 窓伝いのネオンに 濡れはじめる
ふるえているわたしの 背後に 葉と葉があり 塗装と腐食があり 打ち寄せる遅い月の光が 肉の充実を妨げる
これが絶え間ない生を繋ぎとめる糸でなければ ああ くびれのような 幻の神の名前でなければ
不安に刻まれる時が揺れ 降りしきる雪のように 世界は わずかな風と塵に 無数の糸屑を作りだした
うずくまるオレンジに沸騰する漆黒 山なみに ひだのさむい 抵抗を見 またそのとどこおりの 曲折を見
膨張しては硬化し ひるがえる風が瞼の向こうにつながる 思い出の くらがりの 花片のような季節なら
わたしは喋る 春になれば やすらかな 不定形の 紐状器官 路地の内臓的な感性の意図の束
どこで わたしは色や輪郭を この窓際の椅子に括り 秋の道のいたるところ錆びついた鎧戸のしめやかな気配を
わたしは見ている運河の関節や骨の加熱のうちに 岸辺の花々を燃やした 冥府という聖なる痕のうちに


                                            Kamome 


【351】


のがれられぬ刻印、街の迷路
ヴヴゥ、ヴヴゥ・・
剥がれ落ちてゆく記憶、(想像せよ――。)
moths and butterflies
ぼんやり浮かびあがる挿絵、歪んだもの、
目覚めながらに病んだ喪の姿態、おじさん達は、
・・・・・・熱愛
 ( 冬の展開 )
「the delicate wing of a butterfly」
誰だってそう、薄い生命の排泄欲を充たす、
くさぐざのかげ、切り絵、カラーセロファン、
貼り合わせたセルロイド、そして間遠な睦言
ヴヴゥ・・ヴヴゥ・・・
死人たちの住む破調、よく見れば、
灰色に凹んでいる階段、
目に見えない、耳に聞こえない、よそよそしさ、
魔のリズム、異郷で貧しくたわんだ痛ましい魂は、
夜ごと生殖の重なりに、貧血の眩暈を生んでいる、
・・・・・・呪われたトリケラトプスの角
 ( 冬型の気圧配置 )
     羽根のようなやさしいノイズ
  熱帯の果物紅色のなかのくらやみ
     次第に増減するバリケードに
    ――「風に向かってひらかれていく睡蓮」
  セイレーン。・・(の、)痙攣。・・・
遠く低く鳴り続けている、吹雪が、
通行人を剥製にした。轢死体にした。
うすくらがりに蝸牛が這っている。
うすくらがりにわたしが、裏道へと逃げる、
・・・・・・夜抱えきれない体温の死。






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