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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

オリジナル意訳詩




イワン・セルゲーエヴィチ・ツルゲーネフ「春の夜」

Ива?н Серге?евич Турге?нев
「Весенний вечер」



  1818年11月9日~1883年9月3日。19世紀ロシアの代表的な小説家の一人。
  ロシア帝国の貴族。理想主義的な父の世代と、唯物論的な子の世代の相克
  を描いた『父と子』(1862年)は、19世紀のロシア小説の最高傑作の一つ
  に挙げられる。日本ではいち早く二葉亭四迷によって翻訳・紹介され、特
  に国木田独歩や田山花袋らの自然主義に大きな影響を与えた。




          こがね
わらわらと蛍湧く黄金いろの雲

大地に一縷の希望だ
    あか
昼の町、燿るくなる鼻先は、フィラメント
ランプ
太陽において輝き、ああ露は楽しげに語らい

谷から五キロにもわたる蜿蜒長蛇の霧の列が

 雑音を遮蔽した

歩くごとに春の霹靂が来る、扶助と加持
ポプラ
白楊の葉に触れる、なよやかなる気韻の風は
        
ひらひら、陽遊のリズムを通し、
       みのも
 この葉を水面に浮かべた・・


この静かに透きとおったものに出会う時、

 いやな高台に映画の台詞はあった

十色もの緑、ああ二十色にわたる暗い森は粛かに・・
            かげ
ほとぼりの冷めた深い蔭影・・

 わたしの笑い顔、しかし、その彼のまどろむ時間さえない
、、、、 、、、、、、、、、
眠れない、眠れないと言うのに、今日のこの町は

 ねむたげにうるさげに目を開く――身を切るような響きで・・
、、、、、、、、、、
日没にマーズが震えて

歓呼し、切断面の大きなたえざる行為を走った

おお15歳の君は、ひと息ごとに遠のく、幼少期は去る

ゆるく撓みゆく心の影の若さよ






ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ「104 魔王」

Johann Wolfgang von Goethe
[104] Erlk?nig.



  1749年8月28日~1832年3月22日。ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然
  科学者、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェル
  テルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、叙事詩『ヘルマ
  ンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。





ふはは、招かれざる客は笑う

子を持つ父なら二足歩行の自由

彼の腕の中には頭部のCT撮影

彼は不等辺三角形、すべてを


 眼底に刻みつけておきたい風――


どうして魔王、旧約の詩人に火照る炉

ああ、あなたは魔王、誰が猿のように醜い?

抱きかかえる腕も萎える

おお、あなたは魔王!


 枯れつくしたエルフの王冠、アルペジオの誘惑

  それは霧、虔ましやかな白い灰・・



さあお前の子を貰う、

さあ、神の両眼に浮かぶがいい!

爬虫類から始祖鳥の夢、

あなたがノアならわたしはマリア、


 さあおいで、花は彼岸のオリーブの枝、

  ・・まあなんて恐ろしいこと!


、、、、、
さあおいで、天にまします我等の父よ!
     、、、、、 、、、、、
ふはは、お前の父は、お前の父も、

お前を救うことはできない

ああ、約束を守れ、地雷を踏むな、


 大洪水の中をお前は飛び降りたいか・・?

  父、舌の涙を飛び下りる!



   「待ってくれ!」

  ・・・朝霧のかなたが来れば

      ・・・おお朝が来さえすれば

   「待たない!」

  乾燥した葉は鞭のようにざわめく。

      ・・・じっと見送るのか 

         ・・・おおまんじりともせず

、、、、、、、、、、
独裁者は刻一刻と迫る、不吉な鐘は鳴る!

なお!おい・・お前はわたしと一緒にいてくれるだろう!

そうだ娘を放て、魔王お前に幼女の趣味はないか!

隣の家の娘なら、毎晩白鳥の泉を踊れる!


  しかし飛び込み板の絵では、

   おお!・・ぷいと横を向いたそのポーズだけでは――



あなたは私の父、鼻先をくっつけんばかりの父
 
・・・しかしあなたはいない、

 あなたのいないくらい底、マンホールの蓋

・・・おお!魔王おまえはどれだけ人を攫うのだ!

おお!涙で濁る私の息子、涙でかき曇る私の息子!

 ・・・おお!魔王!


  古い柳の灰色、自動ドア、記念写真のカメラ――


私はあなたを愛してる、・・おお息子!

つつやかな毛並みの黒猫、ぷくうとした肉球!

私はお前でなければ嫌なのだ!

お前は何処へ行く私をおいて!


 おお!神よ・・無表情な木彫り、お前は石畳を疾らぬ!

  おお・・父は、父は、わたしを抱きしめて離さない!
 
   魔王よ、誰がこの子を傷つけられる!



父戦慄のうちに、わめき声があがる

彼は乗ってゆく、さまざまな人の失われた問いを

うつして――おお!・・迷路があらわれるぞ、おお呻く、

迷妄の嵐というラピュトリンスのなか・・


  一散に駆けてゆく、おお!落城の時――

   腕の中で、私の子はもう死んでいる!



  



エミール・ヴェルハーレン「僧侶」

Emile Verhaeren「Les Moines」


  1855年3月21日~1916年11月27日は、19世紀後半から20世紀初頭のベル
  ギーの詩人・劇作家。フランス詩壇で活躍し、ポール・ヴェルレーヌ、アル
  チュール・ランボーらとともに象徴派の一翼を担った。当初自然主義によ
  っていたが、やがて独自の境地に達し、人間讃美を主題とした新領域を開
  拓した。1909年、1912年、1915年の計3回、ノーベル文学賞候補にノミネー
  トされた。その名声の高さがうかがえます。





僧侶たちは、血の冷たさを見る巧妙に偽造された

 痕跡のなかで 破風、ああ吹き抜けの光よ――

雷のとどろくごとくに魂は、炎を消す、

 魚になろう,真珠採りに出掛けよう,

  土の匂い おお土の匂いを嗅ぎ,
              いだ
それは記憶の底から取り出す一枚の庭の写真・・

この庭で残忍な相貌と、魂の不安を精製し、

忘れてゆく農場のあなた、実体のない動物の声を聞く・・

 唇を噛みしめる、あの顔が、叫びが天に吸われている――

業火の苛責によって百色の幻覚が悪の神秘を生み、

我々は星がオォケストラした後の洞穴の空気から、

銀と鉄を神の形代に寄せて、武器を求めた

 ああ狼、人間の血の汚濁をかすめ取る美しい牙を

  時に咽喉元から燠はくねり、踊り出、
            ドンキーホーテ
幻の風車に挑みかかる月明かりも虹に染まるだろうか

あなたは夜の冒険、世界の規則、キリストのヴァリエーション!

 ・・直観的に悟ったであろう、遣る瀬無い老いの咆哮の瞬間。

あなたは背を曲げずに少し異なる火や水、

この巨大な黒い穴に棺がいくつも納まり、間断なく納まり、

 王家の響きを伴う・・

僧侶――僧侶・・

 ああ儀式や神話にロゴスとなる崇高なキメラ
                アッサンブラージュ
源をたどれば、先鋭的な主張、集合体の爆ぜる音

 永遠とは(単一の、)・・ああ、(各々の解説の中で、)

あなたの心は美しい塔の中に匿われてアラベスクとなる

あなたは、首の十字架を手にとり、松明を揺らがせ、

 ここで揺れている、ここで残っている、

  根源に・・揺れている――おそらく・・残っている
、、、、、、、、、、、
埋葬されている花や葉と、いま、手にある無数の棘・・

ああ!醜悪に肥大化する静かな僧侶

ああ!いかに地球の声、自然の声を聞き分けていくか僧侶

天は不在の夜の歓楽に不幸な共感に知覚意識する
 
亡命せよ僧侶、グランディスの一切がこぼれ落ち、

彼等は追い出され自虐の煙となり、その服は罪業を燃やす
、、、、、
嘲笑う勿れ、照る月の光はまだ寒けれど、

 抑制作用に、狂気の道と、ああまだ消せぬ花・・
              いのち
ああ最高の太陽の血潮の生よ、リトマス紙さながらに蒼く染め

我々のために蔦の葉よ降るな、と言った。

ああされどもパレットに絵筆が打ち鳴らす

 積み重ねてゆく景色に心臓 を 壊し た ――

泥の手のひらに折り畳まれている地図をひらけば

修道僧の河、おほき鍵盤の上で発語し

最後の魂は滅ぶ前に、鎮痛剤的抵抗を試みる

 ・・・離れることすら非力な、かよわい、涯のない隘路で

  わたしはわたしの居場所より上へ、その上へ駆け上がる
、、、、、、、、、、、
あなたは神秘的な祭壇を、わたしは初めて鳴動する弦の音を

それらが眠気に逆らう貞淑な放浪雲の、

 ・・・おお天蓋の下で、フロンティアを超えたろうか

  ああ、光る夕暮れの不連続なあなたと混ざり合うだろうか

いつかこの魂は永遠を望むよ、指から、

 あいまいにすりぬけてゆく弓よ・・、曳いた――。
                        ゴスペル
淡い夜、逃れようのない無垢の猥雑な聖なる音楽から

 物思いにふける 悲しい,寂しい,

  (この永遠への 恐れを抱いたままに,)
、、、、、、、、、、、、、、、
暗澹たるあの火災が問いただした、長く胸のその谿の水のよどみに

 窓を浮かべ、画布を浮かべ、栄光へと結露のおきて黴はえ

  おお、鱗の落ちてゆくとりとめのない倦怠感がくすぶっていた

そしてあなたのことを考えるときの最後の冒涜

 ゆるんだような、胸にぬるい痛み、ああ 赤!

巨大な剣で貫く半獣神にこぼれ落ちる手帖!

 ・・いろの白いあなたの影、夢のない眠りのなかで

  わたしを見る・・あなたを見る――

   それは(単一の、)・・おお!(各々の解説の中で、)――



  


ヤン・コハノフスキ「セントジョンズイブ Prelude」

Jan kochanowski「St. John's Eve Prelude」


  生年月日不明~1584年8月22日。ルネサンス時代のポーランドの詩人、
  王室秘書官。折衷主義哲学(ストア主義、エピクロス主義、ルネサンス
  期の新プラトン主義、そして古代とキリスト教を結びつけた神への深い
  信心の融合)の代表的な人物でもある。





太陽光線は、火山の口から燐光の見えざる点となって、

と、ナイチンゲールは、薔薇の磁気、

この黒い森の指揮者は頭上ラブソングを贈る

はいはい、仮想舞踏会、シャンデリアが点灯。


と炎は優雅な破壊、逃げ惑い、焼かれまい

幻想のコーナーでいく筋もたなびく煙り、白・・

啄木鳥が打ち鳴らす、ばらばらと日がな一日けたたましく、

メロディーのエコー、まさに生み出さるべき灼熱の火の地獄。


あなたは移り気な小川に生える緑色、

穏やかな微笑、夕昏れはみんな起きろ!早く起きろ!

土龍も熊も蛇さえも、服を着た、あなた方は驚いた!

ヨモギに花咲く狂気の沙汰! ありえないタンゴ!


強く甘い優雅なピストル、パンパカ!パンパカ!

アレグロしたり、剣劇を交わしたりする、チークタイムに匹敵!

火を丸めると視界は分裂し超越し、ひとつの色彩の愛となった、

シングが始まる、フォーユウの至高点――。



  


ウィリアム・バトラー・イェイツ「愛と死」

William Butler Yeats「Love and Death」


  1865年6月13日~1939年1月28日は、アイルランドの詩人、劇作家。イ
  ギリスの神秘主義秘密結社黄金の暁教団のメンバーでもある。ダブリン
  郊外、サンディマウント出身。神秘主義的思想をテーマにした作品を描き、
  アイルランド文芸復興を促した。日本の能の影響を受けたことでも知られ
  る。青空文庫で芥川竜之介訳の『「ケルトの薄明」より』と『春の心臓』
  が読めます。





メアリー、君は点滅している海を見ている

到る所で偶然に蹄が、鼻歌、咀嚼音する・・

あの乳白色の大理石の複雑な模様

 音のない塔があらわれたら・・風が死ぬ――

「メアリー、あの浪間、記憶に閉じ込められた泡かな」

 フ・・レットの泡・・これまでの日々?

  フレット、肉体の碑・・・ゲイ、僕は寒くなってる・・

全身で絞りとった泡が空にあがる、

のどかな牧草地、春や夏の残響

 世界は何処かへと駆け抜けていった。

  身体をゆすり、毒づき、笑い、せかせかとし、

ブロウ、夏の足は手を出す・・

ひるがえらない巻き髪、穏やかでゆっくりの溜息・・

 アーチと直方体をくぐり、ぼんやりと坐りこむ――

「ねえフレット、銀行があるのね、怖ろしい朝が・・

 別れが、その睡りが永久に身に着けられているのね・・」

気泡バネを使用した靴のように、
、、、、
タイタン、――大声で笑う人びとの夜明け前、

その窯で起こる筋肉の収縮・・耐火粘土の質感の

 無明の洞窟にかくも鏡の丸さを感じ、

湧きいづる水は時間の向こうから沁みてゆき、

 花を求め移動し、寺院のモザイク画は忘れ

  短足の不細工な馬みたいなやつのことばかり

   思い出す・・冷やかな侮蔑だ――

ああ、かくも世界の光が熟する野生の空気の中で、
、、、、 、、、、、、
メアリー、君は僕といる、双子に生まれた
 、、
 宿命・・フレット、許すことに疲れる
  、、 、、、、、、、、
  『ゲイ、この水は何だろう・・・?』

メアリー、涙は腐りきった心の膿み

 ケルトの物語が死と愛について答えるように――

どうせ枯れる花の花輪など、王冠と何の遜色があろう、

 裂ける傷と、泣き声を堪えるのと何の違いがあろう・・

「メアリー、君は二つの孤独な魂として理解するかい?」

きっと枯れた花の花輪も美しく甦る場所で、

 永遠に終わらぬ春のうちに、・・彼は楽園へと向かった、

ほら、 物語の入口はもう開かれている、

ほらもう、黒い瞳、宮殿の表玄関・・

 太陽は羞らう、もう暗い息、野蛍。

でも冬さ、丘は氷河のように、

 のぼると窓のように真っ白で、もう息と、

  区別がつかなくなる、あきれるほど・・

メアリー、悲しい、スティールウールのやぎひげ
  アルカトラズ
永遠の頭痛の種子に眠りこんだ人びとのように

メアリー、君はまだその花を見つめる

それを見たら鈍い水溜まりが揺れる、開いて閉じて

 色あせる、・・セピア色にするために降る雪よ――

君は彼を愛していたか、羞恥か、まだ忘却か、

「氷るわ、あなたのそばには草も木もない、つるといばら

 ・・長くここにいすぎたのかしら、アイルランド――」

死は遠くにある、まだ雪の降る・・

天使の告白、「メアリーあれの身体は闇だろう?」

君は去る、・・これでよかったのか、

 幻視の解放されない内に・・息を殺して

  まだ風船のように浮ばない、自分は、

   スイス時計のように精密な心臓を高鳴らせる・・

メアリー、君はこのドアを開けて何処へゆく!

 ・・雪がもがく、足跡がもがく、

でも魂は追えない、われわれも自分たちを追わない、

 しかし罪を追う、愛と死・・

  愛と死の薄明に膨らむ 羽ばたきが途絶えた――







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