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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2011年10月15日
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カテゴリ:ムーヴメント
  526


 冷えて固まったゼリー状の寒天がプルプルと震えている
  
 /青草を日は灼かむ。


 流転の相、ゴム、スプンの上、ニルヴアナ

 /おどろしきぼんのうかい(の、)目覚めや!


  527 


  実際起こっていない歴史を想像することは

  絞首台に引かれてゆく死刑囚もまた同じことなのです


  たとえそれが使用済みの絵ハガキばかりだとしても

  疑古典的に装われた、誘惑的な、映画館なのです――


  528 科学者


 壜の中の世界で、郭公の巣が生まれた。それはイカロスの飛行の幻影・・あるいは百年の孤

独が、冬の夜ひとりの旅人があらわれるのを想像したものだ。/郭公の巣の中には卵があっ

た。狂気の王国の鈴が鳴った。/俯瞰すように、両つの梟の眼があった。/女が生まれた。

女は壜の外から抱擁されていることを物心つく前から知っていた。/夢見つつ深く植えられ

たその瞳には手があった。腕があった。しかしそのどれもが自分よりもずっと大きかった。

/ある時、女は死ぬことを悟った。その時、海を失った男の眼に涙が溜まった。


  529


 はためくそのカーテンの向こうから、地をのぼる稲妻があった。

 「こんなことは初めてだった。」

 ――雪は次第に激しく降り始めていた。

 ドアに埃が積もっていた。

 世界はかぼそいハープの音・・

 みにくい白鳥は、あたらしい顔を手に入れる


  530


 私はひどい夫だと思う。妻を娶ってから、私は彼女を部屋に閉じ込めた。/誰にも会わせ

たくなかったからだ。監禁だということは知っていた。/私はそれでも妻が浮気をしている

ような気がしてならなかった。/私は顔を見るたびに、頬を叩いた。/もしかしたら妊娠し

ているのではないかとあらぬ妄想をもち、腹を蹴った/服をわざとびりびりに破ることもあ

った。ほとんどが無理矢理に犯していた。/ある日、妻が部屋から消えていた。/鍵を幾つ

も掛けていたし、窓もなかった。/彼女は、初めから、何処にもいなかった。


  531 体験


 一体この少年は何者であろう。

 ・・・・・・不思議だ・・・・・・わからない・・・・・・。

 死亡推定時間 午前零時前後。・・詩集がそこにあった。

 ズボンの中に自我の冒険-洞察と責任-秘密のシンメトリー。

 「モーツアルトは分裂症だったのか?」と僕は問うていた。

 ・・・ランボーは融合する心と脳で毒性のアルコールを発する――


  532


 太陽と月が結婚する聖なる次元で宇宙意識へと接近する

 心に住む家からなら覗けた・・かの額付き、後退して、眼を血走らせ、

 抑圧は自由に成長した・・この世の涯へとでも向かうかのように・・・

 時はささやかに喪失を謳った、原始の名残りに身の内にあるメビウスが切れた、

 「愛について、」・・愛について、僕等は一体どれくらい知っているのだろう、

 水の味わいとばかり、蝋燭の焔(は、)異化 してゆく――


  533 憑依、あるいは意識の影響について


 本の貸し出しカードを照らす懐中電灯を持つ手が震えていた。

 夕刻の迫る中、ただでさえ薄暗い地下室、元資料室に僕一人だけいる。

 かなり錆びた金属の階段を降りて、すぐ内側にトイレ、幽霊がいそうな埃。

 ――肝試しだった、・・覗きこむと足がすむ、大きな・・・大きな・・・扉があった。

 埃っぽい教室と同じ臭いがした。でもその奥は湿っていた。黴くさかった。

 ・・・その時、どうしてか、ブランコ、滑り台、ジャングルジムのことを僕は考えた。
 

  534


 「私のやりたいことは散財、ギャンブル煙草、酒、・・・」

 「おまえのやりたいことは洗剤、洗濯、食事、子供からの逃避、・・・」

 「かも知れない、でもあなたは何もさせてくれない」

 「だと思う。君はこれまで何も言ってくれない」


  535 人はなぜ神を創りだす


 書き順通りの夕立
 
 鳥になるまでポスター(は、)黒い影
 メール・アンテリュール
 内海では

 電気に打たれたように固くなった男がいる、・・彼に神が来た、或いは神となった、

 「フィルムは引き伸ばされた白いブラウスかも知れない・・」

 光透入る藍をたたへて鱗/声とほくなる/雪など見てもいないのに――。


  536 霊性


 山岳の大ひなることを語れば熊のやふに眠る

 人家ある、温泉の煙があがる

 これはこれはと足を進むるさまは、蛇に似たり

 低く地に愁いをくゆらせ大木にいさんで登れば

 やあ!神苑を見る・・目を遮るものなく、風景を味わふ、

 人のこゝろに目覚めておりる梯子となれば――


  537 6行×4連「ヒトノイッショウ」


 フユノ サムイ マンナカノ ホシガ

 フツト シカイカラ キエマシタ

 「ドコヘ イッテ シマッタノダ」

 トキハ ミダレテ/ツギノ ヨル マタ カオヲ ダシタ

 「アレ マタ ミエル」

 ・・ケレドモ ソノツギノヨルカラ ホシハ ミエマセン


   フユノ サムイ ホシゾラ ニ

   ドウシテモ ミツカラナイ ホシガ アリマス

   「・・ズット ムカシニハ アッタンダヨ」

   カレハ コドモニ ハナシマス

   カレハ オトナトナリ ネムレナイ ユメヲ

   ナンドモ ナンドモ ミタノデス


  ホシハ ナゼ ツギノヒダケ ミエタノデショウ

  ショウネンニハ モウ ワカラナイノデス

  「ダレデモ コドモノ トキニハ 

  フシギナ チカラガ アルノデス」

  ホシハ カレノ コドモノ メニハ

  タシカニ ミエテ アソコニ トイイマス


     アタマノ ウエデ ダレカガ

     イイエ ソレハ ホシガ ササヤイタノデス

     「ヒトハ ダレデモ フシギナモノヲ」

     フシギナモノヲ ――ホシガッテ イル ノダ

     オドロキガ トマル トキ ツボミガ ツクラレル

     ヒトノ イッショウハ ハナノヨウニ サク・・


  538 


 眼が塔のようになった時、瞼は壊れた

 それは多くの日が無秩序となった証である・・

 ナイチンゲールは痙攣していた、苺のように、

 その眼が口でもあることを知ったから――

 囚人は自由に世界を行き来したいと願った

 それが汐風のように景色を風化させるとも知らずに・・


  539 6行×4連「誕生」


 こうもり は しゃべりたかったのだ

 こうもり は つばさを ひろげて どうくつを でた

 そのとき に よる が はじまったのだ

 ひとは こうもり の ことを よるの いきものだと いう

 けれども こうもりが とびだした あの ときの ように 

 そんな じょうしきてきな うったえも やがては きこえなくなる――

 
  こうもりが かなしみのて として じゆうを のぞんだのは

  まんげきょう の つきがあったからだ

  あの まるいものに しるしを つけたいとおもったのは うさぎで ある

  おおむかし うさぎは じゃんぷ するのが とても すきでした

  そして つきにとびたくて ぴょおおおん と はねちゃったのです

  つきに ぶつかりました そして おおきな あなが あきました


 うさぎ が しだれやなぎに いてえや いてえや うなだれてるころ

 うみには ちいさな あり が あるいていました

 ありは とても たかいやまで うまれた ちいさなおうさまでした

 ありは あるきつづけ とうとう うみまで きました

 ありは むんと ゆうきをふるって うみのなかへ とびこみました

 ここだけのはなし かれ じつは みずをのみまくって くじらになったんですよ


   さて くじらが げっぷして おしょうすい を まきちらしてるころ

   さるが きのえだに ぶらさがって しんちょうを のばそうとしていました

   かれは ぶらさがりながら しっぽ のびろ のびろ と となえました

   やがて だいぶながいじかんが たって おおきな かげが できました

   そうなのです かれが のばしたのは このせかい を つくる かげ なのです

   かげは うちゅういしき となり やがて ひかりを たくさん のぞませたのです


  540 


 あたしのなかにうさぎがいて、いいかんじで、うさぎする。

 うさぎたん、は、うきうきのうたぎさん。

 うなぎのようにうきわして、うしのようにうみのことをかんがえる、

 あたしのなかのうさぎは、のんきに、うしろむきにあらわれる。


  541


 岬の光るとき 銀魚 雪にちかしい

 沈黙も ひぐらしなれば 

 かみのけのやふに メドゥサ からまれば

 おびえし水 ほのぐらき かをりに浸るゝ


  542 川柳的五行歌


 「怪奇小説から童謡を作れるか!」という男の名前は萩原朔太郎と言います

 つまり朔太郎が好きな君は! ・・・中国が好きなのです、つまりワンタン1号だ!

 ワンタン1号くん、一緒に黄河とかいうやつへ行ってみないかい・・ホウホウ・・・

 ス カトロジアは嫌だと! ふむふむ――でもそれは日本の下水としてのネット詩も、

 うむうむやたらセクス連呼する奴だって一緒ではないか・・おお! 朔太郎どの!

 近頃ではあなた、大便のにおいがするって、・・ホラア!


  543 昨日、ラーメン屋にいったからぶん回してみる、おれ


 まいど、ありがとうございました!

 ここは、とあるラーメン屋。シナチクっぽい看板、ナルトっぽいマアク!

 さて、入ってみよう・・なんじゃこりゃあ!!!

 いらっしゃいませ、なんじゃこりゃ!/ご注文は、なんじゃこりゃ!
 
 ・・・店の人はすべて、ラーメンの具材です。ネギです、麺です、あともう、

 なんじゃこりゃ!です――なんじゃこりゃ(は、)ラーメンの感想に必要です。・・


  544


 青二才の酔ツ払ひ

 としよりのゐねむり

 陽射しのひとすぢのけむり

 臍あり花かんざしのあり


  × × ×


   ザリガニとかいうやつは

  胸や頭でちょっきんちょっきん



  545


 街はちいさく十二月としるされ

 四十四とあなたは言い

 毎月十一日と二十二日に

 映画を見る


  546


        いつそ俺は 思ひ切つて この暗く重く心細いものから離れやふか

        いつそ俺は 思ひ切つて この暗く重く心細いものから離れやふか


        遠回しに 思はせ振りな 言ひ方 ・・・

        面倒臭くつて 仕様がない !

 
        まつたく 心はいつも 極めて 弱々しかつた 

        いつまでも 微かに 震えて ゐた








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最終更新日  2015年11月28日 09時02分48秒
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