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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2011年11月13日
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カテゴリ:ムーヴメント
  11 自由律短歌






  その一



ジョン・ケージねがはくば「4:33」――香水のように・・・ながれたまへ・・・・

名前ほどきれいでないキース・ムーン着弾地点 誤射確実



クリスティーヌ・チュバックの公開自殺――何することも無きひと日の・・・情景・・・・

キーボード徹夜で打ちしわれ・・・風船おじさん――冷えきつた心おもふ夜もあり



夕映えの東京タワーおもひ出せば無人のマリー・セレスト号わが身に迫る

スキー歓声あげて滑りゆく「ああ」「ああ」と風の冷たさポストより出す新聞



冴え冴えと朝の日差しの照るなかにツタンカーメンの呪ひ今朝も鴉眼で追へり

刺すほどに強きライトを浴びながら不法投棄不幸をもたらすダイヤモンドかな



指先が冷たい石のようになりおれはジミヘン歯でキーボードを打つとおどければ

ベランダのハーブガーデン――友はサラダの如くまじりあひ・・・香の中に入る



騒音の中の一日頬をふくらませた栗鼠はつかの間やがて消えてゆく

『クノップフ 愛撫』タオル身体を拭いて幻覚の如きカーテンを開ければ



メガホンを使わず眼の前をただ中学生が行き過ぎれば「アルフアでありオメガ」と

夜の静寂がのしかかつて来れば――「密林も消ゆ」・・・されど木霊す「理性を抑ゆ」・・・・



たそがれの寂しさバックランド親子なら――夕陽でも食べる・・・ああ、火事のサイレン

かの暑き夏の日の午後もアベベ・ビキラ敗戦を裸足であるけたら



リストラは胃カメラをのんでポリープが胃腸や喉をも冒せしと喩へ

愚痴などは吐くものかエベレスト電燈がいつせいに消えた世界



去勢された野生切歯扼腕しながら遺伝子を受け継げと勤めに行かむ

鋼をも溶かす火災の泉墓標のごとく抉つて物語新たな章が始まつた



幼子を喜ばせむと火抛げ入れよふ柩の中でたちまち幾千となるおれの骨

猫を飼ふベートベン葛原理想に殉じ生きてゆく翁のこころも聞きぬ



海も見ず数千キロ少年はただ歩るきたい潮のにほひさせて

一筋の涙を流す禁じ手を乙女は知つている彼の背中を愛したから



『≪ 見知らぬ人 ≫ 植物と動物』といふ飛行機に乗ればコースを変えて世界中

だまつて私と一緒に歩いて来た人にだけ打ち明けたい本当の世界を



どこでも暮らせるけど人生はこの道ずつと探してるんだ「しろい家」を

かすかに微笑むアリス/ほんとうの名前はしらないふしぎの国の少女



空を両手で迎え入れ朝日を浴びる/水底に透く/ぼくは魚

計算器まはりてピストルの音――みじめなる思ひ重ねて・・・言葉がみつからない・・・・



びしょぬれでやらせてよ光る波ささやきあえば月まで昇るから

無菌室の影それはわたくしのくび筋にただひとつ鞦韆の鎖



スポンジにのこりし指の痕はPhotoグラウンド着色この真珠は夢

拾った手紙に金魚も蒼を愛するフラッシュする印象のなかで



「判で押した」ようにきみは、おしひろげる衝立をさらって行ってはくれぬか

まなざしは求愛する昇りつめながら階段は螺旋という縦穴を掘り



心臓に動悸を呼べば液晶は止まる刻は引き潮あなたの髪のにほひが

夜ななつのくびかざりを、恋人へ存在感で生まれて泡の姫



チューニング微妙に狂った弦はあらかじめそこに置かれたバターみたい

降伏する! 眼のかすみラフなタッチで手紙を書かむギタリストなれば



人命を守るべき大げさすぎるシチューだからバーナーで燃やそう

あらゆるものが図形なら涙拭くマネキン、煙突、窓、レンガを



ひと影も稀、ミステリーは軽くタッチ、メリーゴーラウンドな十字路

ぶっきらぼうに公孫樹は舞い落ちたから「信じてる」迷路はない闇のほか



ひんやりとやはらかなナイフをかざし夜の瞳は兵士としての自画像

さり気なく花自づからが水面にと世界の人は抵抗しているか



世界には実に沢山のパンがある、車輪が無名の個人の脳味噌

半地下の一列目これは<強>だなと吹き飛ばして「ドア、閉まります」



なお雪に降る、空は曇りて花落としデッキチェアが酔ってるみたいでした

フロイトが「フロイド」に変わる・ピンク脳内にゾウさん湯加減どうですか



ノートなど売ってしまおう、ぼくらには防ぎようもなく理想という美が

網の中にあおい樹を生やしていたのだ、夢ばかり重く、翅が風の名



ベッドから右の足垂れて不思議な響きが欲しかった鈴とかシャワーとか

いたずらっ子が跪いて神を乞う「壁の穴があって・・・その、――いれたいんです」



ひやあせ/このままずっと 感じたいのに/さよならをいう ぼくの不自然

さあおいで/こえしめってます/ぬちゃりと/どろのようだから/あめはあかるいから



旅立ってゆく懈怠の眼は銀河みたいにとらえどころなく影よりあいまい

下着とはあおき卵のことだよとマンションの入口で羽ばたくような



この噴水の「くぎ」をぬいたら剥がれてしまうそれはわたしの黄金色の砂漠で

深夜、君の弾く左手がそっと消えて、とけかけの氷みたいあんな表情で



小蛇の感情 鯉はひとりでに。泳ぐだろうループする水ぬめらして夜明けは

申し出しかねますラフマニノフは難解或る女みたいに這入れない群青



夜の女王/砂の嵐/クレオパトラ/交尾にもつるる毒蛇来たる

高層の足場にネオンある涙は何故きらめくの遠い国のお姫様 



やぶれやすい心に石をいれてみても存外やぶれない翼を

おまえたちは小石の波紋/南行きの電車だ/まだ遅々たる歩



ここでやすめよ終点にはやがて着く汝と私それだけの故郷《ホーム》へ

「入れ歯ならすぐに・・」じーちゃん うま、うま「まだかなー」やっと来たわたしの眼鏡



蓋開けてみればざくざくと均一な時間どうしてだおたまじゃくし

凹凸がピタリと合わさるジグソーパズルゆらめいたら感性しか望まない



電話鳴り数字すべて忘れて戀の匂ひは「早く作って」ひたすら西日

ゼリー状になった封建制度のかくあるべしは爆薬なき待ち受け



日々はいつも「約束」と想ひ給ふ駆け寄りて猶ほゆだねるやふに

お元気ですか? でしたか。-と肩をたたき・・・優先席はあいてますよ!



洗濯機渦を眺めて/鏡のなか/シンメトリーかレシピかミキサーか

# 抽象ブルー コートは黄いろがいい さらわれし子はGREEN+RI-N



「悪魔に魂を売り渡した」パガニーニに束の間に騎手の右手思ほゆ

魔女裁判の水に映えゐし鳥を思へど来世は万緑を蝕みゐる



「乗ってけよ」おれはヒッチハイクな青春数えていたよアンタのやさしい歌

なんで、と言う脅迫は胸を抉らない「兄弟たちによって売られるヨセフ」



スローライフの重苦しさ。冷たくなつたリビングのドアといふ拍子。

体重計という通過駅で恋人さがすの針ぐぐっとスケルトンになれ!



地図を見ながら電話して何処と聞けば心の奥のあいまいな部分まで

リストラを言はれし君はショパンだ電話に「雨だれ。」とこたへてやれ



流れ星から病原菌がきますよ! イエー世界中窓からのぞけ子供たち

とうさんは倒産だ。かあさんはcar+sunでクラッシュして死んじまい



ゆるやかに沿つて「夜明けの蒼。」崩さぬや思わずクレヨンで引力と書く

外からは見えねど車は虫の息/風邪などもらふなよキリギリス



我が家のイヌはかつ丼を喰うみたい/泣いてみようよ/里の お袋さん!

空腹は孤独とスイッチする日もありきわが病背負ひて詠へば



あとの波は「沈着する。」色も香もかかはりも悟れ今日《けふ》も又ひとつ波

隣家に碁をうつ音こそ先づあらはれて楽士も蛙になりたるとぞ



***夜は暗い「明るい部屋なのに」濃く映る夜空におほはれて「星ただ白く見ゆ」

自問する/葛藤する/絶望におはれる/血のにじむ心の内を透かして***



目を閉じてみるのさ本当に正しいのか[思考の光]はなてどもゆる

痙攣する悪阻のやふな夜の窓ヘリコプターは夢おちゐぬわれのこゝろに



ブーム去りたれどPictureはとうとう兎 目をそらす友のあかき充血

逆立ちしても出て来ぬ金と競争 ビジネスマンは「聖戦遂行。」



星空をトナカイはしる「りん・りん・りん」りんごすきだよ あかはなじゃないよ

やあサンタクローツ! いえいえ回し者ケーキ屋で自給やすくて飴しかくばれません



タクト振るぞぼくにとっての諸君やさしき青の帆止められない

シンデレラは硝子の靴を忘れたけど途方に暮れた奴がしたたかという不思議



さあメールを送信しよう「仏陀です。」いやいや違うな「御陀仏でごんす。」

その瞬間に聞こえ来る[キャンバス×パンドラ]暦だけ出ておいで



「それが結論ですか。」吃驚した/彼はいつの間に草のにほひ思い出したのだろう

雨の夜の駅/階段は「不要。」/夕暮れの土手を段ボールで滑りゆきたい



涙は砂糖水さ/でなけりゃ叩き割った硝子壜みたいに時効はないよ

これから何処へ行くって聞いてもいいかい? 「恋する、ふたり」に「あおい、そら」に



氷ゐる浮世剥がれければ頽れかゝれる此の天地にぶつかつてみたく

阿修羅はパソコンに向かふ風邪薬のんで麦酒のんで伸び悩む訳をのんで



のっぴきならぬ不況/会計士は赤字/人は転職/神は無職

医師はビジネス誌に登場「YES」「NO」はリビング・ウィルから



ばつと消える閃光/追い掛けた真夜中/テールランプに42.195キロ

1000階建て10000メートルのビルディングス100兆円のネット社会



腕をまわして「どうして君なの?」と紙飛行機は薄い空気、息、染色

生まれてきたから星よとこしえに手のひら握り一歩ずつの寿命を



不慣れな音。魅惑的「闇の中?」 そして、誇りに思って苦しんでいる

彷徨えば 目を閉じて。に大きくうねる髪/花の重み(に)茎が撓むね



淫乱といふ女の背中に熟すなら葡萄の房もいで皓歯のつめたさを

ジーンズがペダル踏み込みスピードあげる「無理するなよ。」恍惚に目覚めた



ハッピーエンドなのに「すかさぬ髪。」繋がらぬ光しかし澄みたる眸わすれるな

マニュアル通りのメロスなら待合室でごめん薄情者バスに雨は降り込め



地獄の釜/退屈なドライブ/月が昇れば産みの親見るエンゼルフィッシュ

ひとりさびしい夜あり今日もセピアさ動物園でTVから流れる声



地下鉄の長いホームこえさりゆかばふぶくゆふべと虹の断片

われの名がもし花ならば瓶《かめ》にさす頬につたふうす紫の花よ



冷たいと思った/嗅ぎなれた部屋も短かければ今年ばかりの夢に落ち着く

TAXIに光しのびよるひび割れた声 業界の風は十二の色に折れた



酔いざめにコツプあれば毛髪はないか人魚よカサ・ミラのかほをして

蜥蜴は撃ち落とす黄砂も/雪も/扨て湿つてはふえてゆく水玉模様



Blindに夏の匂ひ何気ないあなたのしぐさ隠せなかつた

ゆつくりと忘られゆく男らを遠くに「ただ急げ!」と死にたまひゆく



正義/麻酔薬/それとも点滴の落ちる音か折り合いのつかぬ不安に

体内に運ばれてゆく数秒あとに「水。」比喩よ 心は知らないだろう



「饒舌」を吊られ喉にはりつく睡りの濃度、満員電車 IN 賽の河原

真昼間のCARの遠鳴りかぞへては麒麟の首だけ咽喉飴を拭ひたり



誰かといても「白。」さ 坂の上の陽炎も空吹く風となつただろう

コペルニクスのスィッチOFFふくらみてくる地球儀なぞり地球儀のまま



ゆきがふると ますくせんまい とんでゆく ああちゅうごくじんが やみにまぎれて

ゆきのひは たいようがこいしい ぼくだから だだをこねたら ごみばこになりそう



ブロック塀に啄木鳥の痕跡あり飛び去りゆかん寄り添ふ人の起源に

天から「輝く白い衣」サグラダ・ファミリアただ潜つてゆく深海へ







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最終更新日  2015年08月07日 09時03分47秒
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