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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

2015年06月22日
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カテゴリ:百章物語
                  写真詩: 塚元寛一さん
                  ツイッター:びいふじゃあきい・かもめ @kamome7440
                               写真素材;写真ac
                  櫻皮詩集: sampleさん
                  ツイッター:sample @kaibutsu_head
                  詩小説: しぇりーいすちゃん
                  ツイッター:しぇりーいすちゃん @izchan1










スタート・ライン 4.蚊取り線香




SL4 83.jpg


人生を変えたいと思う君へ
To you who want to change the life



人生百回の努力は、
手段や行為だと言う。
いいえ、
その向こう側を、
目指さなければ。

時間は一日二十四時間。
三百六十五日。
未来も過去も、
現在という今。
現在という今だけ。

君は誰かと暮らす、
何かを学ぶ、
伝えたいことがある、
そして生きてる、
でもわからないことは、
それ以上ある。

でも人生の入口に立って、
自分の足で歩いてごらん、
人の表情や、
人の癖を考えてごらん、
いま、君は何を見てる、
いま、何を得ようとしてる。

人を傷つけ、
人を馬鹿にし、
それでも僕が、
生きてる理由
愛を探す理由、
ねえ、現在という今だけ、
現在がすべて教えてくれる。

この景色、
この燃えるような色、
この魂の熟すような雰囲気、
僕は見たかった、
そして知りたかった、
空はいつまでも続いてる、
夜のあとでも、
昼、それとは気づかぬあいだにも。






 蚊遣り火が、広縁で赤く螺旋をたどっている。

 梅雨が、春と夏を相まぜにし、渦巻く。仕切りなく、開け放たれた農家の座敷は、梅雨を
呼吸しているようだ。雑木林へとつづく庭が、薄日のやわらかな雨にしな垂れているのが目
に映る。やおら雨粒たちの力強いダンス。こんもりとした紫陽花の大葉にもて遊ばれている
のか、游んでいるのか、弾んではすべり下りる。
 と、1つが軌道を逸れて、踏み石にジャンプする。

 ―――Let it be. (アイツ語録。)

 高1のクラスメートだった友だちの1周忌はまさにLet it be.な感じで、僕らは雨に浚われ
てゆく言葉を追おうともせずにいて、アイツだけが写真のなかで晴れやかで、昨年の豪雨の
中、アイツが迷いなく身代わりのようにして助けたアイツのちっこい弟が、玄関を出ようと
する僕らにお母さんのかげから小さく手をふり、僕らの「忘れ得ぬ1日のカレンダー」が仕
舞われる。

 金曜夕方の駅は、僕らの感傷がタイムトンネルの汀のさざ波であるみたいに、時間を階段
の靴音や駅員のアナウンスや発車のベルにかえてゆく。無言で3人、列車に5分ほど揺られ
ると、遠く高速道路の文明景色。ゆるいループのようになっている。そうか、行くときは反
対側見てたから、ずいぶんな田舎に入ってゆく気がしたんだけど…。「けっこう宇宙文明の
旋回する利器あんだよなー。」とアイツが言ってたのを思い出して、頬がゆるく濡れる。わ
るかったな、「竹トンボか?」なんて、さ。

 「渦巻き銀河だな。」と木村。
 「だな。」と遠藤。
 「だな。」と僕。

 今週の地学の授業は、先生がアラスカで開かれてる科学教育シンポジウムに招待されたと
かで不在で、自習かと思っていたら星の映像を見せられた。渦巻き銀河もその中にあった。
中央のバジルから外に向かって螺旋を描くように伸びている渦状腕、その中の星は入れ替わ
っていくけど、渦状腕は変わらずそこに在る。高速道路を走るクルマの流れに喩えられてい
た。

 「俺たちだな。」と木村。
 「だな。」と僕。

 遠藤は2人の間で柄にもなく泣いていて、「泣くな。」と遠藤の肩を叩いた木村と僕の声
も、潤んでいて。こうやって、昔から生徒たちは色んな想いを抱えた3年間を過ごすのだろ
う。と、じわじわ胸が熱くなってゆく。いま欲しい、言葉の火。こんなとき、最近ではポケ
ットから手放せなくなったしの先生の『櫻皮詩集』のページを、僕の心はめくってゆく。
 「spiral galaxy」…、しの先生は、今もその螺旋に胸おどる言葉の火を埋(うず)ませて
いるのだろうか。






      『雨後』 櫻皮詩集より


      泣くな、雨粒たちよ
      降りしきる
      おまえのまばたきのなかで
      眠れずに夜を明かした
      紫陽花の尽きた
      愛想を埋葬した庭先で
      草を毟る、女の
      弓なりにしなる背には
      飛び石が配されて
      陽に晒されている

      駆ける、蝶の
      白い素足が
      やわらかい耳のそばを
      過ぎてゆく
      着古され色を失くした花々が
      まだ踊ろうよって
      コップ一杯の強い風を呷って
      乾いた声を押し殺し
      泣いている

      泣くな、花々たちよ
      降りしきる
      おまえのまばたきを
      昨夜、ひとつ、ふたつと数え
      眠りについた
      女の背に沈む石は
      夜の深まりの内で
      渡航し、やがて小さな
      蕾のような背に
      たどり着いた

      女は泥のついた手を
      水で洗い流し
      陽に翳す
      濡れて光る手指には
      草で切ってしまった
      浅い傷が赤く浮かんでいて
      ひりひりと疼いている
      疼いている、そのしたで
      通い合う血の
      鮮やかさを見つめている



 


 ホームで列車の2人を見送って階段に向かって歩きはじめると、背中から可愛い声が春の
セセラギを蝸牛する。

 「あの…神田さんでしょ?」

 男子高生うつむき純情ふもふも振り返ると。


 もふ、…る。
 もふ、…ってる。
 もふふ、ホームってる。
 もふふ、兎さんでホームをってる。
 もふもふ、お耳して兎さんをホームは立って…。
 うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 お耳、して。
 お耳、ボクのうさぎさんして。
 お耳、ボクのうさぎさんして、おねえさんチックして。
 お耳、ボクのうさぎさんして、おねえさんチックして、桃いろスパイラルして、
るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


 「神田さん、焼肉弁当がお好きなんですか。」

 ……な……耳うさ…看護師……なん?

















最終更新日  2015年06月22日 08時16分53秒
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