653277 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2016年01月11日
XML
カテゴリ:AVE予告篇
※ ネット発表のものは、出版された詩集とは異なる箇所があります。
※ 本篇の、詩誌AVENUEによるレイアウトは作者校閲を経ています。






  「いや、シェイクスピアの再来かもしれない人間は、この劇団にはひとりしかいない。それはビリー・シンプスンだ。そう、小道具のことだよ。彼は聞き上手だし、どんな人間ともつきあう方法を心得ているし、さらにいえば心の内側にせよ外側にせよ、人生のあらゆる色と匂いと音をネズミとりのようにとらえる心をそなえている。それに非常に分析的だ。ああ、彼に詩の才能がないことは知っているよ。でも、シェイクスピアが生まれ変わるたびに詩の才能をそなえているとはかぎらない。彼は十人以上の人生をかけて、劇的な形をあたえた素材のひとつひとつを集めたのではないだろうかね。寡黙で無名のシェイクスピアが、つつましい人生を重ねながら、いちどの偉大な劇的なほとばしりに必要な素材を集めたという考えには、なにかとても胸を刺すものがあると思わないかね? いつかそのことを考えてみたまえ」   

(フリッツ・ライバー『『ハムレット』の四人の亡霊』中村 融訳)

  フェンテスは彼の方法の鍵を私たちに与えています。「ひとりの人物を創るためにはいくつもの人生が必要だ」、というのがその鍵です。

(ミラン・クンデラ『小説の精神』第3部・諸世紀の空のもとに、金井 裕・浅野敏夫訳)

  「犬、たぶんくたびれて寝てるんだね」とゾフィアはあたしに言った。「悪夢だってたまには眠らないとね」

(ケリー・リンク『妖精のハンドバッグ』柴田元幸訳)

 
  リタは、思い出のなかにうかびあがってくるのはちいさなこまごまとしたものなのだ、とおもった。わが家のちいさなものはどれもいとおしい。ちいさなものひとつのほうが、テーブルのうえの半ダースもの品々よりも、たくさん口をきいてくれるから。   

(アン・ビーティ『愛している』26、青山 南訳)

  わたしが裏口から通りに出たとき、トランクの中で音がし、バァーという声がした。アルベルト・キシュカはかくれんぼをしていた。

(イヴァン・ヴィスコチル『飛ぶ夢、……』千野栄一訳)

  ジェラールに軽々しく扱われたのは、自分で自分を軽々しい扱いに値いする人間にしていたからだ。

(P・D・ジェイムズ『原罪』第五章・63、青木久恵訳)

  足音がジャーミン通りをゆっくり近づいてきた。そしてはたと止まった。パワーズ船長は目くばせし、シオフィラス・ゴダールはわずかにうなずいた。足音はまた聞こえ始めた。道路を渡ってキーブルの家のほうに向きを変えた。

(ジェイムズ・P・ブレイロック『ホムンクルス』1、友枝康子訳)

  するとスクラトン先生が通りかかった。この人はまったくいいおやじだ。この谷間じゅう捜したってスクラトン先生よりすばらしい男はいやしない。先生のけつは脱腸なんだ。ねじこんでもらいたいときには腸を三フィートものばして相手に渡すのさ…… また、その気になれば腸の一部分だけを落っことして、自分の事務所から遠く離れたロイのビヤホールまで行かせることだってできる。腸は蛆虫のようににょろにょろはいまわってピーターを捜しにゆくんだ……

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』普通の男たちと女たち、鮎川信夫訳)

  リーは身動きした。とじたままでいようとして、まぶたがぴくぴくした。しかし意識と明るくなる光とが、むりにその目をあけさせた。

(ゼナ・ヘンダースン『果しなき旅路』1、深町真理子訳)

 
  ──あの畜生みたいな男の相手をして、さぞ困ったでしょう?」とたずねても、セヴリーヌは答えずに、かえって、熱っぽい笑いを見せた。アナイスの家の女たちは驚いてお互いに顔を見合わせた。彼女たちは今、昼顔が、そのときまで、一度も笑ったことのないのに気づいた。   

(ケッセル『昼顔』六、堀口大學訳)

  ヘーゲルにとって、全体とは、各部分の総合以上のものだった。実のところ、各部分の意味がよくわかるのは、それが全体に属しているからなのだ。ヘーゲルはそれをこう定義している。「真理は全体である」

(ジョン・T・ウィリアムズ『プーさんの哲学』6、小田島雄志・小田島則子訳)

  「個人的には」と、ホーガン社長はいった。「わしは寄せ波にプカプカうかぶプラスチックびんを見るのが好きだ。よくわからんが、なんだか自分が、永久に残るものの一部になったような気がする。きみに伝えてもらいたいのは、この感情だ。さあ、もどって短報の仕事を片づけろ」

(フレデリック・ポール&C・M・コーンブルース『ガリゴリの贈り物』浅倉久志訳)

 
  そう言ったあと、彼はサモサタのルキアノスが『本当の話』のなかで語っていた言葉を思い出した。”私は、目に見えず、証明もできず、ほかにだれも知らないことを書く。さらには、絶対に存在しないもの、存在する根拠のないものについて書く。”いやでも頭にこびりついている文章だ。 

(フェリクス・J・パルマ『時の地図』第一部・12、宮崎真紀訳)

  ピートは人間すべての手をポケットに深く突き入れると、ゆっくりした足どりで外野席に引きかえしていった。

(シオドア・スタージョン『雷と薔薇』白石 朗訳)

  (あらゆる人間と同じように)アレハンドラが具えていた多くの顔の中でも、その写真の顔はマルティンにはもっとも近しい、少なくとも近しかった顔だった、それは深みのある表情、手に入れられないと初めから分っていながら求めずにはいられないでいる人間のいくぶん淋しげな表情だった、まるで切望(つまり希望)と絶望は同時に現れうるとでもいうような顔、先に絶望しているとはいえ願わずにはいられないというような顔だった。

(サバト『英雄たちと墓』第IV部・5、安藤哲行訳)

 


     全行引用詩『ORDINARY WORLD°』 32/45 へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016年01月19日 18時08分45秒
コメント(0) | コメントを書く


PR

カレンダー

サイド自由欄


  Art詩スライドショー

  作へ

  注目作へ
   紫苑1~水原紫苑の歌によせて
     新たなイラストの扉がいま開かれた!




    詩誌AVENUEの 掲示板

    詩誌AVENUEの 私書箱

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

日記/記事の投稿

カテゴリ

フリーページ

塚元寛一のお部屋★


創刊に向けて


コラボ詩の心得


顔文字詩


『ふろいど』のために


311


オリジナル意訳詩


TITANのお部屋★


『ふろいど』


動物さんたち 1


動物さんたち 2


作家の部屋★


poet 塚元寛一さん


poet 田中宏輔さん


poet 香鳴裕人さん


artist 羊谷知嘉さん


poet samleさん


reviewer 澤あづささん


poet NORANEKOさん


poet 天野行雄さん


poet 黒木アンさん


poet はかいしさん


poet 紅魚。さん


poet しぇりーいすちゃん


poet 泡沫恋歌さん


e-shi トラ太郎さん


e-shi 黒沙鐶ミイカさん


e-shi コマさん


artist ホングウ セラさん


reviewer 藤一紀さん


reviewer 水野英一さん


poet メビウスリング詩人会勉強会


poet 僻猫さん


artist 美々婆々さん


poet カニエ・ナハさん


ミュージシャンのお部屋★


hiroyuki


森 ミキ


編集室★


ブックマーク★


Home


room 1 企画


room 2


box 1 ✔


box 2 ✔


box 3 ✔


box 4 ✔


box 5


pro1 陽気なこまどり


pro2 coffee


pro3 花のやうに


pro4


pro5 


PBook 1


PBook 2


PBook 3


PBook 4


PBook 5 ✔✔


PBook 6


PBook 7


PBook 8


PBook 9


PBook 10


PBook 11


PBook 12


PBook 13 ✔


PBook 14


PBook 15


長編詩投稿サイト


日本人 カモメ7440


水深九十八メートルの夜



月舞の宴 (コメント付)


1~71行詩


今日の写真詩:詩文by塚元寛一


No.1


作品


十一次元の詩人たちへ


青いレモン


『青いレモン』の前駆詩


古井戸の底に浮かぶ


オリジナル意訳1    by塚元寛一


オリジナル意訳2


オリジナル意訳3


オリジナル意訳4


オ意ロートレアモン1


オ意ロートレアモン2


オ意ロートレアモン3


オ意ロートレアモン4


オ意ロートレアモン5


写真詩詩文控え1   by 塚元寛一


写真詩詩文控え2


写真詩詩文控え3


写真詩詩文控え4


写真詩詩文控え5


写真詩詩文控え6


ひろやすさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


ひろやすさん詩文控2


ひろやすさん詩文控3


ひろやすさん詩文控4


ひろやすさん詩文控5


wa!ひろさん写真詩詩文控え1 by 塚元寛一


wa!ひろさん詩文控2


wa!ひろさん詩文控3


wa!ひろさん詩文控4


イラスト詩文控え1  by 塚元寛一


イラスト詩詩文控2


イラスト詩詩文控3



© Rakuten Group, Inc.