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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2017年10月23日
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AVE写真illus.詩N1514 1511 No.3



写真サイト:Pixabay

未来へ


一つの主観に対し、一つの平行世界が存在しているという考えは本当だ。量子力学での思考実験上の話くらいに思っていた僕だったが、
干渉する可能性があるかないかといえば、あるだろう、とは思っていた。でもそれが、かれこれ一年前、ケータイを通じて、
「ジョンバール分岐点」というSF用語を知った――。歪みに巻き込まれ、時間や場所、
さらには現実には存在し得ない場所が交じり合い、既に存在しない人物や物が復活するなどの異常事態はどんどん加速していった。
それが始まりだった。でもそれがどうして僕だったのかは、いまもってよくわからない。
ともかく、その一つ一つが、一つ一つ別の選択をした僕の世界、正確に言えば何百人、何千人もいる、
同じ世界に二人は存在できないという法則のもと、その世界はもうひとりの僕のいた世界。
主八界を内包する多元宇宙。僕はパラレルワールドを彷徨った。何らかの理由によるものか、特異点という性質によるものか、転移装置――。
エネルギーが臨界に達したことで、別の平行世界に移動する体質になったようだった。
旅を続けながら分岐してゆく世界を考察する。平行世界のとある辺境に住む一人として。
淘汰するには、どんな方法があるのかと考え、幸せになる切っ掛けを得ようとしていた。
何もかもが、ほんの些細な行き違いで未来を変える、冗談で済ませられるようなものでも、
その後の未来では、それが因果となっているケースもある。しかし、せいぜい数週間程度のものだ。
だが、数週間は人間にとって短い時間ではない。だが、極端な話、数年、数十年先の未来まで決定させてしまうものは最適に調整されているものだ。
同じものは存在していないはずの平行世界でさえ、非常に酷似したものはある。
精神的にも、肉体的にも、だ。風景にも――。それは小説や漫画では羨ましく思えたものだったが、その境遇や身に起こる出来事も微妙にリンクしていたり。
自分の体験した様々な出来事と酷似したことを自分が再体験してゆくという心理は人を混乱させる。どうしてこのように不条理なのだろうか、と。
そうして、僕は一回りして自分の世界へと戻り、未来を変えた。任意の平行世界の事象を思い描く世界の事象と入れ替えるというシステム。
人の心。よりよい結果を求め、そこで、本当の幸せを探す人の心・・・・・・。
しかし、そこでもタイム・トラベラの僕はまだ消滅してはいない。
そしてそれは、つまり、僕はこういう未来を選ぶべきだったという必然性を思った。
僕はその絶対的真理である宇宙観のもと、無数の平行世界の新しい一つの世界、つまり理想郷を手に入れた。
いささか反則技みたいな世界だったが、世界というものは原初のエネルギーであり、仮の世界であり、
本来は変更可能なものなのだ。そしてそれゆえ人間は粘土で作る人形のようなものであるとも思われてくる。
宇宙を、つまり神を一本の大樹とみなしたとき、軌道エレベータのような水・・。
そこに色があり、形がある。幹から生えている枝がそれぞれの世界。
枝から生えている葉は、その枝世界に従属する平行世界/小世界。そしてそれは魔法のようにこの瞬間という継ぎ目の中に生まれ、
日常が変わってゆく。でもこういう考え方もある。たとえば、この世界に僕自体が、異なる時間軸からやってきた時間遡行者だったのではないか、と。
そしてそれを知る術は、いまのところ、何一つとしてない。










原画サイズ/特大サイズ

詩とArt_Works: 塚元寛一さん &KAMOME_STUDIO
画像素材: Pixabay





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最終更新日  2017年10月23日 15時36分41秒
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