カテゴリ:写真詩・イラスト詩・書詩
それは―――。 最初、壜からこぼれた液体・・。 釘できれいな写真を突き刺したような、パリの景観を模した夜の街並み。 どうしてかドイツ・バロック特有の複雑怪奇さを想像する。 鳥の翼のように見える街の名前は外面化した眼に見える記号ではない、BIRD。 ウィング 一人の男がその《翼部》を歩く。 モールディング 刳形―――ロココ調・・ガス燈、寄木張りの床のあるcafe・・。 クロワッサンとコーヒー。街の回路図・・。 閨房という言葉を聞いた、秘事という言葉を聞いた、 メインストリート・・手練手管に鏤められた腐った宝石、陶酔の職業別電話帳。 塔の正面部分。サイレントエモーション・・ンン・・。 そして白亜―――ミルクのような白い天使の臼歯・・洋窓・・。 彫刻的瞬間の汗と誇り、されど、鵜飼の景色だ・・。 幼児の独立した自我の発達にも似た、煽りの視点―――月光が浮かぶ。 ハワイの海面に顔を出したイルカのような月光に古いルーン字体を 想 像 す る 。 なめらかな夜のまだら模様を蜘蛛のように進む、 幾通りもの優美さを鮮明に認めながら・・。 動力伝達装置。 聞き耳を立てて素捷く察知する。 無意識の反応で眺める月光の空間。 エイブラハム・リンカーンの肖像が描かれた五ドル紙幣と、 ラシュモア山にある四人の大統領の彫像の内の一人である、 エイブラハム・リンカーンがそれぞれ別の人に見えるように・・。 透明の琥珀色の液体から―――どろっと、頭部(が、) 漆黒の断層、何百何千もの[形態]―――“保持”・・、 (ナノマシンはSFだ―――物理法則を明らかに捻じ曲げている・・。) (でも、科学でなければ、魔法であれば、あるいは―――魔法科学であれば・・) 凝りすぎたリボンの結び方さながらの知恵の輪でどうしても解けない五分間のように・・。 そこには何ら夾雑物が混ざりようがない。 ・・・《鋼鉄のロボット》が【出現】する。 呆気にとられ、何をするか及ばない内に―――。 コーラス・ライン・・ンン・・。 謀略を仕掛ける連中、彼は権威のある科学者・・。 記憶の中の色褪せた捺し花。 「ターゲット確認、殺害シマス。」 と、敵増援の機数なども報告する軍事ゲームのコンピューター・ボイスのような声が。 ガンジーでも全力疾走で逃走するレベルの危険度。 防虫対策用カーテンシートの色を気にする食晶製造現場の声みたいに。 眼がオレンジ色の虫―――《オレンジ色》に光っている・・。 頭痛の熱の名残りのようにそれは見えた。 不自然な努力は、しかし神経を不必要に鋭敏にするのだ。 無理に押しひしがれた暗い熱気、異様な絶望の予兆のようなものがドメスティックに。 亀裂から眺める水の無表情、諧謔にも似た鷹揚の明るい感じ。 眼や鼻下に垂れた灯かりの影・・。 [花開いた睡蓮の花かげ深く涵しながら・・] ヴエールフ・ドゥノーム 顛倒。 シャングリア、カタストロフィ、インフェルノ・・。 ガギュン・・ガゴン・・。 (不思議な音だ、これほどのロボットが、・・) (すると―――すれば・・威圧・・) ガサッ・・バキバキ―――。 街路から――ひとまず・・。 ―――逃げる、森の中を、皮膚には棘が刺さり、 ガイウス・ユリウス・カエサルのルビコン川の渡航。 短時間に心を集中し、緊張して―――。 一刻一刻にかかっている、整理された清澄、不分明な、揺曳の感覚。 ニードルワーク・ポイント・・。 ―――野良犬。 蹌踉と近づいているように見えた。 次の瞬間、グシャッ・・キュアーンが聞こえた。 『見境』がない、《夜に躍らせる影絵》―――空の鳥のような渡り・・。 無意味で不規則な凸凹の道を一心不乱に。 逸脱、推測、曲線的運命の放物線・・。 毒々しい葉をひろげた植物を繁茂させ、蔓草という気味の悪い触手・・。 樹皮で擦りむける、足が痛む、すぐに息が切れてくる、 呼び、吼え、蒼白、胃の痙き攣り・・、 明け方のベッド・カヴァーの奇妙でなまなましい無残な感じを思い出す、 消耗性の屈服を強いる、優しい絶望の嗚咽を求める・・。 いや、まだだ・・まだ―――。 ―――人間のそういう持久力を知ってか知らずか、ゆっくりと歩く。 走れないのか、そうかも知れないと思った次の瞬間、 眼の前まで加ー速してきた・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年01月03日 06時31分05秒
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