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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

全15件 (15件中 11-15件目)

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象の椅子

2015年05月04日
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カテゴリ:象の椅子
フォルム

 詩における本質とは、フォルムのことである。形。文体。余白。音。これらがフォルム

 
を形成する。意味内容といったものは、詩においては、本質でもなんでもない。しかし、
 
意味内容には味わいがある。ただし、この味わいは、一人の鑑賞者においても、時ととも
 
に変化することがあり、それゆえに、詩において、意味内容は本質でもなんでもないと判
 
断したのだが、それは鑑賞者の経験や知識に大いに依存するものであり、鑑賞者が異なれ
 
ば、決定的に異なったものにならざるを得ないものでもあるからである。本来、詩には、
 
意味内容などなくてもよいのだ。俳句や短歌からフォルムを奪えば、いったい、なにが残
 
るだろうか。おそらく、なにも残りはしないだろう。詩もまたフォルムを取り去れば、な
 
にも残りはしないであろう。
 



ホラティウス


 古代の詩人より、現代の詩人のほうが実験的か、あるいは知的か、と言えば、そんなこ

 
とはないと思う。ホラティウス全集を読むと、ホラティウスがかなり実験的な詩を書いて
 
いたことがわかるし、彼の書く詩論もかなり知的だ。現代詩人の中で、ホラティウスより
 
も実験的な詩人は見当たらないくらいだ。そして、エミリ・ディキンスンとホイットマン。
 
このふたりの伝統に対する反抗心と知的な洗練度には、いま読み返してみても戦慄する。
 
さて、日本の詩人で、知的な詩人と言えば、ぼくには、西脇順三郎くらいしか思いつかな
 
いのだけれど、現代に知的な詩人はいるのだろうか。ぼくの言う意味は、十二分に知的な
 
詩人は、だけど。ホラティウスの詩でもっとも笑ったのは、自分がつくった料理のレシピ
 
をただただ自慢げに開陳しているだけという料理のレシピ詩と、自分の知っている詩人の
 
実名をあげて、その人物の悪口を書きまくっている悪口詩である。ほんとに笑った。彼の
 
詩論的な詩や詩論はすごくまっとうだし、ぼくもおなじことを思っていて、実践している。
 
詩語の廃棄である。これができる詩人は、現代においてもほとんどいない。日常語で詩を
 
書くことは、至難の業なのだ。
 



膝の痛み


 左膝が痛くて足を引きずって歩かなければならなかったので、近くの市立病院に行って

 
診てもらったのだけれど、レントゲン写真を撮ってもらったら、右足の膝の骨が奇形で、
 
体重を支えるときに、その骨が神経を刺激しているという話で、なぜ右膝の骨が奇形なの
 
に、左膝が痛いのかというと、右膝をかばうために、奇形ではないほうの左足が負担を負
 
っているからであるという話だった。これまでのひと月ほどのあいだ、歩行困難な状態で
 
あったのだが、そのときに気がついたのは、足の悪いひとが意外に多いなということだっ
 
た。自分が膝を傷めていると、近所のフレスコで、おばあさんたち二人が、「ひざの調子
 
はどう?」「雨のまえの日はひどいけど、ふだんはぼちぼち。」みたいな会話をしている
 
のを耳にしたり、横断歩道を渡っているときに、おじいさんがゆっくりと歩いているのを
 
目にしたときに、ぼく自身もゆっくりと歩かなければならなかったので、気がつくことが
 
できたのだった。それまでは、さっさと歩いていて、ゆっくり歩いている老人たちの歩行
 
になど目をとめたことなどなかったのである。このとき思ったのは、ぼくのこの右足の膝
 
の骨の奇形も、左足の膝の痛みが激しくて歩行困難になったことも、ぼくの目をひろげさ
 
せるための現象ではなかったのだろうかということであった。ぼくの目により深くものを
 
見る力をつけさせるためのものではなかったのか、ということであった。左膝の痛みが激
 
しくて、仕事の帰り道に、坂道の途中で坐りこんでしまったことがあって、でも、そんな
 
ふうに、道のうえに坐り込むなんてことは、数十年はしたことがなくって、日向道、帰り
 
道、風は竹林の影のあいだを吹き抜けてきたものだからか、冷たいくらいのものだったの
 
だけれど、太陽の光はまだ十分にあたたかくて、ぼくは坂道の途中で、空を見上げたのだ
 
った。ゆっくりと動いている雲と、坐り込んでいるぼくと、傍らを歩いている学生たちと、
 
坂道の下に広がる田圃や畑のある風景とが、完全に調和しているように感じられたのであ
 
った。ぼくは、あの動いている雲でもあるし、雲に支えられている空でもあるし、ぼくの
 
傍らを通り過ぎていく学生たちでもあるし、ぼくが目にしている田圃や畑でもあるし、ぼ
 
くの頬をあたためている陽の光でもあるし、ぼくが坐り込んでいるざらざらとした生あた
 
たかい土でもあるのだと思ったのであった。






最終更新日  2015年05月06日 21時51分09秒
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カテゴリ:象の椅子
                 詩:田中宏輔さん
                 ツイッター:田中宏輔 @atsusuketanaka

                 フォト・アート:羊谷知嘉さん
                 ツイッター:羊谷知嘉 Chika Hitujiya @hail2you_cameo
                 ツイッター:Engineerism @Engineerism








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TWZ1504-(2) 39 Origines_Barking.jpg


UNCOUNTABLE/COUNTABLE PAINKILLER ――― 『テラの時代』より






偶然


 あさ、仕事に行くために駅に向かう途中、目の隅で、何か動くものがあった。歩く速さ

 
を落として目をやると、飲食店の店先で、電信柱の横に廃棄されたゴミ袋の、結ばれてい
 
たはずの結び目がゆっくりとほどけていくところだった。思わず、ぼくは足をとめた。
 
 手が現われ、頭が現われ、肩が現われ、偶然が姿をすっかり現わしたのだった。偶然も
 
齢をとったのだろう。ぼくが疲れた中年男になったように、偶然のほうでも疲れた偶然に
 
なったのだろう。若いころに出合った偶然は、ぼくのほうから気がつくやいなや、たちま
 
ち姿を消すことがあったのだから。いまでは、偶然のほうが、ぼくが気がつかないうちに、
 
ぼくに目をとめていて、ぼくのことをじっくりと眺めていることさえあるのだった。
 
 齢をとっていいことの一つに、ぼくが偶然をじっくりと見つめることができるように、
 
偶然のほうでも、ぼくの目にとまりやすいように、足をとめてしばらく動かずにいてくれ
 
るようになったことがあげられる。
 





仕事から帰る途中、坂道を歩いて下りていると、

 
後ろから男女の学生カップルの笑いをまじえた
 
楽しそうな話し声が聞こえてきた。
 
彼らの若い声が近づいてきた。
 
彼らの影が、ぼくの足もとにきた。
 
彼らの影は、はねるようにして、
 
いかにも楽しそうだった。
 
ぼくは、彼らの影が、
 
つねに自分の目の前にくるように
 
歩調を合わせて歩いた。
 
彼らは、その影までもが若かった。
 
ぼくの影は、いかにも疲れた中年男の影だった。
 
二人は、これから楽しい時間を持つのだろう。
 
しかし、ぼくは? ぼくは一人、部屋で
 
読書の時間を持つのだろう。
 
もはや、驚きも少し、喜びも少しになった読書の時間を。
 
それも悪くはない。けっして悪くはない。
 
けれど、一人というのは、なぜか堪えた。
 
そうだ、帰りに、いつもの居酒屋に行こう。
 
日知庵にいる、えいちゃんの顔と声が思い出された。
 
ただ、とりとめのない会話を交わすだけだけど。
 
ぼくは横にのいて、若い二人の影から離れた。
 



セッ クス


 ぼくの理想は、言葉と直接セッ クスすることである。言葉とのセッ クスで、いちば

 
ん頭を使うのは、体位のことである。
 



フェ ラチオ


 二人の青年を好きだなって思っていたのだけれど、その二人の青年が同一人物だと、き

 
ょうわかって、びっくりした。数か月に一度くらいしか会っていなかったからかもしれな
 
いけれど、髪形がぜんぜん違っていて、違う人物だと思っていたのだった。太めの童顔の
 
体育会系の青年だった。彼は立ち上がって、トランクスと作業ズボンをいっしょに引き上
 
げると、ファスナーを上げ、ベルトを締めて、ふたたび腰掛けた。「なかなか時間が合わ
 
なくて。」「えっ?」「たくさん出た。」「えっ?」「たくさん出た。」「えっ? ああ。
 
うん。」たしかに量が多かった。「また連絡ください。」「えっ?」思いっきりはげしい
 
オーラ ルセッ クスをしたあとで、びっくりするようなことを聞かされて、ダブルで、
 
頭がくらくらして、でも、二人の顔がようやく一つになって、「またメールしてもいい
 
の?」かろうじて、こう訊くことが、ぼくができる精いっぱいのことだった。「嫁がメー
 
ル見よるんで、すぐに消しますけど。」「えっ?」呆然としながら、しばらくのあいだ、
 
彼の顔を見つめていた。一つの顔が二人の顔に見えて、二つの顔が一人の顔に見えてって
 
いう、顔の輪郭と表情の往還というか、消失と出現の繰り返しに、ぼくは顔を上げて、目
 
を瞬かせていた。彼の膝を両手でつかまえて、彼の膝と膝とのあいだにはさまれる形で跪
 
きながら。






最終更新日  2016年01月24日 18時29分14秒
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2015年04月15日
カテゴリ:象の椅子
                 詩小説:香鳴裕人さん
                 ツイッター:香鳴裕人/am @zxam9

                 フォト・アート:羊谷知嘉さん
                 ツイッター:羊谷知嘉 Chika Hitujiya @hail2you_cameo
                 ツイッター:Engineerism @Engineerism








TWZ150414-2 Human-Fear 80.jpg


J-POP



 打算は好きだけど綺麗事は嫌いだよと言った。
 おそらくは、私が私自身を綺麗事で守っていることの負い目から。
 気持ちをどこに向けるにしても運賃は足らず、積み上げた過去が重荷になる。自分を悲劇
の客体にすることからは遠ざかりすぎている。結果として、灰皿が吸い殻であふれることに
なる。10年前よりもずっと早いペースで。イチゴヤドクガエルに思いを馳せながら、トマト
を握り潰すことしかできないでいる。せめて酸漿であれば少しくらいは格好がついただろう
に。
 あの時、有線のチャンネルをJ-POPのチャンネルに合わせていたら、汀子は死なずに
済んだだろうか。
 世界ってこんなにもくだらないんだよと、嘘を吐けていたなら。


   ◆  ◆  ◆


  季節は勤勉さだけが誉れ
  私たちを取りこぼしたりしてくれない

 汀子はバスルームでシャワーを浴びていた。シャワーを全身に浴びるだけだとしたら、も
うとっくにバスローブを着て出てきてもいい。午前中は部活だったと言うから、ちゃんと洗
いたいのかもしれない。まだ春先、不快な暑さはないにしても、陸上部の長距離ランナーな
ら汗もかくのだろう。
 所在なかった。このホテルの利点は駅から近い、というだけで、他に美点を挙げることは
できない。ゲームもカラオケもできないし、ジュースが買える冷蔵庫すらない(小さな冷蔵庫
にはウーロン茶の缶がひとつだけ入っている)。愛を盛り上げそうな工夫(鏡とか)もどこにも
見当たらない。テレビのリモコンをいじってみても、ろくなチャンネルが入らない。
 有線だけは入っていたので、チャンネルを回して、フィリピンポップスをかけていた。
 自分の生きる気配が濁っていく気がした。

  3月末のハレーションは
  月夜烏のお遊戯
  諾々と月桂に浴する
  めくるめく蕾
  浮き世をすり抜ける
  さんざめいて開花
  まかり間違って惚れてるなんて言ったって
  あと1週間もすれば花は見頃
  全部を嘘にしてしまうだろう
  日差しにやられて

  打算に徹することができていたなら
  散る花弁のひとつやふたつが
  あるいは全てが
  ハレーションを引き裂いたかもしれない
  まるで真実のように
  でも待てないよ
  引き寄せたいよ
  不覚にも思うだろう

  私は言う
  月夜烏が愛を囁くのを
  少しは信じる気になってほしい、と
  吐き気のするような綺麗事で
  ハレーションを背負って
  ずいぶん卑怯だ
  期間限定だよ
  咲き誇るまでは
  正直者でいられる

 バスルームから出て来た汀子は、何も着ていなかった。「女としての恥じらいはどこに捨
ててきたの?」私は問うた。「私の恥じらいは、笹峯中学校の第三倉庫に転がってるよ。そ
こ、ラブホ代わりにしてたから」やたら具体的な答えが返ってきた。

  3月末のハレーション
  傷みも喪失も何もかもなくて
  曖昧な線上で
  危険のない綱渡りみたいなことをしている
  そんな日常が私たちの証左

 私は気になっていた。「なんで私を誘ったの?」私の質問を背中で聞いて、汀子はテレビ
のリモコンを手に取った。チャンネルをアダルトに回したのだけれど、音はすぐに消した。
「音は要らない」テレビに映るのは、当然ながら、男と女の組み合わせ。汀子はそれで楽し
めるのだろうか。「なんで私? 彼氏いた時も知ってるでしょ? フツーに男子が好きなん
だけど」ここまで来ておいて今さらなのは重々承知。

  3月末のハレーション
  きっときみは情熱を傾けているんだろう
  持て余した気持ちも時間も、体温さえも
  意味なく消費してしまうことに
  それを私に求めてしまうほどに

 汀子はこちらへ振り向かなかった。けれど熱心にテレビを見ているふうでもなかった。
「別に、たいしたことじゃないよ。人生とお金を無駄遣いさせたかっただけ。あなたのね」
汀子の言ったことの中から、読みとれたのはひとつだけだった。「あ、やっぱワリカン? 
ここ?」

  証左を捨てられないから
  幸せを甘受して
  生き物になるでもいいだろう

 今月はだいぶ厳しいんだけど。「性別も学年も同じなんだから、ワリカン」いつの間にか
汀子はこっちを向いていた。今、休憩料金の話をしている時が、一番かわいい汀子だった。

 たぶん、汀子はもっと通俗的なものに浸るべきだった。
 けれど私は、J-POPのチャンネルに合わせなかった。
 体重と熱とわずかばかりの後悔がベッドに沈んでいく。

  春だね
  春だよ


  ◆  ◆  ◆


 気がついたら私は、灰皿にどれだけ吸い殻を押し込めるか、新記録に挑戦していた。

  桜雲を飛び越えて
  ひとりの吐息を繋ぐ

  あの時のベッドから
  咽ぶ雫をこぼしてよ
  もうきみとワリカンのできない私を
  潤して



TWZ150414-2 Inside-of-Female 37.jpg














最終更新日  2015年04月15日 08時02分44秒
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2015年03月28日
カテゴリ:象の椅子


 たとえば、こんな星でもきらきらかがやいているように露が光るような朝。

 (天に口無し人を以て言わしむ、

 こうしなさいよ、こうする方がいいよ、それがわかってても、

 無駄だな、馬鹿だな、そんなのってないよ、ああ――ああ・・・

 一度許してしまうと全部抜けちゃうんだぜ甘酸っぱい感傷の情の趣

 遠いところを見つめてなかったらそれは本当の自分の気持ちじゃないんだぜ、

       

   <宇宙を泳いでいる流れ星・・・

   <ねえあの森から君は出られたの?

     ・・・わ・・・・・・ら・・・・・・い・・・

     ・・・・・・わ・・・・・・・・・・・・ら・・・・・・・・・・・・い・・・・・・

 角のない、物分かりのいい人になろうとしてゆく、僕。

 説明がつかないくらい、ひどいことも忘れてしまおうとする、僕。

 気がつくと、新しいドアになってゆく。瘡蓋に。ねえ、ザラッとした感触も、

 そいつが甘くなくても、たとえ因縁が計り知れぬほど深かろうと、

 人生を見つけよう・・・。

 瞳を潤わせよう、沈黙の底から不思議な宝石を―――。

 (けものが吠えるような、わけのわからぬ悲鳴がきこえるよ、
 
 月の出の間もない夜更け、すべての光彩を消したような夜に、(に、

 白く凍てつきながら意識が光に誘われる運命の曲折へと。

  ・・・。

 僕は――でも・・・影と光がかわるがわる現われはてたすえに、 

 (フフ・・・僕は――でも・・・影と光がかわるがわる現われはてたすえに、

 太陽と月の間のゴーストタウン――へと・・・ゆく。(・・・を)思い出させる。
 ファング
 牙。王侯貴族の肖像画みたいな幸せだな、弱い価値観だな、愛だな。

 日々の争い事の多くが、針の先をつつくようなものなのだと気付く。
 、、、、、、、
 気付いてしまう、

 (脳細胞に普及する一切の思考停止を促す音の波、

 屈辱を栄光に転じようとする人達もいて、
 、、
 いて、底が見えないほど深い瞳もあるんだよ寸前まで堪えることで
 
 逃れてゆかないことでありえないほど音は空高くぶっ飛んでゆく
 ファントム
 幽霊。僕らって、何故かそんな折り曲げたナイフで、プールへの飛び込むドキドキなんかで、

 時を忘れてしまう――忘れられたあの頃はビデオの早送りを見ているよう。

 でも、そんなのもう夢だ。

 シ イ ダ ッ ダ ッ フ ィ ー ハ ッ ハ ッ・・・。

  ・・・。
 、、 、、、 、、、、、、、
 その、ひびき、わすれないけど、
 、、 、、 、 、、、、 、、、、、、、
 その、おと、の、つらなり、わすれないけど。

 ねえ、群れをはぐれた、僕等ひとりひとりの胸に宿るものは、何・・・?

 日ごろ考えていたことがひとりでに焦げる、

 あの頃、僕等ひとりひとりが本当に探していたものは、何・・・?

 音 楽・・・。

  ・・・。

 夜空が溶けて落ちるんじゃないかと思えたすさまじい雨の響きさえも、夢。

 でも時々そういうものが蒼ざめた僕の表情の中によみがえる。

   苦しくも痛くもない、夢...

     see sth in a dream......


 浮かんだ考えを打ち消してゆくキュレーションサービス――

 笑っていても泣いていても、

 ラ ラ ル プ ア ァ リ リ ル ダ ア ・・・

 音 楽・・・。

 くたくたに疲れて布団の中にはいりながら、背筋にひやりとした電気が走る。

 息詰まるような緊迫した沈黙のアジェンダ。

 時間と空間をなかったことにして、いま、光ろうとしている言葉が、

 眼を閉じた闇の中にびっしりと硝子の鱗のように埋め尽くされ、

 その合間や小さな穴から、人生の欠片のことを僕は考えてる。

 一瞬でも仕事からはなれられないハードワーカーの僕の胸に、ある、

 のちの言葉を語り尽くしたあとでも、さきの世の言葉がある
 
 蒼い火花、動物的な美しさと人間的な隠すことのできない激しさ。

 本当とか当たり前とかがわかって子供は大人になったと思う。

 でもそこから本当や当たり前を強い風のようにうちふるわして、立派になる気がして、

 風船がポンポンにふくらむまで空気を注入する、ふくらむんだよ、

 ねえ、バケツの水を汲み出すように必死で働くんだよ、

 ああ虎でもライオンでもいい、歯をくいしばって戦え、
 
 魔法のランプなんか、きっと――ない・・・。

 どこからか散らばってくる、ほんのわずかな光は四角い箱。

 拡張を続ける、途方もない空想が死んでゆく。

 (やさしさが、抑揚を抑えた批判になる、

 たったいま見た夢を忘れてしまうみたいに、ぼうっとして、熱がなくなるさまは、

 棺桶。重い、海のひびき。球体になることはできない四角い箱状の中にためられた光が、

 ぷすっと錐で穴をあけられたように、夢やあこがれが逃げてゆく。

 交錯する、亀裂の中――――――。

 大海に放り出されて。

       退

   <不安な血のうごめきを感じるよ・・・

   <ねえ現代の、切り裂きジャック達?

     ・・・潮汐の干満による海面の昇降を観測する機械。

     ・・・・・・こんな悲しい機械みたいなものがベルトコンベアーに流されてる。

 胸を突き刺すような――思い出に・・・忘れたくないことばっかりが輝いてる、

 人生に。何年も・・・何十年も・・・何百年も・・・何千年も、

 この太陽は昇った、この月は昇った、感情の一番奥深い所で、動物でも、本能でもない、
 
 もっと違う働きを別のもの、それが、愛なんだと、それが真空なんだと、

 音 楽・・・。

  ・・・。

  ・・・。







最終更新日  2015年03月28日 14時52分51秒
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カテゴリ:象の椅子


 黒い鈍い光の星が、空に飛び、夜の水族館の景色を見る、
 、、、
 見てる、金銭への執着物質欲の肥大

 感情の欠落向上心をなくした――現状維持の保守的な態度。

 テールランプが長く尾を引く。下手な自転車乗りに。下手な口笛吹き。

 うまくかくしてごまかす [U](a )

 歩いているだけで、きっと酔っ払ってしま――う、なつかしい匂い・・。

 悲しい気持ちをずっと探していたような気がする――夜に・・・夜に・・・。

 見積もりの、熱狂が、来て、

 そよ風のように広く開け放たれた樹脂ワニスの空へ、

 広大な野原へと、意識が自由に駆け巡る。

 ド ゥ ー プ ダ ッ プ デ ィ ー プ ダ ッ プ・・・。

 音 楽・・・。

 林の梢に鳴る風の音に快い疲れに頭がつつまれている間に。紙やすりさ。

 美しかった夢、寂しかった夢が、消えてゆく――のを・・止められない・・・。

   ...(奴隷境遇

   ......(結局眼をそらせないりは)

  ・・・。

 壊れた車輪に、空飛ぶフライングソーサー。ああ・・・ああ・・・
 、、、 、、、 、、、、、、 、、、
 ぼくが、きみを、みつけられた、きせき。
 、、、 、、、、 、、、 、、、、、、 、、、、
 ぼくが、こうして、きみを、あいしている、よろこび。

 (ひどくロマンティックな気分でピイピイやってる馬鹿な気分を、

 消しちゃ駄目さ、あの幸せがかつて刻み込まれた不安を消してくれる、

 
 デリケートな指先が、神経質な白いすべっこい指の皺をなぞる。

 五本の指の釣り合いのとれた黄金比率に、(に、

 めいめい勝手な曲がり方をしているはずのそれに、

 胸の奥がどんどん冷えていく――んだ・・・。

       

   <宇宙船に乗りこんだような気分だよ・・・

   <ねえスペースシャトル、僕等は何処へゆく?

 いまスイッチを切るように頭の中から全ての明かりを消し去る、都会特有の渇き。
 ファベーラ
 掘っ立て小屋の方がいいみたいに、

 ゆるやかな雪崩れ。もやもやしてる――よ、それが耳馴れぬ異質なひびきを作り出す。

 デ ィ ン ド ン デ ィ ン ド ン・・・。

 音 楽・・・。

  ・・・。

 でも、深く息をしてくらっとくるみたいに、呼吸をつづけてること、生きてるってことに、

 眩暈があって、いまなお忘れ難いほどの不幸さえも、忘れさせようとする。

 ス ケ ー ラ ビ リ テ ィ ...

 だけれどもにもかかわらず

 孵化したばかりの、世界に対する、恐れ。
 プアマンズ・クルーズ・ミサイル
 poor man's cruise missile...

 どうすることもできやしない・・・。
 、、、
 しない、薄めることはできない怒りや悲しみがどこともしれぬ闇を思わせる

 その先に何が待つかも知らずに――――――。

 底へ・・・そこへ・・・・・・底へ・・・・・・そこへ・・・うくく・・・

 無理矢理な空気で。ざらざらを表面上だけなめらかにして。奥まで届かない、

 そんな切れ味の武器で。(で、)すべてを呑み込むことも、包みこむこともできない、
     、、
 言葉で。おお、言葉を。スライムのように増やして増やすと・・して、

 結局僕等は何一つ確かなことを話せなくて分かり合えなくて・・・。

 こだわりや抵抗が、精神を疲労させるものが、心の顫えのようなものが、

 硬さをうしなってゆく。

 命が尽きるまで、《継続・反復の終了》――

 どこまでもどこまでも追い続ける。中断されたフィルム。
 
 い、漠た、、 
 
 こめかみが痛くなるような不安息詰まるような暗い穴の不安のなかを、
  ブレス
 句読点がゆく。am/pmへ。午前/午後へ。

 シ ュ ビ ド ゥ バ シ ャ バ ダ バ・・・。

 音 楽・・・。

   ...(真理

   ......(かれてゆく身体は)

 motor-cycle under 50 cc...

 いや、いま、孵化したばかりの、世界に対する、恐れ。
 プアマンズ・クルーズ・ミサイル
 poor man's cruise missile...

 張りつめた何か消えてゆく奔流を失った鮭が、

 ある日泳ぐことそのものをやめて、水槽の中でゆっくりと、

 泳ぐことを覚えたみたいに。古いドアとなって衣替えでもするように、

 そっとしまわれる、環境適応。

   ...もうそれでいいよって...言って...言ってよ...

     抑えていた気持ちばかりが...掻き立てられる...








最終更新日  2015年03月28日 14時51分13秒
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