紫草詩2-8 紅魚。 8 「退屈な土曜日の留守番。」 ~短歌詩50選 (詩:紅魚。さん イラスト:ホングウ セラさん)
イラスト:ホングウ セラさん ツイッター:ホングウ セラ@seramo2 詩:紅魚。さん ツイッター:紅魚。@cleo19810402 (冷蔵庫をあけては不可ませんと言われていたから、ぶぅんと鳴る熱い側面に膝の裏を押し当てて、あせもをなぐさめていた)夏。 耳の方から膨れていくみたいなゆううつをぐりぐりと力任せにスピログラフに巻き取っていく。 ねむたい歯車がながれてゆきます/お弔い/昨日しかたなくそうじきでみぃんなおかあさんが吸い込んだ子カマキリたちの/透明のからだになって/あの、のぼっていく/あれはね/違う/はずむ/きょうないてごめんなさいおかあさん 、もうしません。 ぼおやりと宙をながめると、 せかいのほんとうをしったみたいなすきとおったちいさいものが ウクシズムをしているのがみえました。 ちょうしっぱずれのおんかいをころがりながら のぼったりついらくをしてあそんでいる。 うごけなくなって、 もううごけなくなって そうすると、からだの真ん中だけがやたらにからっぽに ちりちりになってゆく それは、ゆるされていた。だれも知らなかった。 息をするのとおんなじだった 冷蔵庫の熱にじわじわと灼かれる の、時間に戻ってくる しぃっという音が世界を埋めている うでの腹のやわらかなぶぶんにいちどだって噛みついてみたことがないという人のことを、 私、信じません。 空中のプランクトンを追う遊び。退屈な土曜日の留守番。