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番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

人質解放と「迷惑」


日本人の人質は、ひとまず皆、解放された。
先に人質となった3人は、羽田空港に着いたという。

これから先、彼らはテレビはじめマスコミを通じ、
世の眼にどのように注目されるのか。
さらには、どのように非難されるのか。

考えると憂鬱になる。

ニュースその他に登場する知識人や一般の人たちの言葉は、
「迷惑をかけたから、謝れ」という、分かりやすい論調が多い。
どうも、的はずれのような気がする。
彼らが人質になったことは、誰にとって「迷惑」なのだろうか?
ぼくら、一般の国民なのか?

心配はしたけれど、それは決して「迷惑」ではない。
今、この時期に、苦難の中にある人の役に立ちたいと旅立った人、
争いの真実を自分自身の目で見つめようと行動に移した人、
そんな人たちがいることを、ぼくは嬉しく思ったし、
ぼくらを最小構成単位とする日本という国の現在と未来にも、
もしかしたらまだまだ希望を持てるのじゃないかと感じもした。

「迷惑」ではなく、少し大げさに言えば「啓発」に近い。


--救出に20億もの金を使った。それはすべて税金だ。

そう言う人がいる。
確かに税金、その通り。ぼくの納めた税金も、なにがしかの額が
使われたことになる、計算上は。
それを“惜しい”とは、ぼくはまったく思わないし、
救出の役に立ったのなら納税者として嬉しいことだ。
自衛隊の派遣に使われたと考えるよりは、精神的にもずっといい。

この出来事を機に、渡航禁止を法制化しようという動きがある。
拘束力のある法律で自己責任を明確にするという。
そうした方向へ向かう思考のベクトルが、どうにもよくわからない。

ある国が紛争状態になり、渡航禁止が出される。
その国へ取材に行くマスコミは、政府の許可を得なければいけない。
そういうことなのか?
個人ではダメで、組織だったら許そうというのか?
わからない。

紛争地域で取材をするマスコミは大変だ。派遣されたスタッフは、
危険に身をさらしつつ、現地の出来事を伝えようと努力する。
しかし、それだけでは見えない、知り得ない事実がある。
それをこつこつと拾いあげ、知らせてくれる人たちがいて初めて、
ぼくらは現地の真の姿をおぼろげながらも思い描くことができる。

政府のお墨付きをもらった一部の人間だけが流す情報だけで、
「事実はこうだ、これを信じろ」と言われても、無理な話だ。

人質になった人や家族に対して「自業自得だ」と非難する人たちが
多いという。なんとも、情けない。彼らを「自業自得」と言い切れるのは、
自らを自業自得な状態にしうる人くらいのもの。
そう言う人たちにとって大事なのは、人間がやろうとすること、
そのことそのものの意味ではなく、世間体や秩序なのだろう。

--危険を冒して良い目的に行動した日本人がいたことを嬉しく思う。

3人が解放されたあと、アメリカのパウエル国務長官はこう語ったという。
日本国民に対するリップサービスもあるだろう。
しかし、見事な言葉だ。

この言葉を日本の首相が吐いたならば、ぼくは彼を見直したろうに。


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新聞や通信社などの世論調査で、
自衛隊の派遣に賛成、または、派遣を続けることに賛成という人が
50パーセントをこえた。
朝日新聞の調査では、自衛隊撤退の方針を示さなかった政府の姿勢を
正しいとする人が73パーセントにのぼっている。

こうして、一瞬一瞬の出来事を積み上げ、事実がなし崩し的に
真実とされていってしまうのだろうか。

人質解放に影響力を及ぼしたというスンニ派の宗教指導者が
インタビューでこう語っていた。

--日本は自衛隊をイラクへ派遣してはいけないのです。
--それは、憲法に違反しています。

小泉さんの言葉より、この言葉にうなずいてしまうぼくは、
“日本人として許されざるべき”存在なのだろうか?

でも、この宗教指導者のおっしゃること、正しいと思うなぁ。


(2004.04.18)





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