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番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

番組制作費



ただひたすら、呆れるばかり。
NHKプロデューサーの番組制作費不正使用。

ぼくと同世代のおじさん。
いい歳しながら、やっていいことと悪いこと、その区別もつかない情けなさ。
キックバックした金で飲み食いしていた、そのあさましさ。
家庭に置かれた一台一台のテレビから(「視聴者」から、ではない。NHKを見ていなくても金は取る)徴収した“受信料”と、国から支出される予算とを、自分のモノと考え得る、その思考のおぞましさ、傲慢さ。

さすがに『“日本”放送協会』を名乗る組織の一員だけのことはある。

ひとつカチンと来たのは、不正使用が『番組構成料』の名のもとに行われていること。

局の仕事をして請求書を出すとき、ぼくは項目欄にこう書く。
確定申告をするとき、主な収入の欄にもこう書く。

--番組構成料って、こんなに高額なのかぁ。

新聞記事を読んだ方々がそう思われるとしたら、とても、とても、不本意だ。

新聞の一面に大書された金額ほどにいただければ、さぞかし華麗な生活ができるだろう。
紙上では不正使用は4800万となっているが、8000万を超えるという話もある。
これほどの額の『番組構成料』が支払われていることになっていても奇妙と思われないほどに日本放送協会の制作予算は巨大なのか。

ぜひとも一度、お仕事、させていただきたいものである。

それに引き替え、ローカル局は・・・・・。

ぼくが知る限り、今、ローカル局の制作現場は必死だ。
制作費がガリガリ削られている。
それでいて「視聴率をあげろ!」「賞を獲れ!」と叱咤される現場の人間たち。

デイリーの番組をこなすだけで、ほとんどヘロヘロ。
人物や出来事をじっくり時間をかけて追う、
そんな悠長な取材ができる状況には、金力的にも人力的にも、ないのが現状だ。

数年前、ある講演で、NHKのプロデューサーが、
「NHKと言っても予算はそんなにありません。45分のドキュメンタリーで700万から800万というところです」
と言い放ち、会場の民放マン&ウーマンから羨望と嫉妬の声があがったことがある。

その45分(民放での1時間)のドキュメンタリーは、週一のレギュラー。
年間に50本前後、制作していた。
民放、特にローカル局には、そんな芸当、とてもじゃないができはしない。
特に、今現在、スポンサーがつくことは限りなくゼロに近いドキュメンタリーは、
1本の制作予算が100万の単位に乗ることすら珍しい。

その少ない予算で、なおかつ外部に発注する。
泣きをみるのは受注したプロダクション。
まさに、身を粉にして働いている。

世界の子供たちを紹介する5分間の番組をかかえるプロダクションのディレクターは、
1回の海外取材で7~8本分の取材をしてくる。そうしないとペイしないのだ。
そして、取材から帰ったその足で編集室へ。
会社に泊まり込み、編集に明け暮れる。

その献身的な働きに、そばで見てると涙が出そうになるよ、ホントの話。

講演の「7、800万程度」発言でぼくらを驚かせたNHKのプロデューサーは、こうも言った。
「45分のドキュメンタリーの制作費から、1回ごとに100万ずつプールする。すると1年間で5000万ほどになる。それを使って、やりたいと思っている大きな番組を作ります」

聞いていて、アタマくらくら、住む世界がまったく違うわぁ、と実感した。

このプロデューサーのやり方は、別に不正ではない。
それどころか、とても賢い方法だと思う。

ひとつひとつの番組で削れる部分は細かく削り、
ある程度金額がまとまったところで、手間暇かかる番組をきちんと作る。
これはローカル局でもできることだし、実際にやっているところもある。

が、しかし、その額の違いは決定的だ。
あるローカル局の制作部。元々少ない予算をさらにちょっとずつ倹約し、
1年間でプールした金額が300万。
上記のNHKプロデューサーの場合と、ケタがひとケタ、丸々違う。

だが、これに心意気をプラスすれば、いい番組が必ずできる。
その肝心の“心意気”を感じさせる若人がなかなかいないってのは、ちょっと考えもんかも知れないが。

NHKには“赤字”は基本的にあり得ない。スポンサーの顔色をうかがう必要もない。

その、予算的に恵まれた環境に安住することなく、恵まれていることを自覚して、
民放には、ローカル局には手を出せない、力のこもった番組を作って欲しい。
それだけが、テレビ1台から“受信料”を取り上げる唯一の“言い訳”であるはずだ。

しかしなぁ・・・・・、
80回で4800万、支払われたことになっている『番組構成料』。
単純計算で、1回あたり60万。
実際の不正使用額は、もっともっと多いという。あぁ、すばらしい。

番組構成屋がこれほどの収入があると錯覚されたら、
来年の確定申告は修羅場と化すだろう。

この仕事を始めたころ、確定申告に行った時のこと。
100万に満たない年収に、税務署のお兄さんが声をひそめて言った。

--この金額で、どうして生活してるんですか?

--はい、ツメに火を灯しまして・・・・。

この返事で納得したお兄さんも偉いと思う。

来年は、こう言って欲しい。

--こんな額のはずがないでしょう!
--NHKは、何千万も払ってるそうじゃないですか!

そのつっこみをかわす言葉を今から考えておかなければ。
なんだか、ワクワク。


それにしても、今回の事件や、視聴率を金で買おうとしたプロでキューサーなど、
テレビ業界で働く人間の、ヒトとしての底の浅さが露呈される事件の多いこと。

--その程度の世界なんだよね。

そんな認識が視聴者の意識に根付くことが一番コワい。
その認識、もうとっくに生まれていることではあるけれど。




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