|
カテゴリ:カテゴリ未分類
1月5日。
車椅子を押してもらいながらリハビリに行く母の姿を見送ってから3時間後だ。携帯が鳴り、母の血圧が急激に上がったことを看護師が伝えてきたのは。 車で病院に着き、1階でエレベーターを待つ。 降りてきたエレベーターの扉が開く直前、中から、 「いずみさん? それ、息子さん? 娘さん?」 と、大きな声が聞こえた。 開いたエレベーターから、ベッドに横たわった母が運び出される。聞こえてきたのは、付き添ってくれている若い担当医の声だった。 担当医は母に、誰が来るかを尋ねたのかもしれない。母はぼくの名前を口にし、担当医はそれを聞き返していたのかもしれない。 もう数分早く病院に着いていれば、ぼくの名を呼ぶ声を聞くことができたかも。 ジーパンに着替えず、ジャージのまま出ていれば1、2分早く着けたかな。 駐車場まで車を取りに行かず、走った方が早かったかな。 階段をのぼったら、行き違いになっていたかも。 ぼくの名前を言えたのかな、忘れてたくせに。 最後の言葉になるのかな・・・。 母が脳のMRIを撮ってもらっている間、ぼくは廊下の椅子に座り、そんなことを考えていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.05.07 19:31:53
コメント(0) | コメントを書く |
|