蓄電システム本格稼働 その2
蓄電システム本格稼働を決心し、システムを構築し両システムの蓄電池電圧特性と経済効果を確認しました 1.蓄電池の電圧変動 a.<システムA>2年経過蓄電池の劣化状態確認「蓄電システム本格稼働 その1」で紹介した<システムA>の負荷をかけ2年経過の蓄電池の放電々圧変化と充電々圧変化をグラフ(5分プロット)にしてみました。(グラフ、表をクリックすると多少拡大明瞭化します) グラフ1 このグラフを見る限り電圧の脈動も少なくリニアーな電圧の減衰を示しており、それが為に800W/13時間の放電が可能になったと思われます。反面、充電には1,700Wh/6時間を要しています。これは充電に要した消費電力の47%程度しか放電活用出来ていないという結果を示しています。これは電解液の比重を調べても明確で、新品時1.28(20℃)の比重が1.24まで落ちていました。つまり可成りサルフェーションが進んでいると思われます。 b.<システムB>蓄電池の放電々圧変化「蓄電システム本格稼働 その1」で紹介した<システムB>の負荷をかけ蓄電池の放電々圧変化と充電々圧変化をグラフ(5分プロット)にしてみました。 グラフ2このグラフを見ての通り放電時の電圧変動は可成り激しく鋸の刃のようなグラフになっています。 これは冷凍庫の平均出力40W(330kWh/年)程度ではあるものの、稼働時の出力が180W/h前後(断続的)に成るためと思われます。その結果1,300Wh/9時間で低電圧限界に至っています。一方、充電には2,170Wh/6時間かかっており、充電に要した消費電力の60%程度が放電活用出来ているという結果でした。c.<システムA・B>の放・充電々圧変化比較蓄電池1台と2台並列運転状態での電圧変化を比較してみました。 グラフ3負荷容量・蓄電池の経年差があるため何とも言えませんが、明確なのが放電開始直前電圧が紫(システムB)が13V強に対し赤(システムA)は13V弱と下回っています。これは当然ながら2年経過蓄電池と新品の差といえます。充電器は同一のものを使っているため、充電時のカーブの差は1台単独と2台並列の差と言って良いと思います(2年経過蓄電池と新品の差がどの程度現れているかは不明)2.経済効果a.電力料金の値上げに対する影響太陽光発電導入当初の電気料金(従量)は「おとくナイト10」の場合昼間(8:00~22:00)=23.87円/kWh(80kWh迄) 30.74円/kWh(80~100kWh迄)夜間(22:00~8:00)=9.48円/kWhでしたが、現在は昼間25.2円/kWh(≒5.6%UP)、33.6円/kWh(≒9.3%UP)夜間12.06円/kWh(≒27.2%UP)まで値上がりしています。特に夜間料金の値上がり率は夜間電力による蓄電システムの根幹を揺るがすものです。b.経済効果の算定「蓄電システム本格稼働 その1」の表1で示した<システムA・B>の負荷条件を使い次の各条件下での電気料金相当額を計算してみた。(表2参照)b-1.太陽光発電装置・蓄電池を設置していない場合の消費電力料金 (従量電灯B契約) 太陽光発電装置も蓄電システムも持たない一般家庭で<システムA・B>の 負荷条件で稼働した時の消費電力料金(従量部のみ)は 34,235円/年(2,814円/月)となります。 b-2.太陽光設置し夜間蓄電、日中放電し自己消費削減した時の消費電力料金 (ナイト10契約) 夜間蓄電分を日中放電し日中の商用電力を削減しても、その前後の時間帯で 商用電力を購入する事になる。この購入電力料金(従量部のみ)は 27,732円/年(2,280円/月)となります。 b-3.太陽光設置し夜間蓄電・日中放電した時の消費電力料金 (ナイト10契約)相当益 夜間蓄電分を日中放電し日中の商用電力を削減するが、この削減容量分を 商用電力購入に置き換えた場合の相当金額(従量部のみ)は 日中放電相当金額-夜間充電時消費電力料金となり 3,101円/年(254円/月)となります。 b-4.太陽光設置し夜間蓄電日中放電による売電増加益 蓄電システムがない場合は<システムA・B>の消費電力分全てが 太陽光発電分から差し引かれ売電されます(設置当時は部分買取り制)。 蓄電システム採用により日中の太陽光発電容量の自己消費が無くなった場合の <システムA・B>の消費電力相当分の売電(48円/kWh)益は 35,408円/年(2,910円/月)となります。c.経済効果の判定 <システムA・B>の負荷について、b.の各算定結果よりその効果を判定する。c-1.太陽光発電設備も蓄電システムもない場合の電気料金に対しては <b-1>-<b-2>+<b-4>=41,911円/年(3,444円/月)の+益が あると判断されます。c-2.太陽光発電設備を持つが蓄電システムもたない場合の電気料金に対しては <b-2>+<b-4>=38,509円/年(3,164円/月)の+益が あると判断されます。d.設備投資効果 <システムA>は、ほぼ2年前の設備で投資金額はおよそ13万円 <システムB>は、今回新規に増設した分で投資金額はおよそ11万円でした これは2年前より各装置が安価に手にはいるように成ったためです。 ちなみに蓄電池が2年前34,380円だったものが今28,600円で入ります。 現在までおよそ24万円程度の投資額ですが現状価格で<システムA・B>を 構築すると20万弱と思われます。この投資額をc-2の効果で除すと5年強で 元が取れるという計算になります。但し、蓄電池の寿命が3年程度とすると 減価償却はもう少し長くなると思われます。 (表をクリックすれば多少鮮明な表示となります) 表2