『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』
スーダンの内戦を生き逃れ、1,000km以上を徒歩で何ヶ月もかけて歩きとおしてケニアの難民キャンプに辿り着いた少年たち。そして、運良くアメリカに移住することができた彼らは、「ロストボーイズ」と呼ばれているらしい。 そんな彼らをモチーフとした映画である。 内戦のスーダンからの、両親を失った子供たちだけの脱出。ともに奇跡的に生き抜いた子供たちは、自分たちを「両親の違う兄弟」と言う。途中で病や、兵士の襲撃で命を失う仲間がいる中、難民キャンプでの数年の後、アメリカ移住のリストに載る。 やって来たアメリカは全く未知の世界である。空港に迎えに来た職業紹介所の職員キャリー(リース・ウィザースプーン)が、未婚で一人暮らしであるということ自体が飲み込めない。牧場に連れてゆけば、「猛獣はいないか」と尋ねる。「例えばどんな?」、「ライオン!」。やれやれ。シリアスな状況なのだけれど、そんなカルチャー・ギャップに思わず笑ってしまう。 徐々にアメリカの生活にも馴染んでくる彼らであるが、心に抱えている恐怖の日々は消え去ることはない。そして、自らの身代わりとなって兵士に捕らわれていった兄への想い。自らを許しきれない想い。そんな想いを抱くマメールがやっと巡り会えた兄を救い出すための嘘、good lie。 同じ地球上に、同じ時代に生きながら、あまりにかけ離れているアメリカとスーダン。もちろん、日本もその埒外にはない。何のための経済成長なのか、とかいう思いも抱かされる。それでも、ひとたび甘い蜜を味わってしまうと、失った途端に不幸を感じてしまうのだから、悲しい限りだ。一体、何処を目指したら良いのだろうか。 Good lieに持ってゆくためとはいえ、マメールの学校での授業シーンは特に要らないのじゃないの、と思うのだけれど。