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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2007年12月21日
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カテゴリ:ジャクボーの納戸

 かくして、正月が近づき、日本酒の味などわからぬ親戚どもに、ササニシキ(お米としても粘りの強すぎるコシヒカリより個人的にな嗜好に合う)から醸し出された正しい辛口の日本酒の味を教えてやろうと思い立ったのだった。。
 そういえば、母方の祖父は、なぜか日本盛の昔で言うところの2級酒を愛した男であった。そいつを熱燗にして、湯豆腐とかクサヤを肴にちびちび飲むのである。値段が高い1級酒をもらっても喜ばず、2級に交換してくるように暗に要求する。何の呪いなのか知らないが、刺身を一切食わないし(貝毒にあたった経験でもあるのではないかと)、娘婿たちにも供しない。思い起こせば、かなり妙な人物と言える。墓参りの際は、仕方がないので日本盛のカップ酒を用意するが、残念なことに今は2級酒はない。
 この祖父の父も伯父も埼玉あたりの蔵元で使用人をしていた時期があり、後に大伯父の方は小売の酒屋を営んでいたようだ。従って、この祖父が日本酒党である点は理解できる。しかし、曽祖父は新潟の出で、二世代を通じて埼玉東京と南下してきたような人間が、何ゆえに関西は灘の銘酒日本盛、それも2級酒限定で好むようになったのであろうか。かつて突然その疑問に思い当たった際に(墓に供えてやろうと日本盛を調べていた)、日本盛こそが、灘の大手酒造会社で最初に2級酒を売り出したことを知った。HPの記載に、「1955年(昭和30年)灘の大手で初めて二級酒(当時)の販売に踏み切る」とあるのだ。
 ここで一応解説しておきたい。当時も奇奇怪怪であった酒税制において、日本酒は特級・一級・二級に分ける等級別制度がとられていた。この制度、名称だけ見ると特級がうまくて高級、二級はまずい安酒の印象を与えるが、実はただの税率の違いで、高い税率をメーカーが納めれば特級、安く売るため税率を抑えれば二級酒の烙印を押されるといった類のものであった。つまり、品質や味はまるで関係ない。従って、最高にうまい酒でも二級と表示されることもあったわけで、特級にして欲しければ国に余計に税金を払えとメーカーを脅す一方で、消費者を言葉のイメージで欺くといったあこぎな制度であった。おそらく灘の大手メーカーは、必要以上にブランドイメージを重視して、二級酒と呼ばれるのを避けたいために税金を余計に納めた結果、小売価格にはね返って高くなっていたはずで、戦後日本の庶民には手を出しにくくなったものと思われる。従って、日本盛が二級酒を発売したことは、ブランドイメージより大衆化を重視した、まさに「踏み切る」英断だったに相違ない。
 東京の下町で小さな日本画の画材屋を営んでいた庶民、4人の子供を抱える貧乏人であった祖父は、当然ながら贅沢出来る立場ではない。つまり、安酒しか飲めない東国人にとって、その名もゴージャスな「特級」ばかりの灘の酒は羨望の的だったはずだ。その高嶺の花の灘の酒が、「うれしいじゃねえか、2級酒出してくれるなんざ~」(このような話し方をした事実はない)てなもんで、感激して飲めば大概のものはうまく感じるのが道理なのだった。一度うまいと思えば、頑固親父は棺おけに入るまでその印象を守るのが世の常だ。
 住吉について、そういった思い入れたっぷりの感情はないが、大学生時代に鯉のうま煮を肴にコップ酒を仰いだのがうまかったのは確かだ。一度印象付けられると、なかなか抜けられなくなるものが人間と言う生き物なのだろう。

 口に合うか合わないかだけが評価基準とする限り何でも良い。誰もが認める究極にうまい料理だの酒などという物は存在しない。その真理を理解していれば、太平洋戦争の戦中戦後の米が不足した折に、醸造アルコールなどでかさ増しした三増酒(三倍増醸清酒、いろいろ混ぜて清酒を3倍増するわけだ)に慣れた結果、それを引き継ぎアルコールを添加した日本酒(本醸造)を有難がるのも非難しようがない。二級酒の好きな祖父のように、それが主観的に好きなのだから、他人がどうこう言っても仕方がないのだ。しかしながら、その混ぜ物の多いものにより、日本酒離れが若年層に広がったのも事実であった。慣れれば良いが、慣れる前にまずく感じてしまうわけだ。
 繰り返すが、日本酒はうまいかまずいかだけでうんちくなどいらない(にわか日本酒党にはしゃらくさい奴が多い)。しかし、それでは日本酒の中身の話にならないので、一応の区別について解説するのを許されたい。
 まず、純米とは水と米(白米・米麹)だけでつくられたいう意味。原料の白米の磨きの程度(精米率)が高くなるとこれに特別が付く。「特別純米酒」と言えば、精米率の高い米を原料にまじりっけなしにつくられた酒と言う意味だ。実にいさぎが良い。これに対し、純米と表示されない日本酒は、醸造アルコールなどを加えて味を調えており、基本は本醸造酒と呼ばれる。パックの手ごろな日本酒などは、だいたいがこれに該当するが、やはり中身は千差万別で、とりあえず安くするために許される上限いっぱいいろいろ混ぜたものも、味を調えるために醸造アルコールを少々混ぜたものもある。
 また、本醸造よりも原料の白米の磨きの程度(精米率)が高くして、低温発酵などの吟醸造りを施すと吟醸や大吟醸となる。
 ようするに現在の日本酒の基本形を本醸造酒と見なして、混ぜ物がなければ純米、製法が吟醸造りなら吟醸になるだけの話なのだが、原料と製法で味の違いまではわからない。例えば手間暇かけた純米大吟醸であっても、銘柄によって味はずいぶん違うのである。
 日本酒の味の違いを計る物差しとして、「日本酒度」がある。本来糖分の含有量を示すものなので、甘いか甘くないかの基準だが、甘口か辛口かはこれを目安にすれば大はずれはないだろう。ゼロを標準とし、マイナスが甘口、プラスが辛口となる。通常+3.5~5.9が辛口とされるが、「特別純米酒極辛口銀住吉」は日本酒度+7なので、超辛口となる。

 うんちく終了。入手しなければならぬ。ごくまれに、どうしてこのようなコンビニに売っているのか首をかしげたこともあるが、住吉はさしてメジャーな銘柄ではないので、そこらの酒屋では売っていない。売っていても、商品の回転の悪い酒屋や、暖房をがんがん利かせていたり直射日光にさらしているような店のものは、驚くほど飲めたものではなくなる。
 とりあえず樽平酒造のHPにアクセスすると、さして遠からぬ酒屋が小売店として名を連ねている。...あんな酒屋に売っているのか、半信半疑でのぞいて見たが、影も形もなかった。極辛口どころか、普通の住吉の一升瓶も樽平(同じ酒造会社の辛口でない銘柄)すらなかった。
 そもそも、一升瓶(1.8リットル)はかさばるので、720か900ミリリットルを数本買いたいのだが、それを扱う店など地元以外にはないであろう。そこで通販で買うことにした。樽平酒造の直販は送料がよくわからず高そうで、楽天で扱うお店に720ミリリットルはないようだった。探していたら良いお店を見つけた(最上醤油株式会社↓)。
 http://www.yamagata-sake.jp/
 受注してから蔵元より取り寄せるとのことで時間がかかりそうだが、その分鮮度は良いはずである。ノーマルな銀住吉(それでも日本酒度+5の辛口)1本と「特別純米酒極辛口銀住吉」を2本、面倒なので代引きで注文した。そして本日めでたく届いた。土日をはさんだにしては、1週間とかからなかった。
 それで、今1杯・・・2杯と味見をしている。コップはウイスキー用の幅広のやつだ。この日本酒はろ過せず琥珀色なので、ちょうど色合いが薄めの水割りのようになる。残念なことに肴はいわしの味付け缶詰しかなかった。貝や魚の100円缶詰を肴にするにはもったいない気がするが、これが妙に合ったりする。口当たり良くスルスル飲め、肴がないと後からカーッとしびれる辛さがやってくるが、肴をつつきながら飲むと感じない。くせのない良い酒だと思う。成人して機会があれば召し上がれ。

 樽平酒造のHP
  http://www.taruhei.co.jp/
 日本盛のHP
  http://www.nihonsakari.co.jp/






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Last updated  2007年12月21日 21時52分30秒
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