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カテゴリ:獣医さんの「みかた」
もし現実として、カナリアシードで太り、ペレットで痩せるとすれば、栄養成分の値を信じる限りでは(信じなくとも微差でしかないことは明らか)、栄養成分・カロリーの問題ではなく、純粋に食べる量の問題と見なすのが、案外、的を射ているように思われます。カナリアシードはその文鳥にとって美味しいので食べ過ぎ、ペレットはその文鳥にとって不味いのであまり食べない、つまり、食欲の有無、嗜好性の強弱と単純に理解するわけです。そもそも、さほど大食の様子もなく、あきらかに脂肪の多い食べ物を多く与えることもなく、それなりに運動(飛翔や水浴び。文鳥はインコ類と異なり、これらのエネルギーを多く必要とする行動を得意とする)をしているにもかかわらず、お腹に脂肪が付くような太り方をするなら、それは先天的な代謝異常を疑うのが筋ですが、とりあえず、肥満すれば即エサの問題として、ダイエット(食餌療法)をはかるのは、人間の女性の行動に安易に重ね合わせた、少々軽はずみな対応と言えるでしょう。 ・・・ペレットを使用しないように勧めているように誤解されそうなので、自分がハリソン社のペレットを自分の文鳥の主食として使用するならどうするかを、考えてみましょう(真似をして問題が生じても、責任は負えない)。 ※それにしても、処方されたから与えているとか、こう言われたからそうなんだとか、自分で問題点を探し、自分で考えようとしない態度は、一体どうした教育の結果なのでしょう?教えたことを信じて従うだけなのは、中学校、長くても大学の受験勉強くらいで卒業してもらいたいものです。自分の意見を持たず、持とうともせず、勝手に信じ込んでいる話を疑いもせず、その内容を検討しないどころか、内容よりその見解の当事者を信じて疑わず、反対意見を批判する能力がないものだから、相手に意見を言う資格がないと思い込んで済ませてしまう、それでは議論する「資格」を、自ら辞退することになるかと思います。情けないです。 文鳥よりカロリーの高い食事が必要なはずの中型インコまでカバーする飼料なので、常識的に考えても、また、実際に表示されるタンパク質や脂肪の値から考えても(これ以下ではないという数値なので、実際はより「高カロリー」)、文鳥にとっては必要十分以上に過剰な栄養価を含んでいると見なされます。したがって、最初から成鳥用の『ADULT LIFETIME SUPER FINE』を用い、成長期と言っても説明にある6ヶ月ではなく、生後3ヶ月程度までと繁殖期に、副食的な位置づけで別途『HIGH POTENCY SUPER FINE』を与えます。さらに、病気や老鳥には、様子を見ながらですが、それを用います。特に老鳥には、より栄養価の軽いエサにするのが、ドッグフードなどでは常識で、それは人間同様に代謝が緩やかになるため多くのカロリーを必要としなくなるからと承知していますが、文鳥の場合は違っているような感触を持っているからです。消化吸収が悪くなり、また人間や犬猫と違い、暇なく食べ続けねばならない生物種であるため、体力低下でそれが難しくなれば摂取量自体が減るので、栄養価の高い消化の良いものを好むようになると、個人的には考えています(裏付けのない個人の経験上の感触)。 再度、『ADULT LIFETIME SUPER FINE』の適用種を読んでみましょう。 canaries, finches, budgies (parakeets), parrotlets, cockatiels, lovebirds and other small birds 訳せば、「カナリア、フィンチ、セキセイインコ、マメルリハなどの小型インコ類、オカメインコ、コザクラやボタンインコ類、その他の小鳥」です。私だけかもしれませんが、「and other small birds」は、「何でもかんでもOK!OK!」と、ハリソンさんに肩を叩かれつつアメリカ的な豪快さ(大雑把)で言われているような気がしてしまいます。そして、せいぜいラブバードや中型インコを意識し、セキセイインコも使用可能と考え、ついでにカナリアやフィンチやら何やらも食べられるだろう、くらいのものと解釈します。 ※ジュウシマツからオカメインコまで同じエサを同じように与えるのが正しいと、10年以上も信じ続けられるような人は、いったい何の「専門家」なのでしょう?ペレットの鳥種別の分化が進まず、そのことへの配慮が欠如した人が、十年一日で「処方」し続けているのが現状のようですから、飼育の専門家であるべき飼い主は、自分の飼育する鳥種により適合した使用方法を、自分たちで模索するしかないと思います。 文鳥の飼い主は、自分の家で自分の文鳥を飼育することについての専門家です。誰にも負けようがありません。そして、しっかりした飼い主なら誰もが、専門家としての自分の研究を深めようとするはずですから、それぞれの家の方法論には、それぞれの飼い主の研鑽が詰まっていると見るべきです。 QED お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月31日 11時51分29秒
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