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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2014年08月02日
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カテゴリ:文鳥動向の備忘録
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多数羽でもそれなりに平和
 
 昔、文鳥の飼育本をいろいろ読み比べて寸評したことがあり、その際に、『ブンチョウの飼い方・ならし方』(前澤和明 ナツメ社 1985年)については、次のようにしている。
 「禽舎で数十羽単位で飼育する副業的繁殖家であってはもっともな話でも、(略)、副業的繁殖家を目指す場合の入門書」
 ところが、その後、日本の住宅事情では、この禽舎による副業的繁殖は難しくなり、また、手乗りを飼育するスタイルが主流となってきたため、時代のニーズから離れてきてしまっていると見なせる。簡単に言えば、大量に生産するのではなく、付加価値を高めた少量生産が求められている。
 結果、その後に寸評したものになってくると、文鳥の飼育本も、禽舎飼育の説明が減ったり、無くなってしまうことにもなっていく。さらに新しい『ザ・文鳥』(伊藤美代子 誠文堂新光社 2010年)については、たびたびこのブログで批判したところだが、寸評は無かったので加えるなら、
 「適切な写真や図版が印象的で、感心すべき卓見を多く含むものの、飼育上は問題になる思い込みが散見され、無批判に吸収した浅薄な知識をぺちゃくちゃと吹聴する主婦的おしゃべり根性丸出しのようにも思われるので、気の利いたルポとして読み、飼育本とは見なさないのが正しいと思う」
 となってしまう。表面上さらっと読んだつもりなだけなら問題にならないが、個々の部分を抜き出して自分の飼育に利用しようとすると、現実と齟齬が生じるので、初心者には推奨できないのである。・・・これだけで言い捨てにすると怒られそうなので、いまさらとなるが、いくつか批判しておく。
 例えば、P18「(オスはさえずりを)ふ化後1ヵ月くらいから練習をはじめ」るは、無いだろう。確かに、その頃に単発的なぐぜりと思えるようなつぶやきをする個体もいるが、継続反復しないので、気づかないことの方が多い。むしろ、後にメスと判明する者も、その頃ゴチョゴチョ言っていることが有り、信頼性に欠ける基準と言えよう。従って、ヒナ換羽も終盤となる3ヶ月に近づいて、継続反復したぐぜりを行うようになって、初めてオス認定となるのが普通である。この本を読んだ初心者は、1ヶ月で性別がわかると誤解をし、無理な要求をすることにもつながってしまっているので、迷惑である。
 同じくP18にある「通常のメス」は「交尾を承諾する時」に「チッ、チッ、チッ」と鳴き、「飼い主を呼ぶ時」にも使う「可愛らしい声」とするのも、おかしな話だ。交尾の前のそれは興奮を示しているだけで、承諾のサインではない。メスの交尾承諾のサインは、身をかがめて尾羽を高速に震わせる姿勢だが、それには触れていない。なぜこれほど細かな観察をする人が、メス側の基本動作を省いているのか、不思議と言わざるを得ない。「通常のメス」と言うが、実際は、静かに聞いているのも、胸をそらして擦り寄るのも、一緒にピョンピョコ飛び跳ねるのもいて、鳴かない方が多いくらいなのだ。そもそも、これは呼び鳴きで、文鳥の鳴き声の中では最も大きく耳障りとされることの多い。伴侶と見なしている飼い主が近くにいないので、呼びつけようと叫び、その絶叫が連なってさえずりのようになってしまうこともあり、飼い主としては頭痛の種ともなる。つまり、「可愛らしい声」と表現できる人は少数派であろう。
 P36の農薬についてはすでに批判した。都市伝説を信じただけに思える著者の軽率な意見に従って、無農薬にこだわりすぎて、別の危険(外部寄生虫など)を呼び込む結果になることを心配せざるを得ない。
 P51白文鳥の読みを「ハクブンチョウ」としているが、白は、昔から「ハク」とも「シロ」とも呼ばれており、桜文鳥の桜を音の「オウ」では無く「サクラ」と訓読みするのと合わせるなら、「シロブンチョウ」が、むしろ自然な読みであることは、以前に指摘したとおりだ。
 P57白文鳥の白はパイド(白斑)が多くなった結果とするのはまだしも、「パイド同士をペアにすると、生まれる個体は親よりも白斑が多くなる」わけがない。これが事実なら、白斑は多くなる一方なので、桜文鳥同士をかけあわせていれば、みな白文鳥になってしまう。しかし、実際は、通常の桜文鳥(ごま塩を除く)同士から白文鳥が生まれることはない。「弥富産系のハクブンチョウはこのようにして(パイド同士をかけあわせて)固定化させていった」とするが、弥富系の白文鳥同士から、四分の一(実際に生まれる比率では三分の一)の確率で桜文鳥が生まれるのは承知の事実であり、それが白くする因子の優性と有色にする因子の劣性に基づくことも、既に科学的に実証済みである。著者の伊藤氏も、以前はホモとかヘテロなどといった用語を使って白色と有色の違いをご説明になっていたはずだが、その後いろいろ情報を得て、混乱されてしまったのだろうか?白斑で塗りつぶされた結果の弥富系の白文鳥同士から、実に法則的な割合で桜文鳥が生まれてくるのか。これをしっかり科学的に考えられるなら、出典出処不明の他人の話を安易に鵜呑みにしなかったのではなかろうかと思う。
 P68自家製あわ玉を薦められているが、私は、これはやめるべきだと思っている。家の中の雑菌の中で、卵を半生乾きにしている食べ物なので、雑菌の巣窟になる恐れがあるからだ。しかも、「14日以内に使い切る」としつつ「残ってしまいそうなら、ヒナのいるマスカゴなどの床に撒」くようにとするのは、ほとんど正気の沙汰とは思えない。なぜ、消費期限が過ぎている疑惑のある食べ物を、ヒナ周辺という、冷蔵庫とは比べ物にならない常温よりも温かいはずの環境に放置するのを、勧めてしまえるのだろうか?このようなことをして、食中毒を引き起こしても、当たり前としか言いようがあるまい。 
 P82では、ヒナの撮影の仕方につき、ずいぶんと懇切に説明されているが、すべてデタラメとは言わないまでも、思い込みだけで構成された個人的意見に過ぎない。光の加減を考える暇があれば、フラッシュ撮影でさっさと済ませてしまった方が、ヒナの負担にもなるまい。「フラッシュはヒナを怖がらせてしまう」?フラッシュ撮影など、さほど恐れず、あっという間に慣れるのが、文鳥という賢い生き物なのである。そして、室内を動き回り飛び回る文鳥の撮影に、動きのない姿だけを撮影する技術などあまり意味がなく、こういった意見を鵜呑みにすれば、ブレた写真しか記録媒体に残せなくなってしまうだろう。
 P127「多頭飼い」として、多数羽飼育になる場合の注意が書かれているのだが、まったく話にならないと言える。結論の、安易に多数飼育をすべきではないとする点だけは同感だが、「ペア以外は仲が悪くケンカをする」ことは無いし、「1羽が感染症にかかると、全羽に可能性がある」のは1羽飼育にしても、1羽感染したらそれまでだし、「数が多いと旅行時など、人に頼めない」のも、1羽なら安易に頼めるものでも無く、「引っ越しなどの移動が困難」なのも当然ながら、経験者としては、出来ない事でもないとしか言いようがない。まして、「全羽を一度に放鳥できないため時間がかかる」と断言されても、25羽超が毎晩一緒に飛び回ってる家が、ここにあるわけで、それに近い家は、いくらでもあるだろう。文鳥と言う生き物は、すぐに相手に威嚇する短気で喧嘩早い江戸っ子のような性質を持つが、それに対する耐性がない人は、挨拶がわりに威嚇した程度でもケンカと見なし、羽毛で覆われた胴体を軽く突いたくらいでも、殺傷沙汰になるような恐れを抱いて、一緒に放鳥するのを避けてしまう。しかし、そういった小競り合いによって、相手の実力を知り、相手との間の取り方を覚え、文鳥としての社会性を獲得していくので、始めから、「危ない、危ない」ではどうにもならないのである。複数羽を、毎日、十年以上も放鳥しても、文鳥同士の障害沙汰がないのが、事実なのである。結局、この著者が知っている「多頭飼育」なるものは、多数が室内で遊んでいるようなものではなく、単数飼育の集合体、ではないかと、私には思える。
 以下端折って、P145の劣性遺伝子云々のご高説が無茶なことは、以前に指摘した。P161の雌雄の割合についても、無茶苦茶、、後ろデタラメというしかないことは、以前に指摘したとおりだ。いずれも、初心者が文鳥を選ぶ際に参考にする可能性があり、軽率な意見と言わねばならない。おそらく、著者にそのような話をしている人が別にいるのだろうと思うのだが、文鳥に関するそのような奇抜な説は、出所不明ではもったいないので、私にもじっくりお聞かせ頂きたいものである。
 
 ・・・などと脱線が長くなりすぎてしまった。禽舎はもともと日本も欧米でも多数同居の小屋を指すものと思っていたが、『ザ・文鳥』が紹介されている日本飼鳥会の方の禽舎は、鳥カゴを複数置くために工夫された小屋となっており、それは著者の認識とは異なるが、自宅の一室をそのためのスペースとするのと、実質的には変わらないと思えたので、そちらの話に持って行きたかったのだが・・・。
 ま、かえって、何となく言いたいことは伝わったのではないかと。 わかる人にだけわかれば良い。






Last updated  2014年08月02日 22時09分02秒
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