サボテンカフェ

一人暮らしをしたことがない。
リゾートバイトもしたことがない。
私が１ヶ月弱、家を出たら、どうなるんだろう。
ま、多分、寂しくて家に帰りたくなることはないな。

そう思ってた。
そしたらやっぱりそうだった（笑）。

仕事は重労働。笑顔で重いものを持ち上げて運んで、いろん
な事に気を配って、汗だくで走り回る。
とにかくてきぱき。そんなのは楽しかった。

たまーに嫌味を言われたりするわけです。
そんなのは、笑い飛ばせます。
あ、いま嫌味言いやがったなこんにゃろ、と思っても顔は笑
顔、後でひとりになった時に、あー怖いなぁ、こういう人間
にはなるまい、とか思って納得したりしていました。
私も強くなったもんだ。

でも、ほとんどの人が本当に良くしてくれて、ここに残りな、
とか、本当に帰っちゃうの？とか、またおいで、とか、年末
までいるんでしょ？とか言ってくれて、お世辞やら社交辞令
かも知れないけど正直嬉しかった。
帰りたくなかったもん。
やばい、馴染みすぎたって思った。

私が家にじっとしてたら絶対に人生がクロスすることのなか
った人たちと、仕事をして話をしてほんの少し関わって、
いろんな人の人生をちょっぴり覗き見させてもらった気分。
人生はいろいろで、私が今まで知ってた範囲をはるかに超え
ていろいろで、毎日笑顔で生きていく為に、とりあえず必要
なのは自分のテンションかもしれない、と思った。
楽しもうとしなけりゃ、楽しくならない。
楽しむのは、ラクをするのとは違う。


荷造りをしてたら、寮の窓から虹を見た。
バスの中で泣きながら修善寺に向かう間にも虹を見た。

帰ってきてから、新聞に連載してた時から好きだったよしも
とばななの『海のふた』を本屋で見かけたら、舞台が土肥だ
った。びっくりした。まよわず買った。土肥だと思って読ん
だら、頭の中に景色が見えた。

こうして、私には特別な土地になりましたとさ。
また遊びに行こう。
きれいな川と海を見に行こう。
温泉に入ろう。
夏は花火を見に行こう。

・・・またどっか、海のそばではるちゃんやろうかな（笑）