自由ひろば

2008/11/16(日)11:25

リクルート出身中学校長藤原和博が語る未来の学力とは

教育(56)

民間で人材輩出企業といわれているリクルート出身の中学校長を務めた藤原和博氏は数々のプロジェクトを成功させ、全国の公立学校のモデルとなった。 著書「つなげる力」は気づき満載で、世界をつなげる仕事が大事になる時代といっているように、氏がいう「つなげる力=情報編集力」は子どもの教育だけでなく、職場にも人生すべてに通じるので紹介する。 ■従来型の学力(情報処理能力) 導かれるのは○×のはっきりしたたった一つの正解を導くチカラ 重視されるのは、スピード、正確さ、効率性 必要なのは記憶力(解放とテクニック) →受験という限られた世界や事務処理的な仕事にしか適用しないチカラ。 ■PISA(OECDが行う国際学習到達度調査)型学力(情報編集力) 導かれるのは、自分が納得でき、かつ関わる他人を納得させる解を導くチカラ。解は一つとは限らない。 重視されるのは、試行錯誤、多様性、複眼思考、問題解決 必要なのは、イマジネーション(つながりが連想できる力) →社会のあらゆる局面で応用がきくチカラ。 本来は複雑でむずかしいことを、やさしく図に描いて説明できることを「情報編集力」と呼ぶ。教育の世界ではPISA型の学力ともいう。 他人に知って欲しい自分の考えや思いを絵やマンガで図に描いて、やさしく伝えられたらうれしい。たぶん自分を理解してくれる味方が増える。 「情報編集力」は「つなげる力」なのだから「引き寄せる魅力」になり、したがって「味方」を増やす技術」に通じるというわけだ。 家庭でできることは、漢字や計算練習とか英語ではない。10歳まではまちがいなく遊ぶことだと答えている。そこから圧倒的に多くのことを学ぶ。大人になってからも同様で、ゲーム的手法である「ロールプレイ」や「シミュレーション」や「ブレーンストーミング(どんなバカなことでもいいから、とにかくアイデアを集める知恵だしゲーム)」やディベート(いわば言葉のバトルゲーム)」を重視している。 ビジネスマンとしての基本を身につけたリクルート社でも、優秀な営業マンはみな「ロールプレイ(同じ課のメンバー同士でお客さん役と営業マン役に分かれて擬似的な営業ごっこをおこない、営業技術を高め合う研修)」を通して磨かれた。 やっていることがどんなに複雑になっても、基本は「おままごと(お母さんロールプレイ)」や「戦争ごっこ(追いかけっこを中心とした闘いのシミュレーション)」という、子ども遊びの延長なのである。 大人になってから、関係性に強い人、つまり、何と何が意外にも上手く「つながる」かについて、イマジネーションがあふれるように出てくる人に共通するのは、子どもの頃よく遊んだ人だ。 遊びでは、予期せぬ状況の出現や予期せぬ出会いが連続して起こる。状況がめまぐるしく変化するなかで、自分の出方を決めていく。思い通りにいかないことの方が多いから、どうやってリカバー(自分の出方を修正するか)が終始学ばれる。 また道具がない場合は、代わりのものをそれに見立てて学ぶ。「見立てる」ことで「つながり」がイメージされ、より豊かに、多様に育まれる。 親には「負」の体験を恐れるなと言っている。多くの人は上手くいったことより、失敗したことの方が自分を成長させ、多くのことを学んだはずだ。 にもかかわらず、たいていの大人は、子どもに失敗させないように先回りして条件を整えてしまう。 はっきりいうが、ずっと居心地がよければ、子どもは大人になれないだろう。成長の機会をいうものは常に試練とともにあるからだ。 年中エアコンのある部屋でいたら、発汗作用や体温調節機能に重大なダメージが加わる。無菌状態でいたら、ちょっとした菌にも抵抗力がなくなってしまう。 家の中があまりにも居心地がいいから出不精になるならニート予備軍になるだろう。 家も学校も適当に居心地が悪い方が子どもの自立を助けると信じている。 「負」の体験をごまかしたり、目をそらしたり、きれいにオブラートに包んだりして抵抗力のない人間に育てないでほしい。 つなげる力

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