自由ひろば

2008/11/23(日)23:07

財部誠一が見た北欧フィンランド、デンマークの国家戦略とは11

欧州(13)

北欧デンマークにあるおもちゃメーカーのレゴ(LEGO)の工場に23年間務め、工場労働者の代表でもある51歳の女性の話。 説明を聞いたときはみなショックで黙り込んでしまった。 解雇されればそれは一人だけの問題ではなく、家族の問題になる。 転職者が多いデンマークでもレゴには勤続20年を越える者が多く、労働者の会社への忠誠心が高かった。 しかし、レゴでは大量解雇に反対するストライキやデモが起きなかった。 それにはデンマーク特有の事情があった。 デンマークでは工場移転などの場合、労働者は会社に残って結果的に仕事が減って給料が下がるより、次ぎの職場で働こうと考える。 デンマークの労働組合は日本のような企業単位ではなく、33種類の職業ごとに組織されていて、労働者の8割が加入している。 失業保険は組合が管理していて、レゴの場合、働いていていた時の87%が補償される。 組合は失業保険によって労働者を守りながら次ぎの仕事を探す手伝いをするが、会社に残るように働きかけたりはしない。 企業も人員削減に備え、職業訓練や教育制度を設けている。 レゴが大量解雇の時につくった未来の家を取材。ここでは労働者に希望の転職先を聞いて必要な研修を行ったと言う。 マークマン所長はいう。解雇されてもまた戻ってくることもあるので、その人たちに敬意をもって教育することが将来レゴのためにもなる。 一度は900人の解雇を決めたレゴだったが、その年2006年に売り出したキャラクター商品が爆発的にヒットし、業績が急回復、大量解雇は行わずに済んだ。 デューダル副社長は言う。解雇する社員に正直に話し敬意をもって対応すればデモやストライキは起きない。

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