2006/03/14(火)18:04
親子というもの
なんやかんやといいながら、俺は親のそばに住んでいる。
長男だから仕方ないという面もある。だけど、色々な要員が絡み合い、5Kmほど離れたところに住んでいる。
それについて、文句を言う人も居る。人の家事情のことに首つっこむなって思ったりもする。でも、そうですねぇ。とへへへと笑っている自分も嫌だなぁとも思う。でも、付かず離れずもいいんじゃないかとも思ったりする。
いつも居ると、甘えが出る。欲もでる。悪いところだって見えてくる。
破綻を来たす可能性だってある。色々悩んだ結果、何かあったら、すぐに駆けつけることが出来る場所に住むことを決めた。
今日、知人とチャットしてたら、かすれ声の女性の声だった。最初、まったく分からず、良く聞くと母だった。風邪を引いたらしい。熱はそんなにないけど、声とか出ないし、頭も痛いと言っていた。それで、夜に両親が食べるものを買っておいて欲しいという電話だった。
夕方近くに行くからと話し、電話を切る。
夕方になり、スーパーで買い物をする。言われた商品以外に、父が朝食べるだろうパンとか、風邪だと言う話だから、食欲が無いときに、ゼリー飲料を買ったり、おかゆを買ったり、しょうが湯を買ったりした。水分補給がしたいときのために、アクエ○アスも買っておいた。
これだけ買っておけば、大丈夫であろうと思い、実家に行った。
母は上の自分の部屋から降りてきた。本当にしんどそうだ。
いつもは、腰が痛いとか言ってて、慌てていくと、まったくそんな雰囲気は無く、普通にリビングにいたりするのだが(苦笑)、今回は本当に風邪で調子が悪いらしい。
しんどいのなら、俺が居たら、気を使うだろうから、早く布団に入りなといい、冷蔵庫に買ってきたものを詰め込み、しょうが湯を作り、2階にもっていく。ありがとうと言われて、それから、恒例の「肩もんでくれ」攻撃が始まった。これは、俺に限らず、弟や、弟の嫁にもやらせる技なのだ。
子供に甘えたくて仕方が無いらしい。うーーーん。子離れしてないのも困り者だなぁ・・・などと思ったりもする。それって贅沢な悩みなのかなぁ。
でも、子離れできないということは、俺とか弟を一人の大人として見てくれてない気もして・・・やっぱ、いい子になったらいかんですね。そこそこ、きちんと反抗期を迎えて、自分と親との線をちゃんと引いておくべきでした。今更言っても遅いのですが。
さて、実はここまでが前置き(おいおい)だったのですが、今からが本題です。将棋の女流棋士で、高橋和(やまと)さんと言う方がいらっしゃいます。なかなか可愛い方なので、そういう意味ではファンでしたが、彼女の書いた本で色々とびっくりさせられることがありました。
彼女は4歳の時に、交通事故に会い、左足をトラックに挟まれて、あわや足を切断か?の寸前までいったそうです。その事実、それからの生き方、そして棋士になり、一人立ちをするときに伝えられた、母からの手紙と、母の日記帳。そこには、4歳の和さんが、事故にあい、病院から退院するまでの、気持ちを正直に綴っていました。普段はちゃかちゃかしていて、冗談いったりする明るい母が、実は心の中ではすごい不安で、いつも祈っていたりする現実を和さんは知り、そして、この本を書く気になったそうです。
彼女自身は、4歳という物心が付くか付かないかで、障害を持つようになったため、健常者と障害者という分け方についても、客観的にでも、鋭く指摘しています。とても理知的な方でした。例えば、こんな文章があります。
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・・・私がいちばん気になったのが、「『普通』が分からない」だ。普通ってなんだろうと考えたとき、それがどうしても理解できない・・(中略)
たとえば一つのりんごを見て、誰かが「赤い」と言ったとき、普通ならば「そうだそうだ」というだろう。しかし私はその赤さが本当にみな同じに見えるのかどうかと、考え込んでしまうのだ。もしかしたら人の見ている赤さと私の見ている赤さは違うかもしれない、と疑ってしまう。
多数決で決まったものが普通なのかとも考える。そうなると、普通とはとてもおそろしいもののような気がしてならない。
ある日のこと、私の傷跡の残る左足を見て、「大変ねぇ」と言ってきた人がいた。彼女はべつに悪意があったわけではなく、ただ単にケロイド状の傷跡を見て、自然と言葉ができてきたのだろう。差別しているつもりなどないだろうし、自分が普通で相手が普通ではないと決め付けているからではないかと思ったりする・・・
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その他、男性棋士のタイトル戦の聞き手役の仕事に就いたとき、
打ち上げで、観戦記者から、「かわいいからそれでいい!!!」「タイトルなんか獲れない!」「女流のトップになるなんてことはできない。でもカワイイからそれでいいの。」とか言われて、凄く和さんは傷つく。
プロ棋士たるもの、勝つことに意義があり、タイトルを獲る、優勝することに意義があるのに、容姿だけしかみない、記者や世間・・・
マスコミのあおり方、棋界のマスコット的存在であれば、将棋を持ちたてる役をしてくれればいい・・・そんな使命を果たされたら、しかも10代の少女はどう振舞えば良いのだろうか。
最終的に、彼女は対局やイベントの前になると、気分が悪くなり、戻してしまったりしたそうだ。自立神経失調症になったのだそうだ。
そういう目に見えない戦いをしながら、彼女は頑張っている。
ちなみに彼女の足はだいぶん良くなり、スノーボードが出来るようになっているそうです。
そして、最後に、一人暮らしを始める日のことがかいてあり、机に、母の手紙と母の日記が置いてあり、最後の章に、母の日記が掲載されているのだ。
そこから先は買うなり、図書館なりでご覧下さい。
・・・ってアフィリエイト貼ろうとしたら、無いやんけ!!
楽天ブックスは何をやっとんじゃい!!
「女流棋士」高橋和 著、講談社 発行