2006/01/16(月)12:55
初釜
「K寺のD(有名料亭)までお願いします」
タクシーに乗り込んだ私がそう告げると運転手は、
「K寺まで行ったらいいんですかね?」
と返してきた。
「Dまで行っていただきたいのですが。」
「Dを知りません」
は?そんなのここ数年間で初めて言われましたわよ。
運転手は散々地図を見た挙句、
「ここから先の行きかたが解りません。」
と私を歩行者しか通れない観光地のど真ん中に降ろして去って行った。
タクシーに乗ったら自動的に連れて行ってくれると高をくくっていた私はロクに位置を知らない。
お土産屋さんで道を聞いて悪態をつきながら漸くたどりつき、
稽古仲間に「酷い目にあったよ」と報告すると、
彼女は「実は私もそう云われたんです!」と云うではないか。
彼女が運転手に「K寺のD」と告げると、
「私は中国人でまだ仕事を始めて2ヶ月です」と覚束ない日本語で返されたと云う。
上には上がいるものである。
観光都市K、これでいいのか???
中国人だろうがナンだろうが、
この日本のK市でプロとしてやってるんだからDくらい知っとけ!
だが、ネタとしては高得点なので彼女は楽しそうに話していた。
関西人は多少の困難に遭ってもネタとして使えそうならその部分を喜ぶことが出来る。
その辺は幸せかも知れない。
出だしから躓いた初釜だったが、到着してからはおおよそ順調だった。
先生が点てられた濃茶を戴いた後、
続き薄で薄茶を戴く。
私もお手前に参加。
その後の会食では帯の締め付けによる苦しさと、
苦しい上に勧められた飲酒のせいで意識が朦朧とするものの、
先生や仲間とのお稽古では出来ない会話が面白く、
楽しい気分で帰路についた。