情報の読み方
消費者のチラシに対する不評、風当たりなどは、売り手の想像以上のものである。そんなことはないよ、と思っている人は、それに釣られて来店した客だけを見ているからである。いかなる超繁盛店でも、来店しない人が圧倒的多数。そこでPOSデーターみて、これ消費者が支持している証しと思っている人がいたら、とんでもない思い上がりである。見える情報、見せられる情報以外に、見えない情報、見せない情報があること。情勢判断には、この後者を強く意識して臨むことが不可欠である。不振の因、来店客数の減少、つまり集客力の減少。つまり、来店していないお客の方を見ていないから、わからないのである。だから、「今度のチラシ、効かなかった」といったような、バカな会話が反省会ででるのである。その根本には、売り手都合のありかたがある。すなわち買う人を主語とせず、買い手の売上獲得に狙いを置いての販促企画である、ということだ。では、としたらどう考え、どう対応したらいいのか。それは、キャッチフレーズ的に表現したら、「買い手側に立った販促、情報提供」「情報を受け取った方に、明白に利が見える販促、情報」といったことになろう。しかし言葉の表現を変えただけでは、消費者には通じない。そうした「狼と少年」を繰り返すだけであろう。まず、売り手の組織に体質的にしみこんだ、売上至上主義、売上即効性偏重といったことから、完全に脱する決意をし、高らかに宣言する。まず売上稼ぎのための販促から完全撤退する。 併行し、この戦略転換ができなければ、やればやるほどじり貧へ近づくための努力になり、ひいては企業の存亡になることを、徹底的に組織に浸透させていく。その上で、販促は“そのこと”を繰り返し、し続け、かつ進化させることで、暫時、より売れ続ける体質づくりを具現するもの。といった本来の役割、ありかたに戻すことである。“そのこと”の内容を一言でいえば、「消費者が最適の選択ができる正しい情報の提供」である。たとえば、こういうことである。「これ、安いよ、お買い得ですよ」とわめいている店員に「どうして?,なんで?」「あれとどうちがうの?」とお客が尋ねたとして、これは「豚30%,牛70%の合い挽きミンチ,どちらもオーストラリヤ産。こちらはどちらも和牛。だから高いのですけど。ハンバーグならこちらがでもミートソースや焼きそばであればこちらで十分」といったこと。要は、こちら都合、こちらが用意した、先取り情報を一方的に流すのではなくて、相手に必要な、そして欲している情報を相手から聞き取る耳を持って、それを取り入れて、それに対する最適の情報を伝えること。これがここでいう私の[情報]である。