ブルーノートは現在も活動しているはずのレーベルだが、その膨大な
カタログの中核となっているのが、今も昔も“1500番台”と“4000番台”
あわせて約500枚と言う事になるだろう。
これらの作品の持つ空恐ろしさ、とてつもない重みを知ったら、あなたは
ハードバップ入門段階を卒業したのと同然だ。
(全てのアルバムをもっているかどうかは別)
その500枚にベーシストのリーダー作はたった3枚。
しかもそれはすべてポール・チェバース名義である。
50~60年代、数多くのベース奏者がブルーノートに出入りしたにもかかわらず
自分のアルバムを録音する事ができたのは彼一人だけだった。
ダグ・ワトキンスもサム・ジョーンズも、60年代ブルーノートに欠かせない存在だった
ロン・カーターですらブルーノートでは一度もサイドメンの座から飛び出すことはなかったのである。
55年に結成されたマイルス・デイヴィス・オリジナル・クインテットのメンバーの中でも
ポール・チェンバースはコルトレーンよりもガーランドよりもフィリー・ジョーよりも先に
リーダー作を作っている。
この21歳のベーシストがどれだけセンセーショナルな存在で、嘱望されたプレイヤーで
あった事かが分かるエピソードだ。
“ベースの神童”の覇気に溢れたプレイをたっぷりと楽しんで頂きたい。
ウィムス・オブ・チェンバース/ポール・チェンバース
ウィムス・オブ・チェンバース/ポール・チェンバース に加筆・修正を加え転載。
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