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Apr 12, 2015
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奇跡のリンゴ 石川拓治 2008年
 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録

 リンゴには明治の振興の歴史があるそうで、養蚕の道を選べない厳しい自然環境である東北の地ではリンゴは頼みの綱で、病害虫との30年の格闘の末にリンゴ栽培を成功させたそうだ。成功する大きなキッカケは、明治末期に始まった農薬の使用で、それにより収穫が安定したことによるそうだ。その後、リンゴの産地として地域は豊かになっていったらしい。

 近代産業史は、化学と機械の活用が柱だが、農業においても産業として支えたのは、化学薬品と農耕機械であった訳だ。こうして当たり前のように半世紀以上行われてきた農法を捨て、自然の生態を利用した自然栽培の技術を会得したのが木村秋則さんであったのか。

 福岡正信の自然農業の本に出会ってはじめた自己流の自然農法であったが、万策尽き、極貧の中で行き詰まり、思い詰めた末に命を捨てに岩木山に入る。その時、厳しい自然環境の中でたわわに育つ木を見て、農園を山の環境に戻す決意をしたシーンには、奮い立つ人の力がみなぎるようで嬉しくなれた。
 手を加えすぎないようにして草木や昆虫の力を借りて農園の土を自然環境に戻し、その土でリンゴの木が根を張り力を伸ばして行く。遂にはたわわな実を結するまでになる。そこまで取り組めた姿は、科学的で実証的で謙虚で誠実な人間の証だと思う。更に体得した自然栽培の技術を惜しげもなく広めようとする氏の姿はとても尊い。

 以前、工場排水の環境対策として本田の工場の話を読んだことがある。環境対策として工場排水の基準ができて担当官が本田の工場の担当部署に確認したところ、昔から水は浄化して排出してきたそうで、それは、「おやじ」に「水だって借りたものはきれいにしてかえせ」と言われ、そうしてきたと言うような話だった。

 偉人は自然にも世間様にも丁寧なようだ。






Last updated  Apr 18, 2015 08:55:11 AM
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