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わたしのブログ

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NO.4-『国益』について

「国益」について

1) 国益について、一言でいうなら「国際社会の中で、国家がその共存する国際環境の中から成長に資する、自らの利益。」とでもいおうか。こうした考えの下に、かってウイルソンが提唱した、勢力均衡の代替として集団的安全保障を制度化したのが「国際連盟」である。つまり、勢力均衡システムに法的枠組を与えることで、それを合理的かつ効果的にしたものであった。考え方はすばらしい。しかし、国益を認識する国家理性(国家という一個の人格)は、どうであろうか?実態は、かっても、今でも、普通は一部の「エリ-ト」(すなわち、支配者階層:公務員等)なのである。その結果が、世界戦争、例えば第一次世界大戦なのである。

2) だとしたら、「国益」を正確に認識する能力をめぐっては、「エリ-ト」は不適格なのではないだろうか?つまり、支配階層が被支配階層と無関係に行う外交は、一般意思あるいは一般的利益という普遍性を獲得することができないのではないか?ということである。国際政治が国内政治とは独立しており、一部の「エリ-ト」による独裁政治は、その秘密性・閉鎖性が一般意思からかけ離れているのである。

3) この考え方を地方政治においたらどうなるであろうか? かつて、ルソ-は「悪の第一の源は不平等にある」とし、悪の源は不平等にあるのだから、そのような市民社会を根底から変革するしかないと述べている。しかし、市民社会において、「公益」と「私益」の対立を解決することは、決して容易ではないと考える。すなわち、極言するなら、支配階層(公務員等)は、決して市民社会を変革しようとは考えず、市民社会に内在する不平等を凍結の状態に保とうとする(臭いものには蓋をする)のが自然なのではないか?
    こうした中、この不平等をどのように手当てできるのであろうか? かつて、ルソ-は、平等を実現する装置として「自治としての自由」を重視し、また、トクヴィルは、市民社会の自由を守る為また市民社会が平等化できる為には、「エリ-ト専制国家から自由を守る為に国家を民主化していこう」と考えていた。

4) ここで、日本の現状を観察してみよう。
市民が納税した税金を、国家機構(公務員等)が一般意思とは無関係に、ある「エリ-ト」集団によって、予算が作成され、歳出については、極言するなら承認は必要がなくても可能なシステムであり、使途明細不明な状態である。改めて申すまでも無いが、年金、天下り人事、独立行政法人、警察の不正領収書、NHK等、数多くの場で、税金(公金)が、法の網を潜って、合法的かつ不透明に使われている。以前、申し上げたように、公金の合法的横領である。それも、湯水のごとく。これは、かつて、ウィルソンの認識       した戦争原因と酷似しており、「・・原因は、無知、偏見、自己利益に奉仕するエリ-トの存在、そして操作的な政治家の存在に帰せられる。」と言える。
 これからの市民社会に必要なのは、ルソ-が市民社会を民主化しようとしたことよりも、トクヴィルの国家を民主化していこうとした点に注目することである。「公益」と「私益」との対立を解消するには、やはり、トクヴィルの国家を民主化していこうという考え方が必要になってくる。つまり、モニタリングである。

5) 現状社会で、どこまでモニタリングが可能なのであろうか? 三権分立が唱えられ、いかにも、合法的国家の下に市民社会が存立するかのように錯覚するが、問題は、「公益」と「私益」との対立を解消することであろう。すなわち、支配階層(公務員等)の被支配階層(市民あるいは国民)からの搾取システムであろう。何故なら、三権分立が保たれているのは、支配階層のバランス状態であって、市民あるいは国民の権力保持ではないことに起因する。憲法では、国会は国権の最高機関と謳われているが、法学者によっては、見方が異なり、最高機関と考えられていない。また、国会は主権の存する国民の代表とされているが、議員は、一般市民ではなく、また半代表制でもあり、一般意思とは程遠いもので、議員は公務員かつエリ-ト集団に属する。したがって、三権分立の枠組では、エリ-ト(公務員等)が均衡状態を保っているのであって、言わば、市民あるいは国民は、蚊帳の外である。例えば、税金の使途の流れを見れば、一目瞭然である。
   士農工商の時代と何の変わりもない。公務員が「公僕」とされているのは、単なる美称であろう。さらに、憲法に保障されている、三権分立制度も政治的美称にすぎない、法制度の欠缺である。したがって、この法制度の欠缺を補う意味で、市民監視・国民監視という、公務員をモニタリングする制度が必要となってくる。

6) 前回、NHK問題で「抵抗権」の発動によりモニタリングできる市民社会が望ましいと述べたが、つまり、「国益」を「一般市民の平等をもたらす利益」と考えると、支配階層(公務員等)の不正を監視し、それについて責任追及し、罰する制度を求め、一般意思に適った、合理的利益を追求することにあると言うことができる。したがって、民意が反映される、ガラス張りのシステムの構築が望ましい。地方自治においてもしかり。
「悪の根源は不平等」に起因することから、「グラウンド ゼロ」の思考への転換も福祉社会に必須条件にもなると考える。
以上


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