メタボスパイラル

免許を取得して　もう１２年になる。


前にもお話したように　母に

「　ぶきっちょ！　」　と　言われ続けて、
小学校に上がるときにブランコにも乗れなかった私。

跳び箱も飛べない、逆上がりも出来ない、ソフトボールも
一度も打てたことがないし、バレーボールも、逃げ回っていた。



そんな人が、　免許？？
　　　

無理！！！！

回りもそう思っていたし、自分でもあきらめていた。


でも１２年前、　好きな人が居て、　その人に飲酒運転を
させたくないばかりに　免許を取ろうと思った。

もちろん、　オートマ限定免許　という制度を
お国が作ってくれたので、　お国の気がかわらないうちに
という気持ちもあった。

自動車学校へ入り、学科はすぐにマスターしたが 問題は実技。

先生に　お願いした。

「お金、いくらかかってもかまいません、　運転できる状態に
して、卒業させてください」　　


私のお願いに、先生は目を丸くして　こう言った。

「　君ね、ある程度の基準で卒業させないと、私の成績にも
響くんだよ　、大丈夫、言われたとおりしていれば、免許は
とれるから」


そして、その発言の通り、　先生は

「　はい、ここで松ノ木が見えたら右に切る、ここは、ポール３本目で
ハンドル左ね」　　　そうやって教えてくれた。


彼に、その話をしたら、

「そんな教え方、おかしいよ、　実際の道路には松ノ木も
ポールもないよ」　　と　彼は言った。


私は、仮免まで自動車学校でとり、あとは、直接試験場へ
取りに行った。　一度落ちたが、２度目で合格。
実は、直接取りに行くための学校へ、また、通っていたのだ。

そこは、お金さえ出せば、一日何時間でも練習させてくれる。
通常は、そこで１０時間くらい練習すると、みんな
試験場へ直接受けに行くそうだ。

だが、私と、友人は２５時間は乗ったな・・
先生に、　

「いいかげんに　試験場へ行け！　もう大丈夫だから」

と　散々言われて、それでも試験を受けに行く勇気がなかった私。
そしたら、いつも私の後に隠れて、ついてきてた友人が
一人で、受けに行った。　　　びっくり！！どこにそんな勇気が！

そして、彼女は、私のために、一度落ちてくれた。
だって、完璧な運転だったのに、最後の試験場に入る坂を
逆走してしまったのだそうだ。
試験官に　そう言われたらしい。　それがなければ、合格だったのにと。



うじうじしている場合ではなかった。

２月の寒い日、私は試験場の坂を上った。
試験を受けるためのチケットを買う。


男の人たちが、談笑していた。
「何回目？　」　　　「１０回目です」　　「僕は５回目」


えーーーーーー！！　もちろん、この人たちはお金をかけないで
直接免許を取りに来ている人たちだが、　それでもこんなに
落っこちてるの？　


予想どおり、私の１度目の実技は、失敗。

自分の進む方向に路上駐車の車が居て、反対車線の車が
試験中の車だと　気づいて、待ってくれたので、
お辞儀をして、進んだ。

これは、危険行為で、　試験場の試験では、不合格の対象となる。


でもね、　帰り道は、すごく明るい気分で帰った。
男の人たちでも　何回も落ちてるんだもん。
私も、何回でも、　ここに来る！！！


そう思って、受けた２回目。
試験官は、私が、通っていた試験場に直接試験を受けるための学校の
校長先生を知っていて、
「君、ここで勉強したの？　　教わったとおりにやりなさい　」と言ってくれた。

この試験官の一言で、すごく気が楽になった。


試験の合否は成績のいい順に呼ばれるが、　私は一番に呼ばれた！！！


合格！！！


お金は人の何倍もかかったけど、絶対に無理と思っていたことができた。
このことは、このあとの私の生活の　大きな自信になる。



でもね、免許取った後は、ひどかった。　車庫入れしようとすると
せまいところでは、寄りたくないほうの壁に寄るし、手に汗を
いっぱいかいて、毎日運転していた。

それに　狭い道でのすれ違い、なにせ、バックは自動車学校で
たったの１時間しか教わってないから、バックすると
思いもよらない方向へ、行ってしまっていた。


買ったばかりの新車をこすり、何度もぶつけた。

ある時は、右折しようとして、ビルの前の
花壇のレンガブロックにこすって、切り返そうとしたら
前からバスが来た。　あせって何度も切り返す、でも少しも
回れそうにない、前にはバス、後ろには、車の渋滞の列。


思い切って、右に曲がった。
レンガブロックは壊れ、新車の右前は　大きくへこんだ。


私は、やっぱり　親の言うことが正しかったと思った。
免許は取れたが、運転は無理だと。


しかし、そのとき、鶴瓶ちゃんが、ちょうど免許取り立てて
電話ボックスにバックで追突！　ガラスを全部割った話を
パペポでしていた。　　それと、そのときの彼が、
俺だって、昔はぶつけたんだよ。　と　何度も励まして
運転を教えてくれた。


鶴瓶ちゃん、ありがとう、なにより、私のために、一度試験を
落ちてくれたお友達、ありがとう。
あなたが、一発で受かってしまったら、私は、免許取りに
行かなかったかもしれない。


ほんとに　へたれな私です。

みなさん、　あきれるでしょ。