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「……看板に偽りあり。ということなのかしら?」
ビルの屋上に設けられた妖精の集会会場のテーブルの上で、私は隣のテーブルで繰り広げられている馬鹿騒ぎを見ていた。そこには写真そっくりの顔をした妖精少女、長谷川美姫さんがいたのだが、とてもその行動は、『かわいいプリンセス』からは程遠いものだった。 「それにしてもなんてメンバーが揃っているのかしらね」 私は同じテーブルにいる子供を連れた、おそらく妖精の夫婦達と一緒に食事をしながら、ちらりちらりと美姫さんの様子を見ている。ちなみに妖精狂いの季節の際のパートナーを探すのが真の目的であるこの妖精の集会で、子供がいる夫婦の妖精達が集まっているこのテーブルほど落ち着けるところは無い。まあ、独り身の私だけが浮いた格好になっているが、独り者ばかりが集まるテーブルで男女双方の妖精から迫られるよりはよっぽどましである。 それはともかく問題は美姫さんがいる隣のテーブルだ。日本で一番最初に妖精に召喚されたという大島眞利菜さんだなんていう超大物もいるし、あのコウモリ羽の男の子は最近このあたりで有名な有名な滝沢海斗ではないだろうか? それから有名といえばあの軟派でヒモな佐々山時雄もいる。もう1人の可愛らしい男の子のことは知らないけど、あれだけの美形な少年は、もともと美形ぞろいの妖精の中でも群を抜いている。 「ほんとに、つくづくすごいメンバーで集まっているわね」 周りで騒いでいる子供達の相手を適当にしながら私は、『さてどうしたものか?』と考えていた。私自身としては、なぜか心ひかれる美姫さんに会って、話でも出来ればと思ってここに来たのだが、このままでは落ち着いて彼女と話が出来る機会などとれそうにないからだ。 「ま、どうせもうしばらくしたら研究所のほうにやってくるっていうし、今日のところは顔を見られただけで良しとしたほうが良いのかしらね」 誰に話すでもなく、私はそうつぶやくと、もう少し食事をしてから帰ってしまおうと決心した。しかし私が食事をしている間に、事態は大きく進展していたのである。 「あはははははーーーーッ♪ みきちゃん、なんらかきもちいい~~」 聞こえてきたその声に、私は食事をする手を休めて美姫さんがいるテーブルをふりかえる。この声はもしかしなくても美姫さんの声? いったい何があったんだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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