家電惑星

彼は２０代後半で我が病院へ看護大卒という優遇チケットを持って入職した。
まぁ、悪いヤツじゃないんだけど極端な合理主義というか・・つまり怠け者なワケだ。
ところが頭だけはイイので上層部からのウケは非常に良い。
そのぶん詰所のマダムたちからの風当たりは相当キツイ。

そんな頭でっかち坊が就職してから５年以上も経つというのに
今頃静脈注射の修行に励んでいる。
ヒドイ時は師長が横にピッタリついて１時間以上も処置室から出て来ない場合もある。
付き合わされる患者さんも本当に気の毒なハナシである。

その後も自分から進んで注射に挑むのはいいけど、
結果はまるでナースマンガのように失敗の連続。
そして今日も失敗。
そこで師長が急に呼び出されていなくなったのはいいけど
肝心の注射はというと、３回目のトライに突入。
すると患者が『イタイ！イタイ！イタイ！！』と大声を上げる。

見かねたマダムが僕に耳打ち。
『○○さん、精神状態悪くなるから代わってあげて。』
以前同じような状況の時に
「３回挑戦してダメだったら他のナースに代われ」
と教えていたのを憶えていたのか素直に注射器を僕に渡す。

「失敗ばかりでゴメンなぁ。痛かったやろ？もう終わるからなぁ。」
と大声出してた患者をたしなめながらモチロン一発で決める。

今日、僕が坊に教えたこと
「失敗したらとりあえずはすぐに患者さんに謝れ。」
こんなこと声に出して教える前に自分で気付いてくれ・・・。

らいがー殿、後は任せます。（ぱた）